生成AIをビジネス価値に変える「最高AI責任者」と実証プロジェクト例

今回は「生成AIをビジネス価値に変える「最高AI責任者」と実証プロジェクト例」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、CIOの「人起点」DXマニフェスト等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載は、「CIOの『人起点』マニフェスト」をテーマに、Ridgelinezの最新の知見をお届けしている。前回は、生成AIをめぐる日本と世界の現状を概観し、開発ライフサイクルにおける活用シナリオなどを見てきた。今回は、生成AI活用のキーパーソンとして注目を集める「最高AI責任者」(CAIO)の役割や、Ridgelinezがクライアントと進めている生成AIの実証検証プロジェクトの概要を取り上げる。

 ビジネスにおける生成AI活用の重要性が高まるにしたがって、その取り組みを支える組織体制の整備も大きな課題となる。「人起点」をテーマに掲げる本連載では、IT戦略の担い手である最高情報責任者(CIO)の役割について繰り返し言及してきたが、生成AIの領域では少し事情が変わってくる。

 自社の経営ビジョンや事業目標に即したIT戦略を考え、経営トップとの連携を通じて実践していくCIOは、もちろん経営とテクノロジーの双方に精通していなければならない。しかし、従来のエンタープライズITにはない新たな可能性を備えた生成AIは、ビジネスにかつてないインパクトをもたらす。それだけに、常に最新情報をキャッチアップしながら、日進月歩で進化する生成AIの価値を追求していく姿勢がこれまで以上に重要になる。

 こうした観点から現在、生成AI活用のキーパーソンとして注目を集めているのがCAIOという新たな役職だ。まだ日本では耳慣れないが、米国ではCAIOを登用する企業が過去5年間で3倍に増えており、その中にはAmazonやVISA、Coca-Cola、GE Healthcareといったエクセレントカンパニーが含まれている。日本においても、2023年6月に三井住友カードが組織全体のAI活用をリードする「Head of AI Innovation」の就任を発表して、大きな話題を呼んだ。

 CAIOの役割を担う人物像としては、最先端の技術知識やAIのスキルが必要であることはもちろんだが、一方で、AIのメリットとデメリット、あるいはリスクなどを分析した上で、他の経営層や事業部門と連携しながら、自社の経営戦略と融合していく能力が求められる。そこでは、多岐にわたる事業や関係者をとりまとめてリードするコミュニケーションスキルが必須であり、いわゆるテクノロジーに特化したAIの専門家とは一線を画す役職であることに留意したい。

 こうしたCAIO登用の動きからも分かるように、生成AIの活用が経営的なテーマの一つになるにつれて、組織全体での活用シナリオの明確化がますます重要になる。そこで、筆者の所属するRidgelinezが進めている生成AIの実証検証プロジェクトを紹介したい。

 このプロジェクトは、日本の大手A社における生成AI活用の実証検証にRidgelinezがパートナーとして参画しているものだ。大きな目的としては、以下4点が挙げられる。

 この中でも最も優先順位が高いのが「生成AIに関する理解を深める」だ。その理由は、生成AIを活用して新たなビジネス価値を創出していくためには、関連する技術やサービスを幅広く理解した上で、そこに潜在するリスクも踏まえて、自らのビジネスに適したものを選択していくことが何より重要だからだ。この点は、既に触れたCAIOに期待される役割とも一致する。

 プロジェクトでは、A社が長年抱えていたさまざまな業務課題の中から、情報システム部門に関連する2つの課題に絞り込んで検証を行うこととした。

 1つ目の課題は、「カスタマーサポートの情報検索」だ。顧客からの問い合わせ内容は多岐にわたるが、技術的な問題の場合は難易度の高いものが多く、調査から回答まで長い時間を要することが珍しくない。そこで生成AIを活用した検索システムを構築することにより、回答の迅速化、トラブルの早期解決を目指した。

 2つ目の課題は、「設計書の作成」だ。システム開発案件においては、スタート時点で業務側からの要求をもとに各種設計書を作成するが、多くの業務機能とシステム機能のひも付けは非常に複雑で、さまざまな項目のチェックや確認で膨大な時間やコストが生じる。これを生成AIで効率化しようという試みである。

 このプロジェクトを進めるに当たって、A社は2つの課題の検証にとどまらず、その先の展開も含めた3つの段階――(1)実証検証、(2)特定プロジェクトへの活用、(3)組織全体への活用拡大――というロードマップも用意した。その背景には、将来的に実際の業務での生成AI活用とユーザーからのフィードバックを通じて、DXの高度化とイノベーション文化の醸成につなげていきたいという考えがある。これを3年間にわたって継続していくことが、今回のプロジェクトの全体像である。

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