インテルCEO、半導体と地政学を語る–次の50年は「工場がどこにあるか」が重要
今回は「インテルCEO、半導体と地政学を語る–次の50年は「工場がどこにあるか」が重要」についてご紹介します。
関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Intelの最高経営責任者(CEO)Pat Gelsinger氏は米国時間10月24日、エレクトロニクス製造における地理的多様性の拡大を推進する同社の取り組みの一環として、台湾はIT産業において「不安定」な状態にあるとの考えを語った。
Gelsinger氏は同日開幕した「WSJ Tech Live」カンファレンスで、「台湾はテクノロジーサプライチェーンの中で極めて重要な役割を果たしているが、不安定な状態にある」と語り、「世界は、地理的にバランスが取れた弾力性の高いサプライチェーンを必要としている」とした。
この発言は、中国が自国の領土として台湾を再統一しようと試みるのではないかという懸念が高まっていることを反映したものだ。中国は、Nancy Pelosi米下院議長が8月に台湾を訪問した際、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施しており、外交専門家はロシアのウクライナ侵攻を受けて、地政学の前提を再検討することを迫られている。
プロセッサーは、自動車やおもちゃから、食器洗い機、兵器システムに至るまで、あらゆるものに不可欠な部品となっている。新型コロナウイルスの流行がきっかけとなって発生した世界的な半導体不足は、私たちの社会がプロセッサーに、そしてプロセッサーメーカーや流通業者の需要対応能力に大きく依存していることを浮き彫りにした。
米国はこの問題を受けて、今後5年間にわたる半導体業界への527億ドル(約7兆8500億円)の資金援助を伴う「CHIPSおよび科学法案」を成立させ、米国内での半導体製造を拡大するという政治的意思を示した。Gelsinger氏は、米国の半導体製造におけるシェアが2020年代の終わりまでに今日の12%から30%まで増加すると期待しており、欧州のシェアも現在の10%未満から20%まで増加する可能性があると述べた。もしこれが実現すれば、アジアのシェアは現在の約80%から約50%まで低下することになる。
「こうしたことは長期的な取り組みだ」とGelsinger氏は言う。同氏は、現在の南シナ海を中心としたエレクトロニクスのサプライチェーンが構築されるまで30年かかっており、Joe Biden米大統領が署名した米政府の大規模な支援パッケージは、この流れを反転させるための第一歩にすぎないと述べた。しかし同氏は、そのプロセスは進行中だと考えている。
「この50年間の地政学は、石油の埋蔵量によって決まっていた」とGelsinger氏は語った。「次の50年は、半導体製造工場がどこにあるかの方が重要になる」