AWSとMSのクラウド市場独占に懸念–英放送通信庁が中間報告
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英国の放送通信庁(Office of Communications:Ofcom)は現地時間4月5日、英国におけるクラウド市場の競争について、中間報告を発表した。それによると、顧客が複数のクラウドプロバイダーを切り替えて利用することを困難にしている市場の特徴や慣行を、暫定的に特定したという。そして、とりわけ市場における地位が高いAmazon Web Services(AWS)とMicrosoftの慣行に懸念を抱いている。
このためOfcomは、市場のさらなる調査を英国競争・市場庁(CMA)に依頼することを提案している。
クラウドコンピューティングは、電気通信企業、放送局、公共機関など、経済のあらゆる企業にとって不可欠なものとなっている。ソフトウェア、ストレージ、ネットワーキングなどのサービスにリモートアクセスできるように、世界各地のデータセンターが利用されている。
Ofcomは2022年10月に、英国のクラウドインフラサービス市場がどのように機能しているかを評価すべく、2002年企業法(Enterprise Act 2002)に基づいて調査を開始した。競争の強度に加え、他社の参入や中小企業の事業拡大を困難にすることで、この分野の革新や成長を阻害する可能性がある特徴について調査したという。
英国の大手クラウドプロバイダーはAWSとMicrosoftで、両社合わせて市場の60〜70%を占めていることが判明した。Googleが市場シェア5〜10%でこれに続く。3社は「ハイパースケーラー」と呼ばれ、クラウド利用者の大半は何らかの形でこれらの企業のサービスを利用している。
クラウドプロバイダーが新規顧客を獲得するために、革新的製品や割引を提供しているという点では、競争原理が働き、ユーザーは恩恵を受けている。その一方で、市場には以下のような懸念すべき特徴があることが分かった。
こうした市場の特徴により、一部の既存顧客はプロバイダーとの取引を有利に進めることが困難になっている。クラウドユーザーは、契約更新の際に大幅な値上げに直面するなど、すでに弊害が指摘されているという。
市場リーダーであるAWSの収益性が高く、Microsoftの収益が一貫して増加していることなどは、全体的な競争がすでに限界に達しつつあることを示唆している。
このためOfcomは、クラウドインフラ市場のさらなる調査を行うよう、CMAに働きかけることを提案している。
Ofcomは5月17日まで、中間報告とCMAへの調査依頼に関するフィードバックを受け付ける。最終報告は10月5日までに公開する予定だ。