「月額無料のFinTechモデル」で中小企業のデジタル化を実現–SBIビジネス・ソリューションズの事業戦略
今回は「「月額無料のFinTechモデル」で中小企業のデジタル化を実現–SBIビジネス・ソリューションズの事業戦略」についてご紹介します。
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SBIビジネス・ソリューションズは10月27日、事業戦略発表会を開催した。SBIグループの強みを生かした2つの戦略を明らかにした。
冒頭、代表取締役社長の夏川雅貴氏は、直近の事業ハイライトとして、3月に提供開始した「請求QUICK」の現況を報告した。
請求QUICKは、クラウド型請求書発行システムとして請求書の作成、承認、発行機能を中心に請求書の買取り(早期資金化)サービス「入金QUICK」、入出金明細自動取得(自動入金消し込み)サービス「消込QUICK」、請求書をクレジットカードで支払えるサービス「クレカQUICK」という「FinTech機能」を提供している。
今後1年ほどの間にインボイス制度の導入、改正電帳法の宥恕(ゆうじょ)期間終了と企業のデジタル化促進に関連する大きな法改正がある。2023年10月から導入が予定されているインボイス制度は、仕入税額控除要件を厳格化するため、業務プロセスにおける追加の対応や判断が必要となり、中小企業では業務の負担増が懸念されている。
特に、「今いる人員だけで業務を回さなくてはならない」というリソース面、「インボイス制度対応コストを多くかけられない」というコスト面、「制度対応で必要な情報を入手する機会が少ない」という情報面での課題が大きいという。
これに対して請求QUICKを導入することで、「FinTechソリューションの付加により、インボイス制度対応だけでなく、入金消込の自動化など業務を大幅に効率化してリソースを確保できる。中小企業であれば無料で使える料金体系なので、制度対応のためだけにお金をかけなくてよい。無料ゆえに触れやすく、試しに使ってみることによって何が必要なのか情報を蓄積することができる」と夏川氏。
また、同社では、中小企業のデジタルインボイスの対応ハードルを下げるため、デジタルインボイスの発行と受取でPeppolへの対応も表明しているという。
このような背景もあり、請求QUICKの継続利用を申し込む企業の数は、リリースからわずか4カ月で月間50社(7月時点)に達している。継続利用申込社数は10月19日時点で222社と事業計画を上回るペースで、6月23日の入金QUICKリリース後に申し込みペースが上がったという。
本社所在地が東京以外の事業者の利用割合が62%で、日本全国47都道府県の事業者が請求QUICKを利用していると夏川氏は述べる。FinTech機能の利用割合は、6月の28%から9月には48.3%に増加している。「いろいろな入り口から請求QUICKを導入してもらっているが、導入後に『このサービスも使ってみよう』となり、FinTech機能の利用が促進されている」と夏川氏は述べ、クレカQUICKから利用を広げていったセキュリティハウス西東京の活用事例を紹介した。
中小企業の請求QUICK導入をさらに増やすための新たな事業戦略として、SBIグループの強みを生かした2つの戦略を挙げた。
1つ目の戦略である「『月額無料のFinTechモデル』で中小企業のデジタル化を実現する」では、「中小企業であればあるほど、業務効率化のためだけにコストを払うということに納得してもらえない部分がある」(夏川氏)ことから、SBIグループが提供する金融サービスを一体化させることにより利便性を高める。
その一例として、入金QUICKがあるという。企業が運転資金を必要とする場合、1000万円までならビジネスローンから、5000万~1億円以上となると“伝統的な金融サービス”から調達することが考えられるが、平均規模の中小企業が月々の運転資金のニーズを感じるのは、これらの間の金額だと夏川氏。入金QUICKはこのニーズに対応できており、平均の利用金額は1300万円だという。
2つ目の戦略である「地域金融機関を中心にパートナー戦略でFinTechモデルを全国へ拡販」では、地域金融機関、税理士系コンサルティング会社や事業会社などのパートナー、SBIビジネス・ソリューションズが一体となったパートナー戦略で全国の中小企業に「月額無料のFinTechモデル」を届ける。
8月に開始した「請求QUICKパートナープログラム」には、島根銀行といった地銀や信用金庫11行に加えて、大手税理士グループやシステム会社、グループ企業のSBI証券などが参加している。「あらゆる層の中小企業に請求QUICKを広めるという取り組みを進めている」と夏川氏はアピールした。