「SIerは“インナー”であれ」–日鉄ソリューションズ社長が語るDXの勘所とは

今回は「「SIerは“インナー”であれ」–日鉄ソリューションズ社長が語るDXの勘所とは」についてご紹介します。

関連ワード (松岡功の一言もの申す、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業とそれを支援するシステムインテグレーター(以下、SIer)はどのような関係が望ましいのか。この問いに、ユーザー視点で「大事なのは“圧倒的な当事者意識”」、SIer視点で「私たちはお客さまの“インナー”でありたい」と答えた日鉄ソリューションズ社長に、その真意を聞いた。

 「以前は掛け声だけが先行していた印象が強いDXだが、2022年はその核心であるデータの利活用と共に本格的に取り組み始めたお客さまがグッと増えてきたというのが実感だ。2023年はこの動きがさらに“深化”していくだろう」(写真1)

 こう語るのは、SIer大手の日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL) 代表取締役社長、森田宏之氏だ。実は、森田氏にはここ3年連続でこの時期にお会いし、特にDXをテーマにユーザー企業の動向や同社の取り組みについて取材してきた。これまでの話は本サイトで、2020年12月24日掲載記事「2021年は本格的なDXの“夜明け”の年に–日鉄ソリューションズ社長の決意」、2022年1月7日掲載記事「2022年は『ファストDXパートナー』へさらに前進する年に–日鉄ソリューションズ社長の決意」といった形で取り上げてきた。筆者が同社の動きに興味深く感じているのは、SIerとして自社の強みを踏まえてDXへの取り組みに注力しているからだ。

 NSSOLのDXへの取り組みは上記のこれまでの記事で紹介しているが、基本的な考え方について改めて記しておこう。まず、同社はDXを「組織・業務プロセス・システムを、データとデジタル技術によって横断的に変革し続けること」と定義している。すなわち、「経営改革」そのものということだ。その上で、「お客さまのDX実現に向けて共にその難所を乗り越えていくかけがえのない『ファストDXパートナー』を目指す」ことをビジョンとして掲げている。

 森田氏はファストDXパートナーとしてプロジェクトを進めている事例として、親会社の日本製鉄が推進するDXの取り組みを次のように説明した。

 「当社は日本製鉄のDXを全面的にサポートするため、課題認識をしっかりと共有した上で、とりわけデータの利活用についてAIやIoTを駆使して全社のさまざまなデータの収集を行い、利用者がそれらのデータの意味を正しく把握し理解した上でセキュアに活用できる統合データ基盤を構築した。今後、この基盤によってデータ利活用がさらに進むものと確信している」(図1)

 さらに、同氏はこう続けた。

 「私はこの親会社との関係で、これまでのシステム構築もさることながら、全社的な取り組みが不可欠なDXについては、さらにお客さまの中に入り込んで“インナー”として課題を共有し、それを解決するためにはどうすればよいかを一緒になって考え、議論し、方向性を見いだして行動することが最も大事なことを痛感した。従って、今、進めている他のお客さまとのDXプロジェクトもインナーとしてきちっと役割が果たせるように尽力している。それがDXにおける当社の最大の強みだと確信しており、今後もどんどんお客さまのインナーになっていきたい」

 この発言に対しては、「親子関係なのだから、もともとインナーではないか」と見る向きもあろうが、筆者はどういう関係だろうが、ユーザー企業とSIerをはじめとしたITサービス企業による「あるべきDXプロジェクトの姿」ではないかと感じた。

 また、このパートナーシップの形態は「共創」とも受け取れるが、もう一歩踏み込んで「立ち位置そのものも同じ」という印象だ。さらに、森田氏が言う「インナー」はインサイダーとも同じ意味合いだが、本稿では「中に入り込んだ」状態を強調する意味でインナーという表現を引き続き使っていきたい。

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