目指したのは圧倒的に使いやすいデータ活用環境–NTTドコモが構築したデータ基盤とは
今回は「目指したのは圧倒的に使いやすいデータ活用環境–NTTドコモが構築したデータ基盤とは」についてご紹介します。
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データ活用はどの企業にとっても課題であり、正解や終わりのない取り組みになる。約9900万人という膨大な会員数を誇るNTTドコモは、データクラウドの「Snowflake」とPython用UIライブラリー「Streamlit」を利用してデータ基盤を構築。目指したのは「圧倒的に使いやすいデータ環境」だ。
NTTドコモでスマートライフカンパニー データプラットフォーム部 部長を務める鈴木敬氏は2月22日、Snowflakeが開いた記者発表会で取り組みを説明した。
国内最大手のモバイルネットワーク通信事業者であるNTTドコモは現在、事業の多角化を図っている。「dポイント」として展開するポイントプログラムの会員数は約9900万人に達しており、IDにひも付けて属性データ、d払いやdポイントの利用履歴、位置情報などから得られるリアルの行動、オンラインコンテンツの利用履歴、ウェブ/メールの履歴、アプリ利用履歴などのオンラインの行動を集め、データ基盤を構築している。
これらデータに対し、人工知能や機械学習を用いて会員を理解し、プロファイリングや行動分析、加盟店への送客、施策の効果分析、顧客生涯価値(LTV)の向上へとつなげることで、事業価値や顧客の価値を創出するというのが、同社のデータ活用の目的となる。
鈴木氏によると、NTTドコモが考えるデータ活用の理想は、(1)簡単で即座に使えることでビジネスのスピードを上げ、(2)最新技術を用いた高解像度な顧客分析によってアクションにつなげること、そして(3)あらゆる組織が使えるスケーラビリティー――の3つがそろうことだという。
一方で、ビジネス部門がデータ部門に依頼する従来の進め方では、やりとりが繰り返し発生していた。「現場からは『データの抽出に時間がかかる』『ツールを使いこなせない』などの声が出ており、ギャップがあった」と鈴木氏。これまでにも、設定を変えることで複数の用途に使えるプログラムを提供するといった試みもあったが、ビジネス側はちょっとした変更をするのにも難しさを感じ、結局はエンジニアに依頼するという「本末転倒」(鈴木氏)な状況でもあったそうだ。
そこで同社では、「圧倒的に使いやすいデータ活用環境を提供する」ことを計画。鈴木氏は「ビジネスユーザーが自分でできると実感できる環境」と説明する。
Streamlitのことを知ったのはちょうどそのころになる。実際に試してみて分かった利点として、「データ部門は慣れ親しんだPythonでGUIを構築できる。また、1つデータアプリを作成すれば、似たような課題を抱えているビジネス側にも使ってもらえる。利用者が増えれば、データ部門のモチベーションが高まる」と鈴木氏は説明する。加えて、Streamlitは急成長しているプラットフォームであり、そのスキルを獲得できることはエンジニアのやる気にもつながると語った。
ビジネス側の利点としては、ノーコードで柔軟な分析ができること、自分で操作できるようになることで待ち時間が不要になることなどがある。実際、現場からは「非常に好評を得ている」(鈴木氏)という。
構築したデータ活用プラットフォームでは、目的にあったアプリをすぐに選択できるように需要の多いアプリを並べた一覧を用意した。マニュアルがなくても必要な項目を選んでいくことで分析を実行でるよう入力画面を作り込み、その場で分析結果が出力されるようにすることで、「圧倒的に使いやすい」を実現した。
鈴木氏は「アプリには機能を多く盛り込まず、ユースケース特化型にした。“ポチポチ”と操作していけば目的の結果が出せる」とコンセプトを説明する。そのようなこともあって、社内では「ポチ」という通称で親しまれているという。