シヤチハタの「Shachihata Cloud」、既存の押印プロセスをそのままデジタル化
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シヤチハタは5月22日、電子決裁サービス「Shachihata Cloud」に関する記者説明会を開催した。
Shachihata Cloudは、旧サービスの「パソコン決裁Cloud」を改名して2020年に発表された。電子印鑑やワークフローなどの機能を備え、導入数は95万件に達する。同社によれば、サービスの継続率は97%で、月間利用数は430万回を超える。
デジタル認証事業部部長の石井慶氏は「日本独自の文化とされている印鑑をベースに、紙の保存とデジタルを融合して、電子商取引に使っていただけるようサービスを発展させたい」と意気込みを述べた。
Shachihata Cloudの特徴は、既存の帳票などを作り替えることなく、紙での押印プロセスをそのままクラウドに置き換えるで、業務効率化を推進できる点にあるという。
コロナ禍でハイブリッドワークが浸透し、押印文化は衰退したように見えたが、必ずしも廃止できない場合もある。Shachihata Cloudは、そのような企業のデジタル化を後押しする。ユーザー当たり月額110~550円(初回契約時は月額550円以上)で利用できる。代表印や角印を利用する際は1印影当たり110円の追加料金が必要になる。
また、社内決裁者までの処理自動化や押印者の証跡を残す機能も備えているため、紙運用による既存のビジネスプロセスをデジタル化する際も役立つだろう。他にもタイムカードや名刺フォルダー、勤怠管理やToDo管理などのオプション機能を提供する。
同社が示した調査結果によれば、11種類以上のSaaSを導入している企業は2022年度で32.7%増(2020年比)ながらも、操作方法に不満を覚える割合は35%、異なるSaaSの併用で混乱する従業員は30.8%に上る。
SaaSは迅速な不具合の修正や機能拡張が利点だが、オンプレミス環境のように“常に同じ”状態で使い続けるのは難しい。その点、Shachihata Cloudは紙の運用をデジタル化することに焦点を当てたサービスのため、ITに不慣れな人でも“紙+印鑑”の感覚で利用できる。二要素認証やIPアドレス制限、SAML認証などセキュリティ面の強化も図られている。
サービス利用者は従業員数350人未満の中小企業が中心となっており、ユーザーの中で中小企業が占める割合は2022年で前年比7%増の72%だった。
前述したサービスの簡易さや費用面のほか、政府から補助金が受けられる点も大きいのだろう。今後は電子帳簿保存法や電子署名法、インボイス制度にも対応するとしている。また、2023年夏から秋にかけて事務管理部門の業務を支援する機能拡張を予定している。