四国電力、VDI環境を仮想ブラウザー基盤に刷新–遅延解消と利便性向上
今回は「四国電力、VDI環境を仮想ブラウザー基盤に刷新–遅延解消と利便性向上」についてご紹介します。
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四国電力(高松市)は、コロナ禍以降に仮想デスクトップ基盤(VDI)環境の遅延が大きな問題となったことから、Menlo Securityの仮想ブラウザー基盤製品「Menlo Security Isolation Platform」に刷新して解決を図ったという。製品ベンダーのメンロ・セキュリティ・ジャパンと、導入を支援したマクニカおよび三井情報がそれぞれ発表した。
各社によれば、四国電力は、2019年にセキュリティの脅威から端末を保護するため、分離した環境でインターネットを利用できるようオンプレミスでVDI環境を構築した。しかし、コロナ禍以降にウェブ会議などの利用が増えてリソース不足が顕著となり、レスポンスの遅延が発生した。また、ログイン可能な人数の制約で、制約を超えるユーザーがVDIを利用できない事態が起きたほか、ウェブを利用するためには、まず約30秒かけてVDIにアクセスし、さらにVDIからブラウザーを起動するという二度手間になっていた。
従業員の業務に支障が出るだけでなく、情報システム部の担当者が毎日数時間もの問い合わせ対応に追われる状況にもなった。特に金曜日夕方には、フリーズのトラブルで毎回100件を超えていたという。同社は遅延解消と利便性向上を目指したものの、50台以上のサーバーで稼働するオンプレミスのVDI環境では、ハードウェアの調達や設置スペースなどの点で容易に解決できず、メンテナンスの負荷も大きくなったとしている。
こうした問題を解決するため、四国電力は抜本的な環境の刷新を決定。同社と継続的な関係性を築いていたという三井情報が、Menlo Security Isolation Platformを同社に提案した。なお、Menlo Security Isolation Platformは、マクニカが1次代理店、三井情報が2次代理店を務める。
Menlo Security Isolation Platformは、ネットワークから分離したプラットフォーム経由でインターネットからマルウェアなどを含まない安全なコンテンツのみをユーザー側の環境に転送する仮想ブラウザーソリューションとなる。特許技術によりブラウザーに代わってウェブのコンテンツを取得し、プログラムを実行する。ウェブサイトのレイアウトが崩れることなくコンテンツを表示でき、クラウドサービスのためサーバーなどの調達や設置が不要なほか、同時接続数の上限がなくリソース不足を解消できる。ID設定ですぐに使用でき、手順書作成やユーザートレーニングの必要もなく迅速に導入できるとしている。
四国電力は、まず2024年5月に本社で、同年9月からグループ11社にもMenlo Security Isolation Platformを展開し、現在約1万3000人の従業員が利用しているとのこと。問題だったレスポンスの遅延が完全に解消され、アクセス集中時にも円滑に業務ができるようになった。ファイルのダウンロードもVDI経由ではなくウェブから直接実施できるようになり利便性が向上した。情報システム部への問い合わせ数も大幅に減少し、担当者が別の業務に専念できるようにもなったそうだ。
同社は、将来的な「ゼロトラストセキュリティ」モデルへの対応も視野に入れているという。