事業会社の84%にIT人材の評価基準なし–IPA調査
今回は「事業会社の84%にIT人材の評価基準なし–IPA調査」についてご紹介します。
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情報処理推進機構(IPA)は、「デジタル時代のスキル変革などに関する調査報告書(2022年度)」を公開した。多くのIT人材がキャリアの向上に意欲的である一方、特に事業会社ではIT人材を評価したり把握したりする基準が存在しない実態が判明した。
調査は、IT人材の学びや労働移動、企業の変革および組織・人材マネジメントなどの実態把握を目的に実施されたもの。個人へのアンケートを2022年11月27日~12月13日に行い、企業に所属するIT人材1500人と特定の企業に属さないフリーランスのIT人材397人から有効回答を得た。また、企業へのアンケートも2022年12月9日~2023年1月10日に行い、IT企業792社、事業会社1225社から有効回答を得た。
IPAは調査結果を基に、特に企業に所属する先端IT従事者(データサイエンス、AI、IoT、デジタルビジネス/X-Tech、アジャイル開発/DevOps、拡張現実/仮想現実、ブロックチェーン、自動運転/MaaS、5G、その他先端領域の各領域に関するサービスに従事する人材)と、それ以外の非先端IT従事者のキャリア実態などを分析した。
それによると、まずキャリアの志向性は、先端IT従事者(568人)の20.4%が「これまで担ってきた職務・役割にとらわれず、大きくキャリアチェンジしたい」、39.3%が「これまで担ってきた職務・役割よりも高いレベルであったりこれまでの職務・役割に近しい別の職務・役割を担いたい」と回答した。非先端IT従事者(932人)では18.1%、32.2%だった。
他方で、キャリア形成上の悩み(複数回答)は、先端IT従事者の32.2%、非先端IT従事者の28.5%が「キャリアアップのための計画的な配置・育成がされていない」と回答。また、先端IT従事者の2割以上が「異動などについて自身の意向が反映される仕組みがない」「キャリアパスが不明確」「上司以外でキャリアについて相談できる存在がいない」「参考となるロールモデルがない」とした。また、「特に悩みはない」が先端IT従事者では15.3%、非先端IT従事者では28.3%だった。
新たなスキル獲得に有効な方法については、多くの先端IT従事者が「兼業・副業における経験」「組織外の勉強会やコミュニティ活動などへの参加」を挙げた。先端IT従事者でも「兼業・副業における経験」が多いものの、特に「資格取得のための勉強」「オンライン講座などによる学習」が目立つ。
社内のIT人材を評価・把握するための基準は、IT企業(回答792人)では49.2%が「ある」としたのに対し、事業会社(同1225人)では8.1%にとどまり、基準がないのは事業会社で84.1%、IT企業で41.5%に上った。