プライバシーが気になる人向けのブラウザー「Mullvad」
今回は「プライバシーが気になる人向けのブラウザー「Mullvad」」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
筆者のシステムにインストールされているウェブブラウザーの数は、日に日に増えている。通常は1つか2つだけを使っているが(今は「Firefox」と「Sidekick」)、筆者はそこに時々3つ目を加えてみることにしている。現在はそれが「Mullvad Browser」だ。
MullvadはFirefoxブラウザーをリビルドしたもので、「Linux」「macOS」「Windows」で利用できる。その特徴は、ブラウザーのフィンガープリントを減らすことによって、オンライン活動のプライバシーやセキュリティを高めていることだ。
ブラウザーのフィンガープリントとは、ユーザーのオンライン活動に関するさまざまな情報を収集し、ユーザーを特定するための手段のことを指す。こうしたフィンガープリントを使えば、たとえクッキーを無効にしていても、ユーザーやデバイスを部分的に、あるいは完全に特定することができる場合がある。
実は、ブラウザーのクッキーを完全に無効にしていても、フィンガープリントを使えば第三者がユーザーを特定することは可能なのだ。
では、Mullvadはどうやってそのような行為を防いでいるのだろうか。このブラウザーは、ウェブサイトがユーザーのフィンガープリントを取得できないように、さまざまなメタデータをブロックするようになっている。また、フィンガープリントをさらに減らすために、サードパーティのクッキーやトラッカーをブロックし、必要最小限のプラグイン(例えば、広告をブロックする「uBlock Origin」など)だけを使用している。もちろん、Firefoxの設定を変更してMullvadと同じような挙動をさせることも可能なのだが、真剣にプライバシーを守りたいと思っており、設定の手間をかけずにそのまま使えるものが欲しいという人は、Mullvadを使ってみるといいだろう。
それならば、なぜ「Torブラウザー」を使わないのかと思う人もいるかもしれない。Torブラウザーは、トラッキングやその他のセキュリティ面での脅威を防ぐだけでなく、「Onion Network」を使うことで完全な匿名性を実現している。多くの人がTorを使わない理由は、標準的なブラウザーよりも複雑であるためだ。
その点では、Mullvadは非常に魅力的だ。ただし、Mullvad自体はVPNを備えていないため、匿名性の保護に関してはTorよりもはるかに劣っている。筆者はMullvadでwhatismyipaddress.comにアクセスし、簡単なテストを行ってみたのだが、その結果は少々困惑させられるものだった。このサイトは、最初に実行したときには筆者の私のIPv6アドレスを正しく検出したが、IPv4アドレスは検出できなかった。しかし、2回目のテストではそれが逆になった。ただし、どちらの場合も、筆者の居場所とISPは正しく特定された。この2回のテストで結果が異なっていた理由ははっきりしないのだが、Torブラウザーを使った場合は、IPv4とIPv6の両方のアドレスも、居場所も完全に隠蔽することができた。