BIからAIベンダーになったクリックCEOが強調した「強み」とは

今回は「BIからAIベンダーになったクリックCEOが強調した「強み」とは」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、Qlik Technologies CEOのMike Capone氏と、日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長の牧田幸弘氏の「明言」を紹介する。

 米Qlik Technologies(以下、Qlik)の最高経営責任者(CEO)であるMike Capone(マイク・カポネ)氏は、同社の日本法人クリックテック・ジャパンが同氏の来日を機に開いた記者会見で、自社の今後の目指す姿について上記のように述べた。同社はこれまでビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアベンダーとして存在感を示してきたが、最近はAIソリューションを前面に押し出しており、上記の発言にその決意のほどを感じたので、明言として取り上げた。

 筆者はかねて同社のBIの中核技術である連想分析に注目してきた。連想分析の発想は、人間が情報を処理するときの思考パターンが階層型ではなく連想型であることから来ている。つまり、人間の思考パターンに基づいた分析技術なので、その意味ではもともとAIの要素を備えていたともいえよう。

 Capone氏は会見で自社のAIソリューションの話に入る前に、「AIをうまく使いこなすためには、長期戦に臨む覚悟が必要だ」として、企業がAIを活用していくための3つのベストプラクティスについて、図1を示しながら次のように説明した。

 1つ目は、「道幅を広げる」。「いろいろなやり方を試してみることだ。それが失敗のリスクを減らすことになる」(Capone氏)

 2つ目は、「走る前に歩いてみる」。「いきなり走り出すのではなく、まずは歩きながら足元を確認してみる。ここで重要なのは、データをAIレディーなものにすることだ」(同)

 3つ目は、「ステップを飛ばさない」。「段階をきちんと踏みながら進むこと。ここでは、AIのポリシーやガバナンスなども十分に考慮することが大事だ」(同)

 こうして見ると、3つともどちらかというと戒めの言葉のようだが、筆者はむしろそこにBIからAIへと長年取り組んで来たQlikらしさを感じた。

 Capone氏はこうした3つのベストプラクティスを説明した上で、Qlikのソリューションについて次のように説明した。

 「当社のソリューションは、お客さまがこれら3つのベストプラクティスを実現するための支援をさせていただく。当社の『Qlik staige』は、AI活用の戦略立案からAIレディーなデータ基盤の構築、AIを活用した分析によるインサイトの抽出、AIモデルの構築など、AI活用に必要なさまざまなツールやサービスを提供している」(図2)

 「Qlik staige」は同社が2023年9月に発表した、企業のAIデータ戦略を包括的に支援するソリューション群だ。詳細は関連記事をご覧いただきたい。また、今回の会見を機に、Qlik staigeのコンポーネントの1つである「Qlik Answers」の国内提供も発表した。

 実は4年前、今回と同じくクリックテック・ジャパンが開いた会見に登壇したCapone氏に対し、筆者はその質疑応答で「Qlikをもっと世の中に広めていくために必要なことは何だと考えているか」と聞いた。すると、同氏は「プレゼンスをもっと高めていきたい」と答えた。そのやりとりについては、2020年11月6日掲載の本連載記事「クリックテックCEOが語った『プレゼンス向上へのアプローチ』」を参照していただきたい。

 プレゼンスの向上はQlikにとって継続的なテーマだろう。そこで今回は、4年前にそんなやりとりがあったことを伝えた上で(ちなみに同氏も覚えていた)、プレゼンス向上へ「Qlikならではの強み」を聞いてみたところ、同氏は次のように答えた。

 「当社の最大の特徴は、AIソリューションベンダーとして独立した存在であることから、AIとデータをさまざまな形で利用されるお客さまのニーズに柔軟に応えられることだ。ほかのベンダーのAIソリューションは自らのクラウドとともに提供するケースが多い。当社はあくまでもツールやサービスを提供することによって、お客さまの多様なニーズにお応えする立場を貫いていく」

 Capone氏が幾度も「インディペンデント」と言っていたのが印象的だった。果たして、冒頭の発言のように「リーダーシップを発揮して」いけるか。注目していきたい。

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