生成型AIは業務の生産性向上に貢献する–全米経済研究所の調査

今回は「生成型AIは業務の生産性向上に貢献する–全米経済研究所の調査」についてご紹介します。

関連ワード (調査等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 職場における生成型の人工知能(AI)について考えるとき、われわれはAIによって仕事が奪われるという最悪のシナリオを思い浮かべがちだ。しかしある研究によると、生成型AIのツールは働く者にとって、特に顧客サービス分野で働く人々にとって、プラスの影響をもたらすものになり得るという。

 全米経済研究所(NBER)の調査報告書では、生成型AIを用いることで、コールセンターにおける顧客サポート担当者の1時間あたりの問題解決件数が増加し、生産性が平均14%向上したというデータが紹介されている。

 この調査では、Fortune Global 500に名を連ねる、あるソフトウェア企業の5000人を超える顧客サポート担当者のデータが使用された。これらのサポート担当者らは、OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)であるGPT(Generative Pre-trained Transformer)の最新のバージョンで構築されたツールを作業支援目的で使用した。

 このLLMは、顧客とのやり取りをリアルタイムで監視し、担当者に対応方法を提示する。その結果、担当者はより迅速に問題に対応できるようになり、1時間あたりに回答するチャット数が増え、問題をより適切に解決できるようになったと同報告書は記している。

 この調査では、スキルや経験が不足している担当者ほど生産性が大きく向上したという点も明らかになった。

 このAIツールは経験の差を埋める上で有効だった。業務経験が2カ月の従業員がAIを使用した場合の生産性は、業務経験が6カ月で、AIを使用していない従業員と同程度だった。

 つまり、スキルに長けた従業員はAIの支援を受けたとしてもさほど生産性が向上しないということだ。その理由は、AIの支援が本質的に、熟練者が身に付けている知識の模倣であるためだ。

 またAIは、従業員の生産性を最適化するだけでなく、従業員に対する顧客の人当たりを改善する上でも役立つため、通話を責任者にエスカレーションするケースの削減につながったという。

 総じてこの調査は、AIによって単に人間の仕事が置き換えられていくのではなく、支援を受けられるというプラスの可能性を示す、現実世界での事例を提示している。

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