動的教材、ひらめく力の向上– ZVC JAPANが提案する教育分野の「Zoom」活用
今回は「動的教材、ひらめく力の向上– ZVC JAPANが提案する教育分野の「Zoom」活用」についてご紹介します。
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ZVC JAPANは6月23日、「未来の教育サミット」を開催し、オンラインコミュニケーションサービス 「Zoom」の教育分野への活用可能性について発信した。同サミットでは、教育イベントに活用できるZoomの新機能や、学校現場における活用事例などを紹介した。
公共・文教営業部 部長の島方敏氏はITRの調査を引用し、教育分野で主なウェブ会議サービスとしてZoomを利用している割合は73%だったと説明した。ZVC JAPANの調査では、全国の大学におけるZoomの利用率は95%、全校で導入している割合は15%だったとしている。
代表取締役会長 兼 社長の下垣典弘氏は「われわれは、次世代の教育プラットフォームにフォーカスしている。教育産業や大学でのZoomの利用は大変進んでおり、既にインフラになっている」とアピールした。
ソリューション エンジニア 執行役員 部長の八木沼剛一郎氏は「パンデミックに伴う制限緩和により、対面でのやりとりも戻りつつあるが、われわれとしては教育現場のデジタル化を完全になくしてしまうのは非常にもったいないと考えている。対面とオンラインの良いところを享受する教育業界のハイブリッド化に向けて、さらなる投資をしていく」と述べた。
八木氏は、新機能「Zoom Scheduler」「Zoom Sessions / Events」の教育業界における活用例を紹介した。Chrome拡張機能のZoom Schedulerにより、ユーザーは「Googleカレンダー」上で「Zoom Meetings」を設定できる。ミーティングの候補日時を設定してURLを作成・送信し、ミーティング相手は都合の良い日時を選択すると会議のURLが作成される。同機能は、保護者会の日時設定などで活用できるとしている。
Zoom Sessionsはシングルセッションのイベントを管理し、Zoom Eventsは複数日/トラックにわたる大規模なイベントの開催を支援する。両機能は、イベント開催中に運営チームやスピーカーがやりとりできる「バックステージ」、セッション後などに参加者がスピーカーに質問できる「エキスポブース」、同様の目的を持った参加者同士が親睦を深められる「ネットワーキング」を用意している(図1)。学会や学校説明会など、多くの人々が参加するイベントとの親和性が高いという。
同サミットでは、トライグループと和歌山大学教育学部附属中学校でのZoomの活用事例が紹介された。トライグループはコロナ禍を機に「オンライン家庭教師サービス」を提供し、現在はZoomを活用して「個別指導塾」「オンライン集団ライブ塾」「トライ式プログラミング教室」を運営している。教育業界の中でもかなりZoomを活用してきたというトライグループは、自社の知見を基に「教職員が対面授業に取り入れられるZoomを用いた授業」を紹介した。
「GIGAスクール構想」で児童・生徒に端末が配布されたことで、授業中にチャット機能で質問を募集し、挙手に恥ずかしさを感じる児童・生徒からの質問も促したり、投票機能で確認テストを実施してクラス全体の理解度をリアルタイムに把握したりできる(図2)。これらの取り組みは実際にトライグループで行っており、オンライン事業部・AI事業部 副部長の加藤大雅氏は「オフラインの空間でもZoomを使いこなせる」と所感を述べた。
図2:授業でのZoom機能活用法
トライグループはZVC JAPANと協業し、児童・生徒の理解を促進する「動的教材」を開発。例えば小学校の算数の授業では、三角形を動かして平行四辺形を作ることで「三角形の面積は『底辺×高さ÷2』で計算する」という根拠を示す。中学校の地理の授業では、地球のイラストを動かすことで地域によって太陽が当たるタイミングが異なることを教え、「時差」への理解を促す。
和歌山大学教育学部附属中学校では、中学2年生の有志を募り、Zoom搭載のロボットを活用して学校生活を豊かにするアイデア募集に応募したところ、1人の生徒が企画したゲーム「かくれんぼ」が金賞を受賞した。同校は「どのロボットを活用するか」などゲームの内容を再考し、授業の一環としてかくれんぼを実施。
当日は2つのチームに分かれ、「隠すチーム」がZoomに接続したスマートフォンをテレビ電話用のロボット「Telepii(テレピー)」に設置し、周囲の風景が見えることを考慮しながら校内に隠した。「探すチーム」は「iPad」でZoomに接続し、画面に映っている背景や音、相手チームからのヒントを手がかりにTelepiiを探す(写真1)。
授業後に実施したアンケートで「どんな力が高まったか」と質問したところ、生徒の回答は「ひらめく力」(55%)、「コミュニケーション力」(51%)、「観察力」(37%)の順に多かったという。探すチームに参加した生徒の感想として、「iPadの画面で班の皆と『この場所はどこだろう』『この床は○○じゃない?』とたくさん交流できた」といったものがあった。
同授業を担当した教員の矢野充博氏は「Zoomを用いた離れた人とのコミュニケーション、遠隔授業、オンラインセミナーは生活に定着したと考えている。一方、新しい技術やアイデアによって自分や相手の居場所を意識し、心躍る体験や感動もできるのではないか」と同授業で得られた知見を述べた。