シャープ、法人での見守りや運動管理を支援する「i-wellebe」を発表
今回は「シャープ、法人での見守りや運動管理を支援する「i-wellebe」を発表」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
シャープは9月7日、法人向けの見守り/運動管理ソリューション「i-wellebe(アイウェルビー)」の提供を開始すると発表した。サービス付き高齢者住宅(サ高住)などの高齢者施設やスポーツクラブ、フィットネスジム、カルチャースクールなどでの業務効率化を支援するソリューションと位置づけている。
ソリューションでは、カメラと赤外線センサーを搭載した専用端末を利用する。非接触でセンシングが可能なシャープ独自の非接触ヘルスケアセンシング技術を活用することで、対象者の顔認証を行い、出欠確認を行うと同時に、血管の負荷を数値化した「血管情報」や心臓からの血流の速さを数値化した「心拍情報」、対象物の温度を推定した値を「温度」として計測する。約5秒で一括測定し、端末に表示するととともに、クラウド上に自動的に記録する。
記録したデータは、PCやタブレットなどからウェブアプリケーションの専用コンソールで管理ができる。対象者を一括で確認したり、対象者ごとに日々蓄積された記録から、普段との違いを「アクティビティレベル」として通知し、これまでと差がある場合には、スタッフがその情報を基に個別対応を行ったりすることができる。
非接触センシング機器の「HA-A01」は、片手で持つことができる200×90×24ミリの小型サイズで、約330グラムの軽量性を実現。一回の充電で約200回の連続測定を行える。背面部にカメラと赤外線センサー、表面側に液晶モニターを搭載する。モニターには、カメラで撮影した画像や収集した情報を表示する。
端末で使用する部品の多くは、スマートフォンでも採用され、液晶モニターもスマートフォンととほぼ同等のサイズになる。LTE/5Gの通信が可能で、データはシャープのクラウドサービスへ自動送信、蓄積することができる。本体のインカメラで施設スタッフなどが自分を記録し、ログイン後にアウトカメラで対象者を測定する。顔認証による出欠確認とヘルスケアに関連する情報を取得する。
ソリューションについて説明したSmart Appliances & Solutions事業本部 PCI・ヘルスケア事業部 スマート事業推進部 課長の赤木幸知氏は、「顔認証により利用者や出席者が何かを携行したり身に着けたりすることなく、参加や入場ができるようになる」と、「血液が流れる時の動脈の伸縮は顔色の時間的変化として表れるため、カメラで取得する動画像のデータから人の目では分からない顔色の変化を検出できる。また、独自に構築した推定モデルにより血管情報と心拍情報を算出することができる」とした。
さらに、赤外線センサーでは、対象物の表面温度を推定する温度計の技術を利用して、温度を算出する。
赤木氏は、「独自技術に立脚して事業を創出することにこだわり、非接触ヘルスケアセンシング技術がその中核になる」と述べる。クラウドでは、測定対象者ごとにデータを記録して、日々蓄積されたデータと現状を比較し、その差を分析。ウェアラブルデバイスでは、1台の端末で1人を管理するが、i-wellebeは1台の端末で多数の人を管理できるのが特徴だとした。
「対象者に関する情報と、実際の対話や顔色、表情などから状況を総合的に判断し、個別に対応できる。また、新たなスタッフが配属され、対象者の名前や顔、状況が分からない場合でも、データを基に個人を特定したり、状況を確認したりできる。施設利用者の利便性向上とスタッフの業務効率化も実現する」(赤木氏)
専用のコンソールは、ウェブブラウザーから利用でき、特定のアプリケーションをインストールする手間がない。また、LTEや5Gを活用するるため、無線LAN接続などの設定も必要がなく、施設の外でも利用できる。
例えばサ高住では、日々実施しているレクリエーションの出欠確認に顔認証を利用したり、蓄積したデータから体調管理を行ったり、体操や散歩などのメニュー作りに活用したりといった提案を行えるという。フィトネスジムでは、運動の前後で測定することにより、トレーニング効果を可視化したり運動強度を調整したりできる。
提供方法は、レンタル事業者を通じたレンタルサービスとなり。月額2万円程度を想定している。シャープが機器の製造とクラウドサービスの運用を担当し、月額料金の中には、クラウド利用料も含まれる。1台の端末で50人を管理できる。3年分の一括払いやお試し利用のコースも用意している。
同社では既に商談を開始し、2023年度は100件の法人契約、500台の導入を計画。2024年度には、累計で300件の法人契約、1500台の導入を目標としている。赤木氏は、「多くの引き合いを得ている。サ高住ではフロアごとの導入や、フィットネスジムではインスラクターごとに導入するといった提案を進めている」という。
なお、i-wellebeは医療機器ではないため、疾病の診断、治療、予防などの医療目的では利用できない。血管情報や心拍情報、温度といった端末に表示される算出値は、シャープ独自の推定値で、医学的に確立されたものではないという。
「厚生労働省や各都道府県の薬務課と協議をした結果、目的や機能性、総合的な判断として医療機器には該当しないとの結論に至った。医療目的の利用はできないことを理解していただき、導入をしてもらい」(赤木氏)
シャープでは、デジタルによる可視化を切り口にした各種ヘルスケアソリューション事業に取り組み、2018年からは、デバイスを耳に掛けて噛むことを計測する「Bitscan(バイトスキャン)」を、大学や食品メーカーなどの研究者向けに販売。学校現場での食育プログラムにも展開している。また、生理用品を使用するだけで周期を自動計測し、生理用品の在庫管理も行う「FemTech(フェムテック)」では、IoT収納ケースとアプリケーションを連携させ、生理にまつわるストレスを軽減し、女性の健康管理を支援しているという。
今回のi-wellebeは、こうした取り組みの一環であり、普段の行動データからヘルスケアの気づきにつなげる提案としている。