DX推進で“専門組織”が必要な理由–「あらゆる情報が見えず、DX疲れ」
今回は「DX推進で“専門組織”が必要な理由–「あらゆる情報が見えず、DX疲れ」」についてご紹介します。
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KPMGコンサルティングは4月18日、国内企業でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の現状と課題を解決する専門組織「デジタルトランスフォーメーションマネジメントオフィス(Digital Transformation Management Office:DXMO)」構築に関する勉強会を開催した。同社 コーポレートトランスフォーメーションストラテジーユニット ディレクター 塩野拓氏はDXMOの役割について「経営戦略が一番上、その下に事業戦略があり、そこから始めるのがDX」と組織横断型部署だと定義した上で「役割とミッションの規定が重要。さもなくばDX推進組織は平気で形骸化する」と警鐘を鳴らした。
前段として塩野氏は、情報処理推進機構(IPA)が2020年5月14日に公開し、2022年4月14日に更新した「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」を引用しながら、DX成功企業は「『リスクを取り、チャレンジ』『多様な価値観受容』『仕事を楽しむ』『意思決定のスピード』の差が非常に大きい。企業文化を醸成できるCxOのリーダシップが重要」だと強調した。
一方で「成果が出ない」「DX化未着手」の企業は「危機感の浸透や変革に対する社内の抵抗、社内人材の育成などの『内向き問題』。課題意識を持たない企業は成果が出ない」(塩野氏)と解説した。
その上で国内企業のDX推進が進まない背景には、3つの課題が隠されているという。
最高経営責任者(CEO)や最高情報責任者(CIO)による全社的DX戦略の策定不足という1つ目の課題について、塩野氏は「中期経営計画や年次報告書には経営やビジネスの方向性が書かれているものの、ことデジタルはコンセプトにとどまっている。『データドリブン経営にシフトしていく』など(不確実な表現で)各事業部の(具体的な施策まで)言及していない」と解説する。
2つ目の課題は各部門。「自助努力でDXに取り組んでも疲弊してしまう。また、(技術的知識の欠落で部門間や外部企業との)会話が進まない。PoC(概念実証)や要件定義に不安を感じてしまう。各部門のデジタル施策がサイロ化するのも問題だ」(塩野氏)
3つ目の課題は情報システム部門。「基幹システムの保守運用やOS、ネットワークが主たる業務のため、リソース不足で『攻めのデジタル』を支援できない」(塩野氏)と指摘した。
DXMOについて塩野氏は「縦横無尽に企業を横断し、DXを加速させる」組織体だと説明する。知見の提供やハッカソンなどを通じた啓蒙活動によるデジタル教育、情報システム部門とは別にロボティックプロセスオートメーション(RPA)や人工知能(AI)ソリューションを扱うデジタル開発部門、外部のスタートアップ企業と技術用語や意味を通訳する役割、デジタル人材の任命により、CxOと現場を整合させる狙いがある。
「たとえばマーケティング部門なら、デジタル化の目的やターゲット選定といったデザインを一緒に考える。各部門がDX推進施策だと認識することでDXが加速する。その支援を担うのがDXMO」(塩野氏)