「生成AIで業務の4割が自動化される可能性も」–アクセンチュアの推測を考察する
今回は「「生成AIで業務の4割が自動化される可能性も」–アクセンチュアの推測を考察する」についてご紹介します。
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新たな技術として注目を集める生成AIは、業種や業務にどのようなインパクトをもたらすのか。この疑問に、「現存する業務の4割が自動化される可能性も」と、アクセンチュアは答えた。非常に興味深い推測を聞くことができたので、今回はこの話題を取り上げて考察したい。
「生成AIによって現存する業務の40%が自動化されるなど大きな影響を受ける可能性がある」
こう語るのは、アクセンチュア 執行役員 データ&AIグループ日本統括 AIセンター長 アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京共同統括の保科学世氏だ。日本オラクルが先頃、都内で開いたプライベートイベント「Data & AI Forum」の特別セッションにおいて、日本オラクル 専務執行役員 クラウド事業統括の竹爪慎治氏と対談した中でのひとコマである(写真1)。
対談で冒頭の発言がどのように出てきたか。その前後の話も以下に記しておこう。「生成AIをどのように捉えているか」との竹爪氏の問いかけに対し、保科氏は次のように話した。
「生成AIが登場して1年余り。特に『ChatGPT』が誰でも使えたことから、そのすごさを多くの人が体感し、大きな話題になった。これを企業の中でどう生かしていけるのかについてもこれまで試行錯誤を重ねてきたが、そろそろしっかりと業務に組み込んで効果を生み出していこうという段階に入ったのが、まさしく2024年だ」
「ただ、これまでの生成AIは、特に信頼性や安全面から、そのままでは企業の中で使えるものではないことも分かってきたので、そうした懸念に対応する『RAG(検索拡張生成)』などの新たな技術もこれから整備されていくだろう。そうなると、生成AIおよびそのベースとなる大規模言語モデル(LLM)のポテンシャルは計り知れない」
その上で、保科氏は「アクセンチュアの調査から、生成AIが今後、業種や業務にどのようなインパクトをもたらすかを分析したところ、現存する業務の40%が自動化されるなど大きな影響を受ける可能性があることが分かった。生成AIがあらゆる業務に組み込まれて活用されていくのは、まだまだ長い道のりがあると考えているが、着実に浸透していけば現存する業務の40%が自動化される可能性があるという意味だ」と述べた。冒頭の発言の前後の内容は以上の通りだ。
例えば、3年後といったように期間を限定したものではないが、生成AIの活用が進めば、現存する業務の40%が自動化される可能性があるというのは、非常に衝撃的な推測といえよう。
さらに、保科氏は業種別にも言及し、「例えば、金融業は4割どころか、7割近くの業務が自動化される可能性がある」との推測も明らかにし、対談の聴講者からは驚きの声が挙がった。対談では、同氏の話に当てはまるグラフなどは示されなかったが、実は別の機会に同氏を取材した際、提供された資料の中に当該グラフがあったので図1に示しておく。
この図の右に描かれた棒グラフが、業種別に見た生成AI(LLM)による潜在的な業務への影響度合いを示したものだ。グラフの中央に「業界平均の40%」が記されており、それより上に自動化の可能性の割合が大きい業種が並んでいる。保科氏が対談で言及した金融業は66%(54%+12%)と「7割近く」を示している。