一貫したas-a-Serviceモデルであらゆるニーズに応える–ピュア・ストレージ基調講演

今回は「一貫したas-a-Serviceモデルであらゆるニーズに応える–ピュア・ストレージ基調講演」についてご紹介します。

関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 Pure Storageは6月18~21日、米ラスベガスの会場で年次イベント「Pure//Accelerate 2024」を開催中だ。19日午前のGeneral Sessionでは最高経営責任者(CEO)のCharles Giancarlo(チャールズ・ジャンカルロ)氏が2024年のメッセージとして「Simplicity(単純化)」について語った。

 Giancarlo氏はまず、ITシステムやストレージシステムが長い間本質的な進化を実現できていないことを指摘し、「We cannot solve our problems with the same thinking we used to create them.(問題を生み出した時と同じ考え方でそれを解決することはできない)」というAlbert Einstein(アルベルト・アインシュタイン)博士の言葉を引用しながら「新たな変革のためには新しい発想法が必要だ」と語った。

 Giancarlo氏が変える必要のある考え方の例として挙げたのは「データストレージをプロビジョニングし、運用管理を行うのはIT部門」「データストレージは特定のアプリケーションに割り当てられてサイロ化されている」「ストレージをアップグレードする場合はデータ破壊を防ぐためにも全データをあらかじめコピーして待避する必要がある」「ストレージシステムを更新するのは非効率なので、アプリケーションが今後5年間で使用するストレージ容量を見積もってあらかじめ準備しておく必要がある」といった従来では常識として受け入れられていたさまざまな前提であり、同氏は「こうした発想を変えよう」と呼びかけた。

 Giancarlo氏は、同社が目指すプラットフォームの姿について「一貫したas-a-Serviceモデルで、ユーザーのあらゆるストレージニーズに応えることができるもの。単一のプラットフォームであらゆるストレージニーズを満たし、as-a-Serviceで利用できるものだ」と強調した。

 さらに同氏は、継続的なサポートモデルである「Evergreen」の重要性についても改めてその意義を語り、「非破壊的な継続的なアップグレードが可能になっていなければ、SaaSのようなas-a-Serviceモデルで利用できるとはいえない」とし、同様のサポートを提供していない競合他社には同じ事はできないとの思いをにじませた。

 2024年のテーマとして大きく打ち出したのは「プラットフォームの革新」で、中でも大きく取り上げたのは「Pure Fusion」の進化だ。Pure Fusionは従来、「Storage as Code」をキーワードに提供されてきた運用管理ソフトウェアで、クラウドライクな運用管理を実現するためのインテリジェントな運用管理ツールというイメージの製品だった。別ライセンスで提供されるオプション製品のような位置付けでもあったが、今回から同社のストレージOS「Purity」の拡張機能のような形に変更され、同社製品のユーザーであれば誰でも無償で利用できる標準機能になっている。

 この結果、ストレージ製品単体を制御するのは従来通りPurityの役割だが、さらに複数のPurityが動作している環境ではFusionがこの全体を仮想統合し、単一のコントロールプレーンとして動作するようになる。

 また、運用管理の負荷軽減では自然言語での管理を可能とする「AI copilot」も発表された。同社では従来から「AI駆動型、SaaSベースの強力なストレージ管理プラットーム」として「Pure1」を提供しており、同社製品から収集した膨大な運用データをAIで解析することで高度な予兆検知や推奨提案などを実現していたが、今回のAI copilotではこれとは別のレイヤーで、LLMを活用した自然言語によるやりとりで運用管理担当者とのインターフェース部分を改善する。

 生成AIの急速な進化を受けてこうした取り組みが一斉に発表されているため、特別な目新しさを感じるものではないが、やらなくてはならない取り組みではあるだろう。同時に、Pure Storageが改めて打ち出す「Simplicity」という強みを支える要素として不可欠の存在であることには間違いない。

 2023年に開催された「Pure//Accelerate 2023」でGiancarlo氏は「2028年までにHDDの新規販売は終了するだろう」と語った。この時は、同社独自のフラッシュモジュール「Direct Flash Module」(DFM)急速な進化を背景に、まずは75TBのモジュールを発表し、年々容量を倍増させていく計画を発表した。

 2024年の基調講演ではあまり強調はされなかったものの、同社の創業者 兼 Chief Visionary OfficerのCoz(John Colgrove)氏が150/300TBのDFMモジュールの3Dプリンターで作ったというモックアップを紹介しており、順調に進捗(しんちょく)していることがうかがえる。「HDD対オールフラッシュ」という文脈においては2023年が転換点であり、DFMの進化によってアクセス速度に加えて物理容量/バイト単価といった指標でもHDDを追い越すめどが立ったことで、Pure StorageはもはやHDDを競合と位置付けたメッセージではなく、オールフラッシュのメリットをさらに拡張することに軸足を移したという印象がある。

 従来から言っていたことでもあるのだが、2024年に改めて「Simplicity」というメッセージが強調され、テクノロジーの複雑さ/煩雑さに煩わされることなくサービスとしてストレージを運用できる同社製品の強みを次の次元に引き上げる取り組みが前面に打ち出された。

 Pure Storageは従来、既存のストレージベンダー各社に挑む新興ベンチャーという位置付けだったが、今回見られたメッセージの変化は、ストレージ業界のリーダー企業/トップベンダーとしての自負や自覚を対外的にも隠さなくなった同社自身の成熟の反映と見ることができそうだ。

(取材協力:ピュア・ストレージ・ジャパン)

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