AI時代に求められる翻訳の在り方–Wovn Technologiesが考えるこれからの多言語化
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Wovn Technologiesは6月16日、BtoB製造業向けに同社カンファレンス「GLOBALIZED」を開催した。同社 取締役副社長 最高執行責任者(COO)を務める上森久之氏は、多言語化におけるAIの活用について語った。
ウェブサイト/アプリケーション向け多言語化ソリューション「WOVN.io」を提供する同社は、「世界中の人が、全てのデータに母国語でアクセスできるようにする」をミッションに掲げる。同ソリューションで多言語化したページを訪問したユーザーは累計で30億人を超える。従業員はおよそ100人で、4割が製品に関わり、国籍は20以上と多様性に富む。資金調達額は累計54億円。
導入企業は、金融、エンターテインメント、メディア、小売、流通と多岐にわたるが、特にこの2年ではBtoBの製造企業の課題を聞くことが多かったと上森氏。引き合い数は、コロナ禍前後で2倍になっているという。
その背景として、ウェブサイトを多言語化しているものの、他国語圏にも取引先がある/これからできることからの「言語拡張」、コンテンツ量が日本語に比べて少なく、場合によっては更新が滞っていることからの「更新」という2つの課題があると上森氏。
言語拡張で期待できることとして「シグナリング効果」があるという。特定の言語で情報を提供することで、その言語が使用されている国や地域の企業に対して「取引をしたい」というシグナルを発信できる。
サイトを更新することで企業は新鮮な情報を伝えることが可能になる。ある企業では、他国語のサイトの情報が日本語版に比べて古い、少ないといったことから、現地法人の営業やサポート部門では独自に資料を作成する必要があったという。また、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:統制)への配慮がなされていなかった一昔前の価値観に基づく画像や文言が残ったままということも起こり得る。
このような「正しくない」「価値がない」「価値観がずれている」情報といった多言語化に関する問題が起こる原因には、日本企業におけるローカリゼーションマネージャーの不在があると上森氏は指摘する。翻訳に関する業務をまとめて受け持つローカリゼーションマネージャーがいるのは、日本の場合、ゲーム、大手製造、製薬といった企業に限られるという。
そのため、Wovn Technologiesでは、ローカリゼーションマネージャーがいなくても多言語対応できるというコンセプトで製品を開発する。同社製品は、「開発不要SEO(検索エンジン最適化)対策も可能」「ダッシュボードで各種リソースを可視化」「複数の翻訳エンジンに対応」「AIを活用」が主な特徴だという。