第3回:生成AIと文書管理の連携がもたらす次世代のDX
今回は「第3回:生成AIと文書管理の連携がもたらす次世代のDX」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「ChatGPT」を始めとして急速的な発展を見せる生成AI。実際にインターネットで体験してみると、さまざまな質問に対して人間が答えてくれているかのような感覚を覚えるほど自然な表現で、かつ、どんなマニアックなテーマでも詳しく的確に答えてくれます。このことに、特に自分が詳しい分野であえて質問を投げかけた時の回答を見ると、その驚きとともに「未来」を多くの方が感じられたのではないでしょうか。
生成AIは、1995年のインターネット登場以来となる、世の中を大きく変えるような革新的テクノロジーと言われており、企業におけるビジネス活用に関しても大きな期待が集まっています。しかし、生成AIのデータソースをインターネットではなく企業文書としたとき、具体的にどうビジネスに活用できるのかイメージが浮かんでいる方は非常に少ないと思います。そこで本稿は、まず生成AIの具体的なビジネス活用例を紹介し、次に、その実現と本連載で解説してきた「文書管理」の関係性について述べたいと思います。
ビジネス面で生成AIのできることには、大きく分けて「要約」「会話型検索」「自動化」の3つがあります。
「要約」とは、例えば、契約書など長い文書をコンパクトに要約してくれることで、文書の内容理解にかかる時間を短縮します。1つの文書に対してだけでなく、ある文脈でまとまった複数文書に渡った要約も可能です。「会話型検索」は、大量のビジネス文書から会話を通じて目的の文書に到達することで、目的の情報へのリーチ時間を短縮します。「自動化」は、会話を通じて例えば、ワークフローを人に代わって起票してくれたり、究極的には契約書のひな形を自動生成したりするといったものです。これらのうち、「要約」と「会話型検索」を中心に、幾つかビジネス活用例を紹介します。
例えば、調達担当のあなたに依頼元部門から緊急で、「あるリース契約がしたい」と連絡がありました。その種類のリースには無数の仕入先が登録されており、短時間での選定は極めて難しい状況です。しかし、あなたは調達のプロとして、依頼元部門の要件を満たしつつ最もリーズナブルな仕入先を選び、かつ、できるだけ優位な交渉をしたいと考えています。
そこで、まず膨大な仕入先の契約書群から会話型検索によって、条件に合致しそうな仕入先をおおよそ絞り込みます。次いで、それらの仕入先契約書に対して要約を確認し、クイックに横並びで比較を行い、要件に合致する仕入先を選定します。
さらに、その仕入先に対して「他社ではこういう条件でこの額だが貴社ではどうか?」と、交渉を試みます。契約書が紙管理だった時代は非現実的だったこのような戦略的な仕入先管理を、文書のデジタル化と生成AIの力によってあなたは午前中のうちに完遂することができました。
例えば、あなたは大量の文書とともにプロジェクトを引き継ぎました。今日の午後、客先ミーティングでメモリーリークの問題について会話をしなければならず、これら文書を一つ一つ読み解いていく時間は到底ありません。そこで会話型検索を使用し、「メモリーリークの原因は何か?」「いまどう対処しようとしているか?」と質問したところ、大量の文書から要約された回答と、それらが記載されている該当文書のリンクを提供してくれました。これにより、午後のミーティングで有意義な議論をすることができました。
続けて、あなたのプロジェクトのメモリーリーク問題はまだ解決していません。困ったことに、何のツールを使って、どのような手順でトラブルシュートをしていけば良いのか、ノウハウがある技術者が周辺にいません。そこであなたは、定年退職した先輩が残していった大量の過去文書や議事録が格納されたフォルダーに対して会話型検索で質問したところ、良く使用されるツールやその実施手順について有用なヒントを得ることができました。
例えば、あなたの組織で内部不正が発生し、ある社員が関与した全ての文書を精査することになりました。それら文書を直ちに保全(ホールド)した上で、第三者の業者にその調査を委託することになりましたが、その文書数が数千以上に渡ることから、手数料が多額になる見通しです。そこで社員のあなたに、調査対象文書を可能な限りの削減する業務が命じられました。残業や休日出勤を覚悟しましたが、要約を活用することで効率的に仕分けが進み、委託費だけでなく、ビジネスが停滞する期間も最小に抑えることができました。