実物大で模型を確認–日建設計ら、「Apple Vision Pro」活用の設計者向けアプリを開発
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日建設計は、xR技術を用いたアプリケーションの開発などを行うホロラボと共同で、仮想現実/拡張現実(VR/AR)ヘッドセット「Apple Vision Pro」を活用した建築設計者向けのアプリケーション「Whitemodel(仮)」を開発した。両社は5月28日、同アプリケーションの体験会を開催した。
これまで両社は、仮想空間と現実空間が融合した職場「Cyber-Physical Workplace」(CPW)の構築に取り組んできた。2023年11月には、複合現実(MR)のプロトタイプアプリケーションを開発。コロナ禍を契機にテレワークが普及した中、同アプリケーションはアバターを通して在宅勤務の従業員とオフィス勤務の従業員の交流促進を図った。
Vision Proは、Appleの開発者向け年次イベント「WWDC 2023」で発表。米国では2024年2月、3499ドル(約55万円)で発売された。日本では未発売であるため、ホロラボが同ヘッドセットを米国で4台購入し、国内で利用できるよう総務省で申請を行った。両社は国内での発売前からアプリケーションを開発することで、発売後の素早い事業展開を目指す。
Vision Proについて、Appleは「デジタルコンテンツを現実の世界とシームレスに融合しながら、実世界や周囲の人とのつながりを保つことができる革新的な空間コンピューター」と説明する。具体的には、複数のディスプレーを表示して仕事などができるほか、現実世界において近くにいる人や物を認識することが可能。バッテリーをケーブルで接続するシステムにより、ヘッドセット自体の重さを600~650gにとどめているのも特徴だ。
日建設計はVision Pro発売直後の2024年2月、一部の従業員を対象に同ヘッドセットの体験会を開催し、その中で建築模型への活用を着想した。建築模型とは、実際の建築図面に基づき、50分の1や100分の1などの縮尺で作られた小型模型。精密さや範囲、用途は多岐にわたる。
建築模型は、建築業界の関係者でなくても完成形を想像しやすく、顧客らはリアルならではの感動も得られる。しかし、スチレンボードやカッター、定規を用いて製作し、完成までには膨大な労力がかかる。使用後は保管場所を確保する必要があり、廃棄する場合も産業廃棄物として処理しなければならない。
こうした課題を受けて日建設計とホロラボは、Whitemodelを開発。日建設計は構想・企画、建築データや実験場所の提供、ホロラボはアプリケーションの開発や技術支援を担う。同アプリケーションは、今回の体験会が行われた東京・飯田橋の日建設計東京ビルの外観と3階にある共創の場「PYNT(ピント)」を表示するほか、模型を回転・移動させたり大きさを変更したりできる。建築物の規模などを把握するために添えられる人物や車、植物などの「点景」も用意した。