新興企業のHubble Network、宇宙からのBluetooth接続に成功

今回は「新興企業のHubble Network、宇宙からのBluetooth接続に成功」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 地球上では、「AirPods」をスマートフォンとペアリングするのにまだ苦労している人もいる中で、宇宙空間からのBluetooth接続を成功させたとする新興企業が現れた。

 Hubble Networkは米国時間5月2日、同社の衛星2基が地球とのBluetooth接続に成功し、370マイル超(約600km)の距離をまたいで通信を行ったと発表した。新興企業の同社は3月4日、SpaceXの民間顧客向けミッション「Transporter-10」の一環として、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から衛星を打ち上げていた。そして同社は4月29日、これらの衛星が3.5mmのBluetoothチップから送られた信号を受信したことを明らかにした。

 Hubble Networkはこの画期的な成果を上げるにあたり、自社開発のソフトを用いて市販されている標準仕様のBluetoothデバイスをアップグレードし、さらにセルラー接続を利用せずに自社の衛星ネットワークに接続させた。Hubble Networkのウェブサイトによると、同社は「いかなるBluetooth対応デバイスでも接続可能なグローバル衛星ネットワーク」の構築を目指しているという。

 Hubble Networkの成功の鍵は、Bluetooth Low Energy(BLE)を採用したことにあるようだ。Bluetooth Classicはより速いデータ転送速度に対応しているため、音声ストリーミングのような持続的な接続には理想的だ。だが、その結果としてかなり多くの電力を必要とするため、規模が大きくなるとネットワークの維持が困難になる。

 BLEはBluetooth Classicよりデータ転送速度は遅いが、その分、消費電力も少ない。加えて、より長距離の転送が可能だ。とはいえ、転送距離を最大370マイル(約600km)まで拡大できると考える者はほとんどなかった。

 Hubble Networkの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるAlex Haro氏は、接続成功を発表するブログ投稿で次のように述べている。「多くの懐疑的な声に反証を示すことができた。Bluetoothチップから信号を直接送信し、600km離れた宇宙空間でそれを受信することが可能だと示して、我々は新たな可能性の領域を開いた」

 通常、Bluetoothは近接するデバイス間の接続に用いられる。BLEは現在、フィットネストラッカーやスマートホームセンサー、ゲーム機など、コンシューマーテクノロジーを搭載したあらゆる種類のデバイス間の無線接続をサポートしている。位置情報サービスへの利用も増えており、メッシュネットワークを通じた複数のデバイスで構成されるネットワークの接続も可能だ。

 大半のネットワークは費用がかかり、遠隔地では信頼できず、多くの電力を必要とする。この傾向はモノのインターネット(IoT)の場合は特に顕著だ。衛星へのBluetooth接続の構築により、IoTのネットワーク接続が世界規模で加速する可能性がある。前述のHubble Networkのブログによると「バッテリー消費が20分の1に抑えられ、運用費が50分の1になる」という。

 Hubble Networkの共同創業者で最高技術責任者(CTO)のBen Wild氏は、この件に関する5月2日付のプレスリリースで次のように説明した。「当社の革新的なアプローチにより、既存のBluetooth対応デバイスを改良して、ハードウェアを変更することなくHubble Networkにデータ転送できる。新時代のデータ接続の到来だ。Bluetoothデバイスは年間に50億台近く販売されており、こうした新たな接続の影響はとてつもなく大きくなる可能性がある」

 「Hubble Networkはすでに、コンシューマーデバイスや建設、インフラ、サプライチェーン、物流、石油およびガス、防衛といったセクターに属する試験運用中の顧客と協力して、こうした(産業界での応用の)機会を探っている」と4月29日付のブログ投稿は説明している。

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