「Linux」に関する6つの俗説を論破–「ターミナルの使用は必須」なのか?

今回は「「Linux」に関する6つの俗説を論破–「ターミナルの使用は必須」なのか?」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 筆者は1999年から「Linux」とオープンソースについて執筆してきた。Linuxに関しては、永遠に流布しているように思える俗説がいくつかあるが、1999年から現在まで、それらの俗説をいまだに信じている人(またはグループ)に遭遇することなく1年を過ごせたことは一度もない。

 これらの俗説のほぼすべてが事実と異なることを人々に理解してもらうために、筆者は計り知れないほど長い時間を費やしてきた。筆者が説明するたびに、誰かが自分の誤解に気づいて、真実を悟ってくれたことを願っている。

 筆者が1997年に初めてLinuxを使い始めたとき、ターミナルは絶対に必要なものだった。ターミナルを使わないという選択肢はなかった。モデムの接続を維持する、ソフトウェアをソースからインストールする、ユーザーと権限を管理する、といったさまざまなタスクをターミナルから実行するために、スクリプトを書く必要があった。もちろん、それらのタスクの一部を実行できるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)もあったが、それらのツールは十分な性能を備えていなかった。

 しかし、それは昔の話だ。今はそうではない。

 筆者はこの俗説を検証してみた。数週間にわたって、コマンドラインインターフェース(CLI)を意図的に使わないようにしたが、CLIが絶対に必要だと感じたことは一度もなかった。どうしてそんなことが可能なのだろうか。デスクトップ環境とさまざまな設定アプリが大きな進歩を遂げて、ターミナルと同じくらい効果的になったからだ。

 サーバーでも、「Cockpit」などのウェブベースのツールがあり、以前だとコマンドラインが必要だったタスクの多くを実行できるようになっている。ただし、だからといってサーバーでLinuxを使用する場合も、同じくらい簡単にターミナルなしで済ませられるわけではない。サーバーではCLIを学習した方がいいだろう。しかし、デスクトップではその必要はない。

 読者の皆さんも、デスクトップLinuxでターミナルを開かずに1週間過ごしてみてほしい。ターミナルを開かなくても、平均的なコンピューターユーザーが実行するあらゆるタスクを管理できることに驚くはずだ。

 筆者は、デスクトップ環境に関して、Microsoftとは全く異なる方向性のものを選択する。だが、「Windows」を何年も(あるいは何十年も)使用しており、代替OSへの移行を検討している平均的なコンピューターユーザーはどうだろうか。そうしたユーザーには慣れ親しんだものが必要だ。

 「人間は変化を恐れる」という古い格言がよく引用されるのには理由がある。それは、ほとんどの場合、その格言が真実だからだ。Microsoftから離れたいと考えているユーザーのほとんどは、インターフェースが嫌いだから移行を検討しているわけではない。大多数のユーザーは、インターフェースの外観には関心がない。きちんと機能し、容易に習得できさえすれば、彼らはインターフェースのことをあまり気にしない。

 Windows(や「macOS」)に似た外観のLinuxディストリビューションが存在するのは、そのためだ。全く馴染みのないインターフェースではLinuxを使わないユーザーがいることを開発者は認識している。これらのディストリビューションは、ユーザーがLinuxに興味を持ち、Windowsの標準インターフェース以外のものも使えるように支援する。ただし、重要なのは、親しみやすさだけでなく、優れた機能を持つOSでユーザーの関心を引くことだ。

 かつて、ウイルスはLinuxに太刀打ちできなかった。現在でもそれはほぼ事実である。しかし、だからといって、Linuxが悪意あるソフトウェアやURL、コードから完全に安全というわけではない。ネットワークに接続されたコンピューターは脆弱(ぜいじゃく)である、というのが筆者の考えだ。それでも、これらの脅威について常に心配する必要はない。信頼できるリポジトリーからソフトウェアをインストールし、(特に電子メール内で)リンクを手当たり次第にクリックしないようにすれば、大丈夫だろう。

 筆者はLinuxを何十年も使っているが、デスクトップでウイルスやマルウェア、ランサムウェアに悩まされたことは一度もない。Linuxサーバーでは、一度だけ厄介なルートキットに対処したことがあるが、それは全く別の話だ。

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