女性IT人材の増加を目指す起業家に聞くインクルージョンへの道
今回は「女性IT人材の増加を目指す起業家に聞くインクルージョンへの道」についてご紹介します。
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IT業界における男女のバランスは、1984年よりも悪化している(米国では35%から32%に低下)。また、女性が就ける役職が増えており、ジェンダー平等に対する意識が高まっているにもかかわらず、例えば欧州では経営層における女性の割合は17%にすぎない。世界的に見て、ジェンダーの多様性が高い企業の業績はほかの企業よりも15%優れているにもかかわらず、女性の平均生涯収入は男性よりもかなり低い。米国では35歳までに2人に1人がIT業界を去っている。
パリ市長の元イノベーション責任者兼最高デジタル責任者であり、ソーシャルスタートアップである50inTechの最高経営責任者(CEO)を務めるCaroline Ramade氏は、これまでのキャリアを、女性従業員の維持というIT業界の大問題を解決することに捧げてきた。
「小さな女の子たちの考え方が、彼女らが最初に触れたネットワークから刺激を得たものであることは分かっている」とRamade氏は言う。「教育に力を入れることもできるが、私たちはまずIT業界における人材の維持に力を注ぐべきだ。母親や、姉妹や、友人がIT業界で幸せそうに働いていれば、多くの女性に影響を与えることができる」
国連機関UN Womenの理事でもあるRamade氏は、ジェンダー平等の実現に取り組んでいる。Bertrand Delanoë元パリ市長のオフィスで働いていた同氏は、イノベーションに10億ユーロ(約1400億円)が投じられ、インキュベーターがパリのあちこちで立ち上がっている時期に、ITを使ってスタートアップに関わる人々と交流していた。その後、IT分野の女性起業家を専門に扱う最初のインキュベーターであるParis Pionnièresとの出会いがRamade氏の人生を変え、同氏は2015年にパリ市役所の役職を離れて、同組織のマネージングディレクターに就任した(同組織はその後、WILLAに改称した)。
Ramade氏は、WILLAがほかの男性中心のインキュベーターとは違っていることに気づいた。「50%が女性で、本当にインクルーシブな場所であり、ジェンダーバランスが保たれているだけでなく年齢や経歴も多様だった」と同氏は言う。「そこでは雰囲気が違っており、業務運営のあり方も違っていて、私はそのことに刺激を受けた」
女性起業家やIT業界の女性が、一緒に働くパートナーを見つけようとする際に経験している困難に気づいたRamade氏は、それに対する解決策を生み出した。それが50inTechの始まりだ。「そのビジョンは、私の目から見れば完全に2つに分かれていた世界を結びつけることで、女性起業家やIT分野の女性のコミュニティーをインクルーシブな職場と繋げることだった」と同氏は言う。