「高まるデジタルへの期待にテクノロジーで応える」–デル国際市場担当社長が会見

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 デル・テクノロジーズは10月12日、都内で記者会見を開催し、米Dell Technologies 国際市場担当社長のAongus Hegarty氏と代表取締役社長の大塚俊彦氏、ESGエンゲージメントリードの松本笑美氏が、デジタルトランスフォーメーション(DX)やサステナビリティー(持続可能性)、ESG(環境・社会・ガバナンス)などにおける同社の取り組みについて現状を説明した。

 Hegarty氏は、北米を除く170カ国以上の市場で同社の事業を統括しており、まず直近の2023会計年度第2四半期の業績を報告。売上高は前年同期比9%増の264億2500万ドルで、「世界的な物価高や景気後退の懸念がある中で、(PCなどの)クライアントソリューションおよび(サーバーなどの)インフラソリューションの双方が成長している。DXに対する顧客の需要が高まっており、顧客やパートナーに価値を提供する当社の姿勢を評価いただいたものと思う」(Hegarty氏)とした。

 同氏は、DXを含むあらゆる社会的課題の解決に向けて顧客、パートナーからテクノロジーへの強い期待が寄せられているとし、テクノロジープロバイダーの立場からそうした要請に応じ、価値を提供することが同社の使命だと強調した。

 戦略面では、PCやサーバー、ネットワーク、ストレージなどの中核事業の刷新と、新規ビジネスと位置付けるエッジコンピューティングやマルチクラウド、データ活用、サイバーセキュリティといった分野への研究開発投資により、持続的な成長に取り組んでいるとした。

 中核事業では、「調査から90%の顧客がハイブリッドクラウドを利用し、75%が3種類以上のクラウドサービスを導入している。マルチクラウドが当然となり、Dellは『マルチクラウド・バイ・デザイン』を提唱している。マルチクラウドを前提にしたシステムの設計、構築、運用により、マルチクラウドの適切な利用が実現される。Dellは、そのためのエコシステムをパートナーと共に構築している」とし、「PCも引き続き重要な生産性向上のためのツールであり日常生活に不可欠なもの。デルもPCビジネスも引き続き順調だ」とHegarty氏は述べた。

 ここでは「APEX」ブランドで展開するアズ・ア・サービスモデルへの移行を順次進めている。「従来のビジネスモデルを大きく転換する戦略であり、一時的な業績の影響も織り込んだものになる。景気減速の懸念が高まる中でAPEXは、CAPEX(設備投資)の負担を減らしOPEX(運営費)を最適化する仕組みとして顧客の利用が順調に伸びている。この変化は数年先にわたるものになると見ている」(Hegarty氏)という。

 新規ビジネスとして位置付ける各領域は、DX需要の多くを構成するものであり、Hegarty氏はここへの投資が同社の成長をけん引することになるとした。「特許は2万600件を超え、過去3年の研究開発投資は75億ドル、インフラソリューション領域に所属するエンジニアの85%がソフトウェア開発者であり、彼らが顧客のイノベーションを支援し、コロナ禍を経てさらに高まるテクノロジーの活用を促進させ、それが当社の成長にもつながる」(Hegarty氏)

 また日本市場への取り組みとしては、1989年の日本法人設立から33年が経過し、「今では各地に拠点(東名阪や宮崎県など)が広がり、社員数も4000人近くにまで達している。日本は当社にとって世界3位の市場。失業率の低さなど安定した経済環境下でイノベーションの機会に溢れるユニークな場所だ。当社の戦略は日本が重点テーマとする生産性の向上、5G、デジタル決済、自律運転、行政DXに寄り添うものになる。加えて、女性起業家の進出や働き方改革、災害対策など(の社会課題)にも取り組んでいる」と述べた。

 サステナビリティーやESGは、世界中の企業が取り組むべきものとなり、「当社もその達成に表明している。環境に配慮したPCやデーターセンターの提供、APEXといったそれぞれの取り組みはESGの戦略にも組み込まれており、再生可能エネルギーの利用促進や再資源化が可能な部材の採用促進による環境負荷の低減、2050年における(温室効果ガス排出を実質ゼロにする)『ネットゼロ』の実現に向けた取り組みを進める」とした。

 ダイバーシティー&インクルージョンの取り組みでは、女性社員の比率が34%、管理職では28%となり、目標通りという。教育や医療へのアクセスが困難な人々を支援する取り組みでは、この1年で6600万人、累計では1億6000万人を支援したとしている。Hegarty氏は、この他にオーストラリアのグレートバリアリーフを保全するための地域組織と連携した活動、NTTデータとはサステナビリティーのさまざまなテーマを共同で推進するパートナーシップを締結している事例も挙げた。

 日本市場について大塚氏は、「足下ではPCの需要後退が起きているが、こうした変動は繰り返すものであり、影響は織り込み済みである。それ以上にDX需要が旺盛であり、コロナ禍以前はDXを構想して実装するかどうかという状況だったところ、現在は実装が加速する段階に来ている。顧客のビジネス価値に貢献するという当社の使命に取り組み、マルチクラウド、セキュリティ、働き方改革、生産性の向上、データ活用においてもしっかりと価値をお届けすることに注力していく」と述べた。

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