キリンとアサヒ飲料が「輸送量平準化」に乗り出す–HacobuのAIサービス活用
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クラウド物流管理ソリューションなどを手掛けるHacobuは10月29日、輸送量の平準化を実現する生産・販売・在庫管理サービス「MOVO PSI」の提供を開始すると発表した。キリンビバレッジとアサヒ飲料が導入し、輸送・在庫・欠品率での効果が確認できたという。提供開始は11月1日。
MOVO PSIは、メーカー、卸売業、小売業の企業間をつなぎ、PSI(生産・販売計画・在庫)情報を管理・共有・分析するプラットフォーム。各企業は日々のデータにアクセスし、過剰在庫や欠品を防ぎつつ、在庫量や輸配送量を最適化できる。
2つのAIモデルを搭載し、1つ目は卸売業や小売業からの受注を予測し、在庫の変動を正確に把握。2つ目は、必要最低限の補充数量を毎日一定に保つため、膨大な組み合わせの中から最適なパターンを計算し、現場の実務を支援する。これにより、企業は輸送コストの削減、在庫効率の向上、欠品率の低減などが見込める。加えて、企業間を連携し、社会全体の輸送効率を向上させる。
開発に当たっては、基盤の企画と販売をHacobuが担当し、AIやデータサイエンスを活用した共通データ基盤の開発と提供を、AIソリューションなどを手掛けるJDSCが請け負った。
「小売店では、販売増となる週末に備え、木曜日や金曜日に商品をしっかりとそろえたい。しかし物流の観点から見ると、金曜日の車両は3台必要だが、その前日や前々日の車両には空きがある状態。これを平準化すると、積載率がアップし、車両の台数自体を減らせる。このような問題を解決していくためのソリューションがMOVO PSI」(Hacobu 執行役員 最高戦略責任者(CSO)の佐藤健次氏)と説明する。
キリンビバレッジとアサヒ飲料の納入業者在庫管理方式(VMI)拠点で、MOVO PSIのベータ版による実証実験を実施したところ、キリンビバレッジは、輸送コストを約9.1%、在庫日数も約13.2%の削減に成功。アサヒ飲料も輸送コストを約6.2%、在庫日数を約6.5%減らしたという。
キリンビバレッジ 執行役員 SCM部長の掛林正人氏は「AIの需要予測を基に自動で発注し、輸送路を平準化するプラットフォームが誕生し、物流革命の大きな一歩を踏み出せると考えている。ここに行き着くまでには困難な道のりもあったが、会社からは『今やるべき』との声をもらい、進められた」とした。
一方、アサヒ飲料 執行役員 SCM本部長の和田博文氏は「飲料業界の特徴として、複数の工場で同一品種を製造し、賞味期限の管理を徹底する必要がある。これらは大変複雑な管理オペレーションになる。今回、工場から配送センターへの移動にMOVO PSIの活用を検討することで、より効率的な運用が進められるのではないかと考えている。加えて、効率的な配車にもつながるため、これらの業務に携わるメンバーの負担を低減できるのではないか」とコメントした。
今後は、卸売業、小売業へMOVO PSIの導入を拡大し、飲料業界における輸送量平準化を目指していくとのこと。Hacobuの佐藤氏は「飲料メーカーに限らず、卸や小売の方とも一緒に進めていきたい。発注と物流の最適化を実現し、来たるべき物流問題に対応できる体制を日本で整備したい」とした。