「プライバシーテック」を武器にデータクリーンルームを構築–名大発ベンチャーの挑戦

今回は「「プライバシーテック」を武器にデータクリーンルームを構築–名大発ベンチャーの挑戦」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Acompanyは、プライバシーに関する技術と法律の専門家として自らを位置付ける新興企業である。同社は代表取締役CEO(最高経営責任者)の⾼橋亮祐氏が名古屋大学在学中の2018年6月に設立された。当初はブロックチェーン事業を手がけていたが、2019年末に事業転換を行い、ブロックチェーン領域で注目される技術であった秘密計算に着目し、データのプライバシーを保護しながら分析や活用ができるサービスを提供するようになった。

 その後、秘密計算以外にも合成データや連合学習、差分プライバシーなどの技術も取り入れ、「プライバシーテック」という新たな領域を切り開いている。2022年12月には博報堂DYホールディングスと業務提携を結び、共同で博報堂DYホールディングスが抱える顧客のプライバシーを配慮しながら生活者のニーズに応えるサービスの開発を支援することになった。また、同年8月にはプライバシーテック協会を設立し、業界の発展にも貢献している。

 「プライバシー保護と個人データの活用はトレードオフの関係にある」と⾼橋氏は指摘する。プライバシー規制の強化に伴い、個人データを扱うには高度な技術や人材が必要となるが、いずれも不足している。一方で、個人データを活用することは、ビジネスや社会にとって大きな価値を生み出す可能性がある。

 このジレンマを解決するために、データクリーンルームという環境技術が注目されている。高橋氏は「異なるデータソース間でデータを安全に共有し、セキュリティとプライバシーを確保しながらデータを活⽤するためのプラットフォーム」と説明する。

 インターネット広告業界を代表するInteractive Advertising Bureau(IAB)もデータクリーンルームの重要性を認めているという。

 高橋氏は、データクリーンルームを3種類に整理する。1つ目は、GoogleやMeta、Amazonなどの巨大なプラットフォーマーが提供するウォールドガーデン型になる。これは、プラットフォームの持つ膨⼤なデータと組み合せた分析が可能で、その成果をプラットフォーム内の広告配信などに活用できる。一方で、広告主が巨⼤プラットフォームにデータを提供し続ける必要がある。

 2つ目はアドテクノロジー型になる。広告主と広告ネットワークの仲介機能の延⻑として活用され、広告主のアプリからユーザーデータを受け取り、複数の広告ネットワークと連携してユーザーの広告接触データを取得/提供することができる。中⽴的な⽴場である⼀⽅、対象データはアプリ広告の領域に限定される。

 そして、3つ目が企業や独⽴したベンダーが構築するプライベート型である。企業の保有するデータを⽤いたデータコラボレーション環境として近年注⽬が集まっており、柔軟な設計が可能で⾃由度が⾼い。その反⾯、各ステークホルダーとのデータ送受信の設計や合意など準備に時間を要する。

 Acompanyでは、プライベート型データクリーンルームの構築を支援するソリューションを提供している。

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