新規事業を阻むカベを突破せよ–アイデア勝負ではなく、愚直に改善を重ねることが重要
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生成AIに代表される新興技術が日進月歩で進化する中、「デジタル技術を使って何か新しい事業を立ち上げたい」と考える経営者は少なくないだろう。だが、新規事業の立ち上げは容易ではなく、途中で立ち往生してしまった例を、われわれは幾つも目の当たりにしてきた。せっかく取り組み出した新規事業への挑戦が袋小路に入らないために気を付けるべき点は何か。今回は、特に日本の大企業が陥りがちなケースを踏まえて解説したい。
まず、新規事業プロジェクトの入口部分で避けるべき点が、「新規性のワナ」だ。例えば、「せっかく事業を生み出すなら、前例がないものにしたい」といった現場の意欲や、「それはよそでもやっているよね」という上司の指摘によって、アイデア勝負の議論に陥ることがないだろうか。実際、「幾つものアイデアは生まれたが、なかなか稟議(りんぎ)が通らず、気が付くと半年以上が経過してしまった」という悩みを抱え、われわれに相談をされるケースがある。そのような悩みに対してお勧めしたいのは、「顧客目線」と「事業者目線」のバランスの取れたストーリー作りをできているかの点検だ。
最初に確認してほしい点は、アイデアの検討段階で、徹底的に「顧客検証」を行っているかになる。もちろん正しい顧客セグメントを設定し、アンケートを行ってニーズを分析するなど、定量的な市場分析をすることは非常に重要である。だが、これだけで十分であろうか。
徹底的な顧客検証を行う例として、以下のような取り組みが挙げられる。まず、新規事業の開発段階に入る前に、「プレスリリース/よくある質問(FAQ)」や「モックアップ」を作成し、顧客が抱える課題とその解決方法に関して、徹底的に考察を重ねる。この際、統計データなどの外部データをうのみにするのではなく、自社で有する顧客データやフィードバックにより重きを置いて、企画案の作成および検証を実施する。また、サービス開始前に社員をモニターとして実際に活用してもらい、そこからのフィードバックを入手して、サービスの改善を実施する。これらにより、他社にはないアイデアが創出され、かつ自社の特性を生かした事業を展開することが可能になる。
近年では、事業化検証フェーズの顧客検証に「クラウドファンディング」を活用し始めている国内大企業もある。クラウドファンディングは資金調達手段としてのイメージが強いかもしれないが、テストマーケティングとしても有効である。「実際にお金を支払う顧客」の声に直接触れることができるため、仮説検証の手法として有効性が高いと言える。このように、事前に顧客に活用してもらうことは、新規事業において有用である。
また、顧客検証を行う際に、自社の歴史の振り返りも欠かせない。「過去のいずれの新規事業においても、ニッチな市場ではなく成長市場を見極め、その顧客の信頼を勝ち得てビジネスを成長させてきた」といったような、事業化のストーリー形成上のヒントが潜んでいる可能性がある。その企業らしさと成功体験が加われば、新規事業の成功の可能性は高くなると言えそうだ。