約8割の雇用主がAI人材育成プログラムへの知識不足を実感–AWS、AIスキル意識調査

今回は「約8割の雇用主がAI人材育成プログラムへの知識不足を実感–AWS、AIスキル意識調査」についてご紹介します。

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、AIスキルに関する記者説明会を開催し、同社が取り組むAIへの投資や包括的な人材育成プログラムについて紹介した。併せて、「AIスキルに関するアジア太平洋地域の雇用主および労働者の意識調査」の結果も解説している。

 Amazon Web Services(AWS)は2024年1月に、2023年から2027年まで日本国内のクラウドインフラの強化に向けて2兆2600億円(約149.6億ドル)の投資計画を発表している。この投資計画には、データセンターなどのインフラをはじめ、生成AI活用の拡大を支援するためのAIや機械学習(ML)を含めたクラウドサービスの強化を行う。

 説明会に登壇した、AWSジャパン 執行役員 サービス&テクノロジー統括本部 統括本部長の安田俊彦氏は、「技術への投資と並行して、重要なことは人への投資だと考えている」と主張する。AWSジャパンは過去3年間にわたり、デジタル人材に関わる意識調査の結果や同社の取り組みを披露してきた。

 AWSは、10年前からデジタル人材の育成支援を行い、日本においても2017年から約7年間で累計70万人に対してクラウドスキルのトレーニングを提供しているという。AWS全体では、2020年から数億ドルの人材への投資を開始しており、2025年までに2900万人に無償のクラウドスキルトレーニングを提供するというコミットメントを掲げている。

 安田氏によると、ユーザーは特に生成AIやMLに関するスキル向上の支援を求めているという。同氏は「生成AIなどのテクノロジーの可能性を最大限に引き出すためには、利用者側が新しいテクノロジーを積極的に使いこなし、新しい実験をすることが重要だ」とスキル向上の重要性を指摘する。

 この要望に対し、AWSは2023年11月にAIの無料トレーニングコース「AI Ready」の提供を開始し、誰もがAIに関するスキルを習得できる体制を整えた。既に50以上の教材が日本語対応しており、「AWS Skill Builder」で視聴できるという。

 AIスキルに関するアジア太平洋地域(APAC)の雇用主および労働者の意識調査によると、雇用主の92%以上が2028年までに自組織でAIソリューションやツールを利用するようになると予測しており、AIを今後使っていくという意識の高まりが明らかになった。特に「財務」(80%)、「IT」(79%)、「ビジネスオペレーション」(78%)、「法務」(75%)といった部門が今後5年間にAIを導入する見込みだと回答している。

 同調査はAWSからAccess Partnership社への委託により実施。2023年10~11月に、日本やオーストラリア、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、韓国、タイの9カ国の雇用主4664人と、労働者1万4896人を対象に行った。日本の有効回答数は雇用主約500人、労働者約1600人だった。

 また、雇用主、労働者ともに95%以上が生成AIを利用することで、「イノベーションと創造性の向上」「反復作業の自動化」「成果の改善」など、業務において1つ以上のメリットがあると回答。特にZ世代とミレニアル世代の労働者の約97%が業務で生成AIを使うことで、創造性の向上やより良い学習サポートなど、1つ以上のメリットが得られるとしている。

 AIスキルの習得について、労働者の83%がキャリアアップのために関心を寄せており、「仕事の効率化」(59%)や「仕事の満足度向上」(49%)、「昇進のスピードアップ」(46%)がAIの学習動機として挙げられる。

 雇用主も、AIスキルを備えた労働者には33%以上の給与を上乗せすると回答。予想される平均給与の上昇幅は国によって異なるが、日本の雇用主は15%高い給与を支払う意向があるという。給与の上料率が最も大きいと考えられているのは「IT部門」「研究開発」「セールス&マーケティング」と続くが、AIスキルや専門知識の習得により、あらゆる部門で給与の増額を期待できるとしている。

 AIの有効活用のために2028年に最も必要とされるスキルでは、「クリエイティブ・シンキング/デザイン」(57%)、「クリティカル・シンキング/課題解決」(53%)、「技術(コーディングなど)」(45%)、「倫理とリスク管理」(36%)が上位に挙がった。

 AIスキルが求められる一方、APAC全体で75%(日本82%)の雇用主が、「AI人材の雇用は優先課題だが、採用に苦労している」と回答している。

 また、APACの雇用主79%(同68%)が「AI人材育成プログラムを実施するための知識が不足している」と回答。日本では、労働者の66%が「利用可能なAIトレーニングプログラムに関する知識が不足している」「AIスキルが役立つ関連キャリアパスについて確信がない」としている。

 AWSジャパン トレーニングサービス本部 本部長の岩田健一氏は、AIをどのように学べばよいか分からない人が少なくないことを言及し、「AIをどのように習得できるのか、教育内容をきちんとお客さまに伝えることがわれわれの役割」だという。

 AWSでは、eラーニングソリューションであるAWS Skill Builder、オンラインで講義やグループディスカッションができる「クラスルームトレーニング」、学習の習得度合いを測る「AWS認定」の3つを展開している。

 AI人材の育成としては、AWS Skill Builderの中で「生成AIの概要」「カスタマイズ(基盤モデルを変更せずに活用する)」「チューニング(基盤モデルを変更して活用する)」――の3段階で生成AI関連のトレーニングを提供しており、現在52の無償コンテンツが公開されているという。

 同社は非IT人材向けの入門講座も拡充しており、同社の日本人インストラクターが収録したコンテンツをAWS Skill Builderで公開している。生成AIの概要を理解する「AWSで始める生成AI for Entry」や、AWSの基礎を学ぶ前段のIT基礎を身に付ける「Cloud for Beginners」が該当する。

 また、AWSクラスルームトレーニングに「Developing Generative AI Applications on AWS」が追加された。同コースでは、生成AIの概要や生成AIプロジェクトの計画、生成AIアプリケーションの構築基盤「Amazon Bedrock」の使い方、プロンプトエンジニアリングの基礎、Amazon Bedrockとオープンソースフレームワーク「LangChain」を使用した生成AIアプリケーションを構築するためのアーキテクチャーパターンを学べる。

 期間は2日間で、「AWS Technical Essentialsコース」相当のAWSクラウド初級知識と「Python」に関する中級レベルの習熟度を持つ人材が対象となる。

 岩田氏は、学習コンテンツの拡充について、「生成AIだけを学習するのではなく、周辺の知識や関連知識を含めた体系的に勉強することが重要。生成AIはディープラーニングやML、AIといったカテゴリーの一つであるため、全体を詳しく学ぶことが重要だと考えている。全体を正しく網羅しながらカリキュラムを作り、簡単なところからお客さまを支援していきたい」と述べた。

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