企業のAI活用は「マルチモデルAI」の時代に、意思決定者の調査で判明
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大半の企業は、さまざまな目的に適したマルチクラウドオプションやマルチデータベースを選択している。それと同様に、人工知能(AI)モデルについても、それぞれの目的に適したモデルが存在する。今回、ITに関する意思決定者1000人以上を対象とする調査により、最も先進的なAI導入企業では同時に100以上のモデルを活用していることが判明した。
今や私たちは「マルチモデルAI」の時代に入った。Vultrの費用負担でS&P Global Market Intelligenceが実施した調査によれば、現在運用されている個別AIモデルの平均数は158で、1年以内にこの数は176に増加すると予測されている。
最も先進的なユーザーのグループでは、採用中のモデル数は平均で175と回答し、さらに今後1年以内にこの数が14%増の200になると予想している。またAI利用に関する成熟度が2番目に高い層の回答者は、モデル数が前年比で18%増えると見込んでいる。調査に回答した管理者のうち3分の2(66%)は、独自モデルを構築または開発しているか、もしくはオープンソースモデルを利用していた。
さまざまなユースケースをまたぐ形で複数のモデルをデプロイするのには、実用的な理由がある。例えば、マサチューセッツ工科大学(MIT)が公開したレポートでは、それぞれ言語と視覚、行動に関するデータでトレーニングされた3つのモデルを利用して、ロボットが家庭や建設、製造に関するタスクの計画を策定し、実行するのを助けるシステムの例を取り上げている。「採用された各基盤モデルは、意思決定プロセスの異なる部分をピックアップしており、その上で決定を下すタイミングが来た時に連携する」とMITの研究チームでは解説している。
Movable Inkへの投稿でErica Dingman氏が述べているように、今新たに出現しつつあるのは、AIに対する「アンサンブル」アプローチだ。このアプローチでは、すべての出力で同時に複数のモデルが稼働している。「単一モデルとアンサンブルモデルの違いは、バイオリンのソロ演奏とオーケストラ全体で奏でる音楽の違いに似ている」とDingman氏は説明する。
AIモデルをサポートする、あるいはAIモデルで稼働するシステムが広範に普及し、多様になっていることも、このモデルの急増を支えている。例えば、AIがますますエッジに移行しつつあることが、S&P Global Market IntelligenceとVultrの調査でも示されている。
「エッジが企業のインフラ全体に広がるアプリケーションの主要素となる分散型AIアーキテクチャーが、新たな規範になる可能性が高いようだ」と、この調査レポートの執筆者たちは述べている。調査対象となったITに関する意思決定者の大多数(85%)は、自社の環境でこうした移行が起きる可能性が「高い」または「きわめて高い」と回答しており、そのうち「きわめて高い」と考える回答者は全体の32%だった。
調査レポートの執筆者たちは、「抜本的な変革を伴うAI慣行」を実践している企業を、AI導入の先頭に立つ企業と定義し、その実情を報告している。こうした企業の半数は、AIの導入が業務レベルにとどまる企業と比べて、同業他社と比較した業績が「大幅に上回っている」という。また、こうした企業のほぼすべてが、顧客の満足度(90%)や収益(91%)、コスト削減/利ざや拡大(88%)、リスク(87%)、マーケティング(89%)、市場シェア(89%)といった要素において、2022年と2023年を比較した場合に、成績が向上したと回答している。
さらにこの調査では、対象となったすべての企業で、AIへの支出が一般的なITへの支出を上回るペースで進むと予想していることも示されている。9割近く(88%)の企業が、2025年にAIへの支出を増やす意向で、うち49%は中程度または大幅な増加を予想している。