ヴイエムウェアが日本進出20年–「おもちゃ」扱いの仮想化はクラウド時代を創造

今回は「ヴイエムウェアが日本進出20年–「おもちゃ」扱いの仮想化はクラウド時代を創造」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ヴイエムウェアは4月12日、日本法人の設立20周年を記念した懇談会を都内で開催した。米国本社も創業25年目を迎え、懇談会では仮想化技術発展の歴史などを回顧しつつ、これからの取り組みなどを紹介した。

 VMwareは米国カリフォルニア州パロアルトで1998年に創業し、日本には2003年に進出した。最初はわずか数人体制で東京・恵比寿のシェアオフィスに拠点を設けた。日本市場で仮想化技術の意義を啓発しても、当初は著しく処理性能が向上したPC向けCPUの余力を使う程度の「おもちゃ」扱いをされる状況だったが、2000年代中盤からサーバーへの適用でハードウェアを効率的に利用できる意義が認識されると導入が加速。適用領域をITインフラ全体に広げるとともに、現代では当たり前のクラウドコンピューティングも仮想化技術の発展なしには普及し得なかっただろう。

 懇談会であいさつした代表取締役社長の山中直氏は、「金融担当営業として入社したが、最初は仮想化が怪しい言葉だった」と回顧。同氏は、NECからヴイエムウェアへ転職して在籍16年目になるとのことで、「長い間日本のお客さまやパートナーと伴走しているが、とてもエキサイティング」と自社のビジネスへの思いも吐露した。

 山中氏は20年間を“4つの章”で振り返った。第1章はハードウェアにロックインされたサーバーに“自由”をもたらしたこと、第2章は「Software Defined Data Center」(SDDC)をテーマにデータセンター全体に仮想化を広げたこと、第3章はSDDCによってハイブリッド/マルチクラウドが実現されたこと、第4章は現在から未来としてハイブリッド/マルチクラウドを最適な形で利用していくことだという。

 同社としての仮想化技術の展開は、サーバーからストレージ、ネットワーク、デスクトップに広がり、サイバーセキュリティなどを取り込みつつ、現在ではコンテナーやKubernetesなどによるアプリケーション領域にまで多様化している、山中氏は、同社が一貫して仮想化技術を用い、物理的なITリソースを抽象化して論理集約を図ることでITリソースの最適化し、また、ワークロードの稼働環境を柔軟に選択できる自由度を高めてきたと強調した。

 2023年から先の方向性は、上記の第4章の位置付けから仮想化をデータが生成される場所に近いエッジ領域にも広げること、そして、ミッションクリティカル領域へSDDCを展開することだという。前者では、現場発のデータをクラウドで効率的に利用するためにも中間に当たるエッジ領域での情報処理の必要性が高まっており、ここではAI技術の利用も始まっていることから、仮想化を用いて効率的なエッジコンピューティングの実現を支えていく。後者では、例えば、通信事業者の基幹通信ネットワークで5Gへの対応に伴うオープン系技術の本格的な採用が検討されており、金融でも同様の動きが見られている。

 山中氏は、一貫して仮想化技術の意義を広めてきた同社の基本的な役割は今後も同じであり、この先も顧客やパートナーと伴走しながらこの役割を全うしていきたいと抱負を語った。

 また、現最高経営責任者(CEO)のRaghu Raghuram氏と同期入社で、日本法人の立ち上げメンバーとして在籍20年になるパートナー技術本部長の名倉丈雄氏も、「初期におけるサーバーへの仮想化技術の適用は極めて難易度が高いものだった」と振り返った。それでも仮想化技術に注目した当時の先進的な顧客と伴走しながらその有効性を示してきたことで、仮想化技術普及の礎を築いた。

 特に、2011年の東日本大震災で多くのデータセンターが被災したことにより、事業継続や災害対策の観点から仮想化技術を活用するクラウドの必要性が大いに注目されたとする。これが転機となって、仮想化の適用領域がデータセンター全体に広がり、IaaSが本格的に台頭し、現在におけるハイブリッド/マルチクラウドの実装へつながっているとした。

 名倉氏も山中氏と同じく同社が一貫して仮想化技術の意義を広めてきたとしつつ、「個人的にはITを道具だと捉えおり、道具を生かして社会の持続的な発展を実現していくことにこれからも取り組みたい」と話した。

 懇談会ではゲストとしてIT調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)でシニア・アナリストを務める入谷光浩氏がITインフラと仮想化技術の歴史を紹介した。アナリスト歴19年という入谷氏は、自身の経歴がまさにITインフラや仮想化技術の歴史と重なるとし、初めて携わった調査テーマが仮想化技術だったという。

 入谷氏は、コロナ禍やDXを通じて今後のクラウドがITだけにとどまらない社会全体のデジタルインフラに位置付けられていくと予想し、エッジに仮想化技術を適用するなどの変化が生じていると解説。さらに、企業でサステナビリティー(持続可能性)が重要なテーマになり、多様な人材に選択や活躍の機会を提供する必要性が高まっているとも指摘し、一例として出産や育児などにより離職した女性の復職をITで支援するヴイエムウェアの取り組み「VMware Sakura」などに注目しているとした。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
IBM、433量子ビット搭載の量子プロセッサー「Osprey」を発表
IT関連
2022-11-12 05:58
「名古屋城」駅誕生へ 名古屋市営地下鉄が4駅を名称変更 23年から
くらテク
2021-01-26 08:04
服を着たままAI身体推定採寸を行える「Bodygram」が健康保険組合向け健康増進アプリに採用
ヘルステック
2021-04-17 05:00
Intelの次期CEOゲルシンガー氏、全社会議でAppleを「クパチーノのライフスタイル企業」と
企業・業界動向
2021-01-19 23:13
ジョブ型人事制度にもの申す–新入社員や経営者をどう育成するのか
IT関連
2023-08-18 08:30
Deel、企業の米国進出を後押しする機能を提供–PEO、米国給与計算、給与計算コネクト
IT関連
2023-10-18 04:44
AWS、高速起動にこだわった軽量なJavaScriptランタイム「LLRT」(Low Latency Runtime)をオープンソースで公開。AWS Lambdaでの利用にフォーカス
AWS
2024-02-15 07:06
体験型ストア運営のb8ta Japanが日本における全ライセンス取得し米国b8taから独立、アジア進出も視野
IT関連
2022-02-26 15:17
米国防総省、1兆円超のクラウド事業でマイクロソフトとの契約を解除
IT関連
2021-07-07 11:39
ミロ・ジャパン、セキュリティ・コンプライアンス保護機能「Miro Enterprise Guard」提供
IT関連
2024-03-20 16:57
データサイエンティストとエンジニア、役割のあり方–製薬大手ノバルティスのアプローチに学ぶ
IT関連
2022-05-21 22:12
AppleのDolby Atmos空間オーディオをビートルズ「Abbey Road」で体験 空間オーディオの制作も試してみる (1/4 ページ)
イラスト・デザイン
2021-06-30 15:26
FBI長官、ランサムウェアの脅威と911テロがもたらす課題に「類似点」
IT関連
2021-06-07 12:01
パッケージマネージャ「Homebrew 4.0」正式リリース、より高速に。Git cloneからJSONによるパッケージ管理へ切り替え
Apple
2023-02-20 04:11