「まずは触ってみる」で広がる事例–ベネッセに聞く、生成AI活用の現在地

今回は「「まずは触ってみる」で広がる事例–ベネッセに聞く、生成AI活用の現在地」についてご紹介します。

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 ベネッセホールディングス(ベネッセ)は10月27日、メディアセミナーを開催し、生成AIを活用した同社の取り組みを解説した。

 ベネッセはこれまでも、同社が提供する個別学習にAIを活用してきた。通信教育「進研ゼミ」では、児童・生徒の得意/苦手分野を基にAIが効果的な学習を毎日提案する機能「AI Navi」を提供。学校での授業を支援するアプリケーション群「ミライシード」では、個別学習ドリル「ドリルパーク」において、回答が不正解だとAIがヒントを提示したり、フォロー問題を出したりして、出題の個別最適化を図っている。

 ベネッセグループのDXを推進する組織「Digital Innovation Partners」(DIP)で副本部長を務める水上宙士氏は「これまで当社が活用していたAIは予測や認識に関するものだったが、2023年に入った頃から生成AIが急速に立ち上がってきた」と述べた。こうした動きを受けて同社は、社内業務における生成AIの活用を急速に進める必要があると判断したという。

 ベネッセは社員が生成AIを利用できる環境を構築し、実際に業務で使う中で活用方法を検討してきた。まず、2023年4月からグループ社員約1万5000人に「Azure OpenAI Service」を活用した「Benesse Chat」を提供して利用を促進。6月には社内業務の効率化に取り組み、コンタクトセンター/ウェブサイト制作業務に生成AIを活用し、顧客体験(CX)の向上と効率化を実現したという。顧客向けサービスも開発し、小学生向けサービス「自由研究お助けAI」を夏休み期間の7月25日~9月11日に提供した(図1)。

 Benesse Chatは、DIPが構築を担当。セキュリティの観点から、社員の利用をイントラネットに制限し、ID認証を必須としてログを取得可能としている。また、入力情報の二次利用も禁じている。同ツールは提供から3カ月で約3000人が利用し、約10万回活用された。具体的な活用例には、企画のブレスト、契約書の確認、メールマガジンの作成、議事録の要約などがある(図2)。加えて、社員はプロンプトに関する知見を社内の「Microsoft Teams」で共有している。

 社内業務の効率化では、Benesse Chatの活用事例を基に効率化が見込まれる業務を特定。この取り組みでは、ベネッセが戦略策定とプロジェクトマネジメントを行い、パートナー会社と協業しながら進める体制を採っている。「仕事というのは当社社員だけでなくパートナー企業と共に進めていくものなので、われわれの中だけで取り組むのは良くない。当社と同様に『変わらないといけない』と感じているパートナー企業に声をかけ、共同プロジェクトとして業務改革を推進した」と水上氏は説明した。

 コンタクトセンタープロジェクトでは、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)企業のTMJが現場の課題抽出・技術の選定と業務プロセスの再策定、音声認識/自然言語解析処理システムなどを提供するHmcommがAIを活用した音声ソリューションの提供を担当している。

 ウェブサイトプロジェクトでは、ウェブサイトの運用/運営サービスを提供するメンバーズが制作の課題抽出・技術の選定と運用チームのディレクション、ユーザー体験(UX)を起点とした事業成長を支援するビービットがアウトプットのユーザーインターフェース(UI)とUXの検証などを担っている。

 小学生向けサービスの自由研究お助けAIは、AIキャラクターとのチャットを通して夏休みの自由研究に関するアイデアやテーマの発見を支援する。「思考力の低下」に関する保護者の懸念を受け、同サービスではAIキャラクターが答えを提示するのではなく、あくまでアイデアやテーマのヒントを出す形を採っている。同社は、健全な利用に向けて生成AIを小学生向けにカスタマイズしており、目的外の利用には回答しない設計にするとともに、質問回数や回答文字数を制限。加えて、保護者と一緒に利用してもらう設計とし、利用方法に関する動画も提供した。同サービスは、社員がBenesse Chatの利用を通して着想したという。

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