AIの第一人者ルカン氏、現在のアプローチの多くは真の知能につながらないと批判

今回は「AIの第一人者ルカン氏、現在のアプローチの多くは真の知能につながらないと批判」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「Facebook」「Instagram」「WhatsApp」を運営するMeta Platformsで人工知能(AI)担当のチーフサイエンティストを務めるYann LeCun氏は、この分野に携わる多くの人を困惑させることになりそうだ。

 LeCun氏は6月、「Open Review」に投稿した論文で、機械に人間レベルの知能を持たせることが期待できると考えるアプローチについて概観を示した。

 この論文で暗に主張しているのは、現在のAIに関する大規模なプロジェクトのほとんどは人間レベルという目標に決して到達できないという点だ。

 LeCun氏は、9月に入って米ZDNetが実施した「Zoom」でのインタビューの際、現時点で最も成功しているディープラーニング(DL)の研究手法の多くを非常に懐疑的に見ていることを明らかにした。

 コンピューター科学分野のノーベル賞に相当する「ACM A. M. チューリング賞」を受賞したこともあるLeCun氏はZDNetに対し、同業者らの研究について「必要だが十分ではないと思う」と述べた。

 こうした研究の中には、「Transformer」ベースの「GPT-3」などの大規模言語モデルや類似の研究がある。LeCun氏が指摘するように、Transformerの支持者らは「すべてをトークン化し、巨大なモデルを訓練して離散的な予測をさせれば、そこから何らかの形でAIが生まれてくる」と考えている。

 「それが未来の知能システムを構成する要素かもしれないという意味では間違っていないが、必要不可欠な部分が欠けていると思う」(LeCun氏)

 うまくいっているように見える研究に対し、DLプログラムで極めて生産性の高い実践的な技術である「畳み込み神経回路網」(CNN)の使用を確立させた学者が、驚くべき批判を展開した格好だ。

 LeCun氏は、この技術で大きな成功を収めている他の多くの分野にも、欠点や限界があるとみている。

 強化学習も決して十分ではないと同氏は主張する。チェス、将棋、囲碁をマスターした「AlphaZero」プログラムを開発したDeepMindのDavid Silver氏などの研究者は、「極めて行動ベース」のプログラムに重点を置いているが、「われわれ人間が行う学習のほとんどは、実際に行動を起こすことによってではなく、観察することによって行われている」とLeCun氏は考えている。

 62歳のLeCun氏は、数十年にわたって実績を積み重ねてきた経験から、それでも多くの人が突き進もうとしているかに見える行き詰まりを直視し、この分野を進むべき方向へ導く必要があるとの切迫感を口にした。

 「人間レベルのAIを実現するには何をすべきか、という主張を沢山見かける」と同氏は言う。「しかしその中には、方向性が間違っていると思われるアイデアもある」

 Lecun氏は、「まだ私たちは、AIに猫レベルの常識を持たせることもできていない」と述べた。「まずはそこから始めるべきだろう」

 同氏はまた、動画の次のフレームを予測するような場合に生成ネットワークを利用することに対する、これまでの信念を捨てたという。これは「完全に失敗だった」と述べている。

 同氏は、「機械学習を説明できるフレームワークは確率論しかない」と考えている人々を「宗教的確率論者」と呼んで批判した。

 純粋な統計学的アプローチは非常に扱いにくいと同氏は言う。「完全に確率論だけで世界モデルを作るのは無理がある。私たちはそれを実現する方法を知らない」

 アカデミズムの世界だけでなく、産業用AIにも大きな再検討が必要だとLeCun氏は主張した。同氏は、自動運転車業界の人々(例えばWayveのようなスタートアップ)は、「少し楽観的すぎる」と考えを述べた。「大規模なニューラルネットワークにデータを入力しさえすれば、ほとんど何でも学習できる」と考えてしまっているという。

 LeCun氏は、先進運転システム(ADAS)について「確かに、人間の常識を持たせることなくレベル5の自動運転車を実現できる可能性は十分にある」と述べたものの、「しかし、それを作るのは恐ろしく大変だろう」と主張した。

 あらゆるコンピュータービジョンがDLによって陳腐化してしまったことを考えれば、そのような過剰に高度な自動運転技術は、余裕がなく脆いものになってしまうというのが同氏の考えだ。

 「最終的には、世界の仕組みを理解することができるシステムを使った、満足感が高い、よりよいソリューションが生まれるかもしれない」(同氏)

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