インテル、12量子ビットチップを発表–研究施設に提供へ
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Intelは米国時間6月15日、「Tunnel Falls」という名称の量子プロセッサーを開発したと発表した。同社は、革新的なコンピューティング技術である量子コンピューティングの実用化に向けて研究している施設にこの製品を提供する。
Tunnel Fallsは、量子コンピューティングにおけるデータ処理の基本単位である「キュービット」を12個搭載したシリコンチップだ。12キュービットという規模は、最終的に競合企業を超える量子コンピューティングハードウェアを開発しようとしている同社にとって大きな一歩だ。
Intelのアプローチは、ほとんどの競合他社のそれとは異なっている。Tunnel Fallsは、電子を利用しているという点では膨大な数のPCに搭載されているコンピューターチップと同じだが、チップ内に収容した単一の電子からキュービットを生み出すようになっている。Intelは、IBMやGoogle、Quantinuum、IonQといった、何年も前から量子コンピューターを提供してきている競合他社に後れを取っている。しかし同社は、その資産と従来型のチップテクノロジーを組み合わせることで、長足の進歩を遂げられるようになると確信している。
Intelの量子コンピューティングハードウェア責任者であり、Intel Labsのバイスプレジデントを務めるJim Clarke氏は「私にとって、新たなツールを開発するよりも、既にあるツールを用いる方が自然なのだ」と述べている。Intelは、オレゴン州にある同社のD1ファブで独自の量子コンピューティングチップを製造している。
量子コンピューターはわれわれが購入するようなものにはならないだろうが、われわれの生活に直接影響を及ぼす可能性がある。このテクノロジーに投資しているのは、より収益性の高い投資案件を求めている金融サービス企業や、より性能の高い電池を開発しようとしている材料科学分野の研究者、より効果的な薬剤を生み出そうとしている製薬会社、敵対者の暗号通信を解読しようとする政府などだ。
このような課題は従来型のコンピューターでは解決できないものの、微小なスケールにおける奇妙な物理現象を武器にする量子コンピューティングには解決できる可能性が秘められている。今日の量子コンピューターは、汎用目的で使えるレベルに達しておらず、このテクノロジーが約束しているものすべてが実現するのは何年も先だが、物理学者やエンジニアらの努力によって日々、着実に進歩を遂げている。
大規模製造に長けているIntelは、同社が量子プロセッシングユニット(QPU)と呼ぶ量子チップを量産することで、量子コンピューティングの進歩を加速させたいと考えている。進歩を加速させるための米政府によるプログラムから助成を受けている組織の1つであるメリーランド大学も同社のマシンを使用する計画だ。