メタバースが迎える転換期–主要企業の動向を追う
今回は「メタバースが迎える転換期–主要企業の動向を追う」についてご紹介します。
関連ワード (メタバースが変える仕事と社会、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
(編集部注:この記事は、Metaの「Connect 2022」開催直前に執筆されたものを翻訳して掲載しています)
メタバースと仮想現実(VR)全般にとって、最も重要な時期の1つとなり得るものが始まりつつある。
現在はこのテクノロジーの歴史における転換期だという予感が強まっている。すなわち、爆発的に成長して「次の大きなもの」になるか、VR技術が過去に何度か繰り返してきたように、徐々に存在感が薄れていくかの分かれ目だ。
では、この新たな転換点を生み出しているものは何だろうか。
最も明白な要因は、Metaの「Connect 2022」イベントだ。非常に大きな成功を収めた消費者向けVRハードウェアシリーズである「Meta(旧Oculus)Quest」ファミリーの最新モデルが、同イベントで発表されるとみられている。
そのタイミングは実にすばらしい。というのも、Questの世界的な成功が初めて、Picoから戦いを挑まれているように思える状況だからだ。あまり知られていないVRハードウェアメーカーだったPicoは先頃、TikTokの親会社であるByteDanceに買収され、Metaのリソースと互角に近い戦いができるようになった。たとえば、Picoは「Quest 2」のハードウェアを超える新しいヘッドセットを発表している。
一方、Lenovoは「ThinkReality VRX」ヘッドセットによって、Questに匹敵する成功をエンタープライズ市場で勝ち取ろうとしている。ゲームプレイや360度動画の視聴を目的としたハードウェアとソフトウェアの開発に力を入れる企業が多い中で、LenovoはVRベースのトレーニングやバーチャル会議に関心のある企業向けに、カスタムエコシステムの構築を目指す。
もちろん、これらすべての製品発表の向こう側にはAppleの姿が浮かび上がっており、同社が何を計画しているのか、テクノロジーの創造的破壊という持ち前の能力をメタバースに向けるのがいつになるかを、誰もが推測している。
では、こうした要素を組み合わせた全体像はどのようなものだろうか。このメタバース特集の第1弾となる本稿では、今この瞬間と、この先何年ものメタバースを定義する他のすべての瞬間を形作る主要企業について解説していく。
ある程度の年齢の人なら、HTCという社名はスマートフォンでよく知っているだろう。しかし、同社はスマートフォン事業から撤退した後もずっと、VIVEブランドによってVR分野で名を成している。
同社の初代「HTC VIVE」は消費者向けVRの転換点だった。価格が高く(800ドル以上)、複雑で、セットアップが大変(特に狭いスペースで)だったが、消費者が利用できる初めての真に実用的なルームスケールVR体験だった。後継製品のVIVE Proシリーズなども成功を収めている。
HTC製ハードウェアの優位が以前ほどではないとしても、VIVEヘッドセットは引き続き多数の商用VR体験で使用されている。さらに重要なのは、HTCがすでにエンタープライズ市場で足場を固め、Bugattiなどの企業と提携して、VR技術を設計やテストプロセスに応用していることだろう。メタバースに誕生したばかりのこの分野は、今は小さな規模かもしれないが、爆発的に成長して、CADやラピッドプロトタイピング(3Dプリント)と並ぶ重要なものになる可能性がある。
同じくVR登場以前から長く名を知られているHPは、消費者向けとビジネス向けのVRを実現するバックエンドテクノロジーを提供したいと考えている。初期の取り組みにはReverbヘッドセットなどの消費者向け製品も含まれていたが、その後はエンタープライズ市場に焦点を移した。
同社はすでに、VRデバイス管理、デバイスおよびユーザー分析、トレーニング用や共同作業用などのカスタムVR体験のソリューションを開発している。この分野に参入している他の多くの企業のはるか先を行っており、エンタープライズテクノロジーにおける豊富な経験を活かすことができる。