就任1カ月のSAS日本法人–新社長は「今の思い」をどう語ったか
今回は「就任1カ月のSAS日本法人–新社長は「今の思い」をどう語ったか」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、SAS Institute Japan 代表取締役社長の手島主税氏と、Tenable セキュリティレスポンス 兼 ゼロデイ調査担当ディレクターのRay Carney氏の発言を紹介する。
SAS Institute Japanの代表取締役社長に4月28日付で就任した手島氏に先頃、話を聞く機会を得た。冒頭の発言は、「これから一番やりたいことは何か」との質問に答えたものである。
手島氏は、1998年に日本ヒューレット・パッカードへ入社し、親会社である米Hewlett-Packardでの勤務などを経て、2014年に日本法人の執行役員HPサーバー事業統括本部長を歴任。2015年セールスフォース・ドットコム(現セールスフォース・ジャパン)に入社し、執行役員、常務執行役員アライアンス本部長を経て、2017年12月に日本マイクロソフトに入社。執行役員常務としてクラウド&ソリューション事業本部長やインダストリアル&製造事業本部長を歴任した。
外資系ITベンダーで、オンプレミスのインフラやクラウドサービスのインフラからアプリケーションまで幅広い事業に携わってきた形だ。筆者も10年ほど前から折々で取材をさせてもらってきた。そして、心機一転、米SAS Institute日本法人のトップに就いた格好だ。
「まだ就任して間もないので事業戦略については改めて」ということで、取材というより懇談形式だったので、まずは今の思いを聞いてみた。すると、「グローバリゼーション」についての考え方を次のように語った。
「グローバル化が進む中で、これまでさまざまな業界のお客さまとお付き合いさせていただいてきて、今、強く感じていることがある。それは、日本の企業も積極的にグローバルでの事業展開を図っているが、一方で、グローバル企業に不可欠なダイバーシティー&インクルージョンのカルチャーや人材の不足に頭を悩ませているところが少なくない。そうしたお客さまの悩みに対し、本来ならば外資系ベンダーの私たちがテクノロジーとともにサポートしていくべきではないか。そう考えた時、私たちは日本のお客さまのお役に立てるような真のグローバリゼーションをグローバル企業の一員として身に付けているか。今回、自分自身が新しい職に就いたのも、その点における危機感と改めての挑戦したいという思いが強くある」
長年にわたって外資系企業に在籍してきた手島氏の「外資系に居る自分だからこそ日本企業を元気にできる手立てがあるはずだ」という思いが詰まった発言だと感じた。
では、その新しい職としてSAS日本法人社長に就いた理由は何か。同氏は「3つある」と言って次のように説明した。
「1つ目は、46年の歴史がある企業として新たなステージへ向けた変革に挑戦していること。新規株式公開(IPO)の予定もさることながら、AIとアナリティクスを活用した業界別ソリューションの拡充に今後3年間で10億ドルを投資するなど、果敢な取り組みが目白押しだ。このタイミングで日本法人のリーダーをやらせてもらえるのは、自分にとっても大きなチャンスだ。2つ目は、SASの企業カルチャー。ダイバーシティー&インクルージョンが深く浸透していることに大きな魅力を感じている。3つ目は、テクノロジー。これから最も進化するテクノロジー領域は、データとアプリケーションの2つだと私は見ている。SASはAIとアナリティクスでその2つに領域にさらに大きな影響力を及ぼす存在になる」
その上で、SASで一番やりたいこととして、冒頭の発言があった。
最後に筆者から一言。SASは独特の立ち位置から、これまでアナリティクス市場のトレンドや競合状況を巡る話題に上ることがあまりなかった。一目置かれているとも言えようが、露出が少ないのはやはり新たなステージへ向かうSASとしていかがなものか。その意味で、手島氏の持ち前の明るい発信力に大いに注目したい。