ハイパーパーソナライゼーションが切り開く銀行の未来–AIとデータで顧客体験を最適化
今回は「ハイパーパーソナライゼーションが切り開く銀行の未来–AIとデータで顧客体験を最適化」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
未来の銀行を想像してみてほしい。金融サービスのあらゆる体験が、個人の要件に合わせて調整される銀行だ。
ハイパーパーソナライゼーションの時代へようこそ。私たちが日々利用する金融サービス機関などの企業が、機械学習(ML)、人工知能(AI)、ビッグデータを組み合わせて、顧客に合わせたオンライン体験を作り出す。
これは、TSB Bankのデジタルマーケティングおよびパーソナライゼーションの責任者であるKavin Mistry氏が、同銀行において今後数年で実現しようとしていることだ。
「AIとMLを活用することで、顧客の人生で経済的支援が必要になりそうな重要なイベントを特定し、その情報を利用して、顧客が最終的に人生の大きな目標を達成できるようにサポートしたい」。Mistry氏は米ZDNETとのビデオインタビューでこのように語った。
効果的なハイパーパーソナライゼーションとは、収集済みのデータを新興テクノロジーと組み合わせて使用し、顧客がそれぞれの目標を達成できるように支援することだ。
Mistry氏は、ハイパーパーソナライゼーションが行われた未来の銀行サービスと、AIやMLなどの新興テクノロジーを利用したTSBのデータ主導型アプローチの実現について説明した。
「当行を利用し始めたばかりの新規顧客が、モバイルアプリの使用を開始したときの最初の体験は、自分のニーズを明確にすることだろう」。同氏はこのように述べ、TSBが数年後にどのようなサービスを提供したいかを説明した。
「情報とデータをゲーミフィケーションのような方法で収集することを検討している。そうすることで、顧客にとって分かりやすい体験となり、顧客のニーズが具体的に何なのか、現在がどのような状況かが明確になる」
そうした目標に、GartnerのディレクターアナリストであるSamantha Searle氏が共感を示している。Searle氏は米ZDNETとのビデオ会議において、銀行サービスのハイパーパーソナライゼーションを成功させるには、2つの条件を満たす必要があると述べた。
第1に、住宅ローンのための貯蓄や予算管理の改善など、顧客の経済的な目標の達成を支援できなければならない。
「適応型AIテクノロジーの進歩により、銀行がこの情報を業務運営プロセスに組み込むことが簡単になりつつあるだけでなく、顧客対応プロセスにも容易に適用できるようになっているため、より目標指向型にすることができる」
第2に、銀行サービスのハイパーパーソナライゼーションは、顧客の人生の旅に目を向け、結婚、住宅ローン取引の検討、そして住宅保険や生命保険といった関連付加商品の提供など、人生の重要な節目節目でサポートを提供しなければならない。
「そのため、たとえば住宅ローンなどへの申し込みの際に、顧客がすべてのデータをフォームに入力しなければならないのではなく、すでに銀行がデータ分析によって顧客の信用履歴を十分に把握しているため、パーソナライズされた商品やサービスを提案することができる」
再びTSBのMistry氏の話を紹介しよう。同氏は初めて住宅を購入しようとしている人を例に、TSBのハイパーパーソナライゼーションサービスの提供について説明した。
このような個人は、住宅ローンの頭金を貯める必要がある人や、必要な資金を調達できるように、自分の信用スコアを高めなければならない人かもしれない。
「顧客が頭金を貯められるように、当行が体験、コミュニケーション、ターゲットを絞った目標を用意する」とMistry氏。
「その後、顧客のお金の使い方をチェックし、倹約や貯蓄ができるように定期的にサポートする。顧客の現在地と目標の対比を見守っていく。そして、節約の機会やTSBから得られるメリットについて、定期的に最新情報を提供する」
Mistry氏によると、TSBはデータ主導型アプローチを使用して、初めての住宅購入を目指す人が、信用スコアの把握、スコアの改善計画の策定、適切なタイミングでの住宅ローンアドバイザーへの相談など、必要なサービスをすべて受けられるようにすることも計画しているという。