グローバル戦略を推進する人事システムの狙い–小野薬品工業の導入プロジェクト
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1717年に創業し300年以上の歴史を持つ小野薬品工業(大阪市中央区)は、がん治療薬の「オプジーボ」によりビジネスが急成長し、オプジーボの特許が切れる2031年までに、製品価値の最大化などを通じてグローバルでビジネスのさらなる拡大を図る経営戦略を掲げる。その経営基盤の中核の一つにグローバルな人事制度と人事システムを位置付けている。その舞台裏を人事企画部 人事企画室 グローバル企画・デジタルHR課 課長の村本千春氏と筧広行氏に聞いた。
同社は、ビジネスを国内中心からグローバル展開による拡大につなげる上で、日本を含むグローバルの多様な「人財」獲得と活躍を可能にする新たな人事制度とシステムが必須になると考え、米Workdayの「Workday HCM」を採用した。2023年10月に運用を開始し、Workday HCMを活用したグローバルな人事制度の整備を推進している。
「当社は選定段階からWorkdayを有力候補としてきました。当時のIT部門の責任者が前職でWorkdayの導入経験があり、高く評価していたことに加えて、私自身も10年近く海外の人事システムを運用した経験がありますが、Workdayは管理も運用しやすいシステムだと感じていました。その上で、決め手はグローバルに統一したシステムの利用経験のない社内のビジネスサイドに対する手厚いケアが、Workdayに期待できたところでした」(村本氏)という。
村本氏と同じく海外のシステムの利用を経験しているという筧氏も、「Workdayが製薬業界でグローバルスタンダードになりつつあり、米国発で人事のトレンドを生み出している点もポイントだったと思います」と話す。
人事システムは、国内外にさまざまなものがあるが、同社では経営層が、グローバル戦略を推進するためのグローバル標準の人事制度とシステムの確立を明確に意思決定した。それにより、世界中で実績と定評ある製品をなるべく標準の形で導入することを徹底したという。「カスタマイズができる海外製品は、日本企業にとって都合が良い面もあり選定してしまいがちでしょう。しかし、当社はグローバルビジネスに本気で取り組むべく、日本的にならないよう覚悟を持って臨んできました」(筧氏)
同社は、日本と海外では、英国、米国、韓国、台湾に拠点があり、各国でそれぞれ給与や評価のシステムなど、拠点ごとのビジネスの規模に応じて異なる仕組みで運用していた。日本の制度も長年の運用で多くの課題が顕在化していたといい、グローバル共通の制度を構築する際に、Workday HCMを活用して、その解決を図ることも目指した。
「海外拠点はWorkdayの導入にポジティブでした。日本もグローバル化に伴う刷新であることをトップメッセージとして現場に丁寧に発信し、日本、海外が抱える課題の解決を含めた制度刷新の取り組みであることを説明していきました」(村本氏)