統合されたアプリケーションプラットフォームを目指す–レッドハット
今回は「統合されたアプリケーションプラットフォームを目指す–レッドハット」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
レッドハットは、エンタープライズ向けKubernetesプラットフォーム製品「Red Hat OpenShift」の最新バージョン「Red Hat OpenShift 4.15」の機能拡張や、最近市場でニーズが高まっている仮想化プラットフォーム機能に関する戦略について説明会を開催した。
概要を説明した米Red HatでSenior Manager, Product Management, Virtualizationを務めるSachin Mullick氏は、OpenShiftについて「Red Hatが提供するKubernetesプラットフォームで、さまざまなインフラ上でさまざまなワークロードを実行できる。Kubernetesのレイヤーにとどまらず、統合されたDevOpsサービスや高度なマネージメントサービス、さらに最上位レイヤーでは『Application Foundations』や『Developer Serices』、AIニーズに対応する『OpenShift AI』なども利用できる」と説明した。
その上で、コンテナー化されたアプリケーションではなく、仮想マシンの実行をサポートする仮想化環境の重要性について「新しいアプリケーションはコンテナー環境で開発されるものが増えているが、アプリケーションの70~80%はいまだに仮想マシン(VM)上で稼働しており、ユーザー企業は仮想マシン環境をどう維持していくのか、上がってしまうコストの問題にどう対処すればよいのかという課題を抱えている」と指摘した。
この課題に対する解決策として、同社が提供している機能が「Red Hat OpenShift Virtualization」である。2020年にリリースされたOpenShift 4.5で一般提供を開始している。Kubernetesベースのコンテナー環境上でVMベースのアプリケーションを稼働させることで運用管理を一元化できる上、将来的にコンテナー環境へのシフトを進めていく上での移行パスとしても有用だろう。
同氏はOpenShift 4.5の主な新機能を概観し、特に注目すべきポイントとして「Red Hat build of Open Telemetry」と「Power Monitoring」(Tech Preview)、エッジ分野での強化点として「レイテンシーを重視するアプリケーション向けに、AWS OutpostsおよびAWS Wavelengthのサポートを追加した」ことなどを挙げた。
次にMullick氏は、OpenShift Virtualizationの概要について紹介。仮想マシンとしてKernel-based Virtual Machine (KVM)を活用し、オープンソースプロジェクトであるKubeVirtをベースとしていることに加え、同社が「Microsoft Server Virtualization Validation Program」(SVVP)に参加していることから、Windowsゲストもサポートされることなどを紹介した。
同氏は「従来の仮想化プラットフォームからOpenShift Virtualizationに移行することで、OpenShiftに組み込まれて提供されるモダンなアプリケーションの実行を支援するための多数の機能をVMに対しても活用できるようになる」とのメリットを指摘した。
続いて、米Red HatでSenior Principal Technical Product Managerを務めるPeter Lauterbach氏がOpenShift Virtulalizationのより詳しい説明を行った。「OpenShift Virtualization 4.15」の新機能として、同氏は「Instance Types」を紹介。これは、パブリッククラウド上でVMを構成する際にワークロードの特性に応じた選択を可能とし、「GPUが必要なのか」「メモリーを大量に確保したいのか」といったワークロードの特性に応じた接敵を簡単なGUI操作で指定できるもので、仮想マシンの実行をサポートするなら必要な機能といえるだろう。
現在Virtualizationに注目が集まっているのは、これまでエンタープライズ市場向け仮想化プラットフォームで大きなシェアを持っていたVMwareの動向によるところが大きい。2022年5月にBroadcomがVMwareの買収を発表し、2023年11月に買収完了が発表された。その後、2023年12月にはVMware製品のライセンス体系の変更方針が発表された。
特に「vSphere」の永続ライセンスの新規販売がなくなったことなどがオンプレミス環境で大量の仮想マシンを運用していたユーザーにとって影響が大きく、ユーザー企業の中でVMware環境から別の仮想化プラットフォームへの移行を検討する動きが広がっている。
国内市場での取り組みについて説明したレッドハット APAC Office of Technology GTMストラテジストの岡下浩明氏は「OpenShift Virtualizationについては実装されてから4~5年経っているが、これまではお客さまにとってもほかに主たる選択肢があったので、機能的な部分などに着目されることはあまりなかった。しかし、ここ数カ月は外的要因が主なトリガーにはなるが、OpenShift Virtualizationが一つの選択肢としてグローバルで注目されるようになってきた」と明かし、VMware環境からの移行を考えるユーザーが増えていることをうかがわせた。
岡下氏は、ユーザー向けにOpenShift Virtualizationの紹介を行うイベントやセミナーなどを開催し、市場での認知拡大に取り組む方針だと語った。一方、同氏は特定の競合製品を狙った対応ではなく、さまざまなワークロードをサポートし、統合的なプラットフォームとしてOpenShiftを強化する取り組みの一環であることも強調している。