デル、「APEX」のマルチクラウド化とゼロタッチエッジを展開

今回は「デル、「APEX」のマルチクラウド化とゼロタッチエッジを展開」についてご紹介します。

関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デル・テクノロジーズは6月23日、5月に米国ラスベガスで開催した年次イベント「Dell Technologies World 2023」の日本向け報告会を開催した。アズ・ア・サービス「APEX」のマルチクラウド化と、IT担当者不在でも利用できるというエッジコンピューティング向けソフトウェア群「Dell NativeEdge」を中心に説明した。

 報告会の冒頭では上席執行役員 システムズ・エンジニアリング統括本部長の藤森綾子氏がイベント全体を振り返った。Dell Technologies Worldは、旧Dellと旧EMCが合併してからのイベントで2023年は8回目を数える。現地に約1万人が来場し、日本から同社の顧客とパートナーら150人以上が参加したという。「アイデアをより早くイノベーションに」をテーマに、同社が成長領域と位置づけるエッジ、5G、データ管理、AI/機械学習、セキュリティ、クラウドでの新製品やサービス、パートナー協業施策などを多数発表した。

 主な新しい取り組みは、NVIDIAとの協業で生成AIを迅速な開発環境を実現する「Project Helix」と、30社以上のセキュリティベンダーと共同で米国防総省が検証したゼロトラストセキュリティアーキテクチャーから製品化を目指す「Project Fort Zero」になる。また、2022年初頭から進めてきたAPEXをマルチクラウド対応にする「Project Alpine」が今回、「APEX Storage for Cloud」の名称で製品化に至った。

 APEX事業推進部 ビジネス開発マネージャーの木村紳也氏によると、これまでのAPEXは、基本的にオンプレミスの同社製品を従量課金で容易かつ迅速に利用できるクラウド型のサービスだった。これに加えて今後は、Project Alpineの成果として、オンプレミスの環境をマルチクラウド環境に展開していく機能と、逆にマルチクラウド環境をオンプレミスの環境に取り込んでいく機能を追加していくことになるという。

 まず、従来のオンプレミスの同社製品をクラウド的に利用するという部分では、同社製PCの調達、導入、展開、サポート、ヘルプデスクなどをサービスで利用する「APEX PC-as-a-Service」(日本は時期未定)、ベアメタルサーバーをサブスクリプションで利用する「Dell APEX Compute」、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)の「VxRail」によるプライベートクラウドとしてサブスクリプションで利用する「Dell APEX Private Cloud」を加えた。

 また、ストレージサービスの「Dell APEX Data Storage Services」は、データバックアップメニューを追加し、1年もしくは3年のみだった利用契約期間を1~5年に広げている。

 新たなマルチクラウドへの拡大領域では、Project Alpineの成果に基づく「APEX Storage for Cloud」が第一弾になる。デルのストレージソフトウェアをAmazon Web Services(AWS)、Microsoftの「Azure」、Google Cloudで利用可能にすることで、オンプレミス/プライベートクラウド環境を含めたデータの可搬性を実現する共通のストレージ管理層を設け、一元的な運用とコスト最適化、企業向けとしてのサービス品質を提供していくという。

 ここでは新サービスとして、AWSやAzureとオンプレミス/プライベートクラウド間でのデータ活用を実現するブロックストレージサービス「Dell APEX Block Storage for AWS and Azure」(AWSは提供開始、Azureは2023年後半予定)と、「Dell PowerScale」とAWSを連携するファイルストレージサービス「Dell APEX File Storage for AWS」(提供開始)を発表した。Dell APEX File Storageは、時期未定ながらAzure向けにも提供を計画する。パブリッククラウドに対応したデータバックアップサービス「Dell APEX Protection Storage for Public Cloud」も既に提供している。

 また、マルチクラウド環境をオンプレミスの環境に取り込んでいく部分では、パブリッククラウド上に構築しているRed Hat、Azure、VMware環境をオンプレミスにも展開する「Dell APEX Cloud Platforms」を2023年後半から提供していく。これによりオンプレミス/マルチクラウド環境でアプリケーションとデータを柔軟に配置でき、一貫性のあるガバナンスとコンプライアンスを担保できるとする。

 さらに、こうした一連の新たなサービスや機能をAPEXのコンソールから利用、管理するための仕組みとなる「APEX Navigator」を追加する。ストレージ向けの「APEX Navigator for Multicloud Storage」と、各種Kubernetes環境でのストレージ管理機能となる「APEX Navigator for Kubernetes」を用意し、ユーザーは「APEX Navigatorで調達、契約、展開、管理ができるという。2023年後半にまず米国ユーザーへ提供するという。

 同社は、Project Alpineの取り組みなどを通じて「マルチクラウド バイ デザイン」というコンセプトを打ち出してきたが、木村氏によれば、APEX Storage for Cloudなどがその具体的なサービスになるようだ。

 一方のDell NativeEdgeは、IT管理者がいない環境でも、対応のエッジデバイス(堅牢サーバーやIoTゲートウェイなど)やデータセンター/クラウドとの接続、ゼロトラストモデルに基づくセキュリティ対策の環境の構築および運用を実現するソフトウェアプラットフォームになる。

 エッジ向け施策を説明したシステムズ・エンジニアリング統括本部 通信統括部長の雨堤政昭氏によると、海外では、大規模分散型でエッジコンピューティング環境を展開する組織が増え、その運用管理の簡素化が大きな課題になっている。しかし日本では、カメラ監視など局所的なエッジコンピューティング環境が多く、この課題感がまだ低いという。

 雨堤氏は、現在ブームとなる生成AIなどがエッジ環境でも利用されるにつれ、今後より多くのさまざまな現場にエッジコンピューティング環境が展開されていくと指摘する。そうした環境では、エッジの導入や運用を担うIT管理者がいないことが多いため、IT管理者が不在でも現場担当者がエッジを導入、運用できるDell NativeEdgeをリリースした。Dell NativeEdgeと対応デバイス、ネットワーク接続だけでエッジ環境を構築できる「ゼロタッチ」をうたう。

 また雨堤氏は、同社のエッジ向け製品では、受注から納入までユーザーの要求仕様や安全性がサプライチェーンを通じて担保されているとも説明し、安全保障における同社の取り組みも強調した。

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