サプライチェーンマネジメントをめぐる課題とDXが必要な理由
今回は「サプライチェーンマネジメントをめぐる課題とDXが必要な理由」についてご紹介します。
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サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management、以下SCM)とは、原材料が製品に加工されて消費者に届く一連のプロセスを指し、一般に下記のような概念図で説明されることが多い。
このプロセスをモノの流れに当てはめてみると、最も川上である原材料や部品のサプライヤーに始まり、製造業者へ納入されて製品に加工され、物流業者によって運ばれ、最終的に卸売・小売業者を通じて消費者のもとに届けられる。
一方で、そのモノ(製品)に関わる情報は、逆に川下に当たる消費者の需要から川上に向かっていく。販売の現場から上がってくる需要見込みの情報に基づいて卸売・小売業者が発注の計画を立て、それに基づき製造業者が生産計画を立て、調達の計画がサプライヤーに対して伝えられる。
サプライチェーンの進化の歴史を簡単にひもといてみたい。1950~1960年代の需要が供給を上回る日本の高度経済成長期は、とにかくおおまかに顧客の需要に合うモノを大量に供給することが至上命題であった。しかしその後、消費社会が成熟していくにしたがって、変動する需要に対し多品種・少量生産で対応する時代に入る。さらに1990年代には、個々人の好みが多様化して商品のラインアップが膨れ上がり、余剰在庫を削減しようとする中で、SCMというコンセプトが本格的に生産計画や調達などの担当者の間に広がっていくこととなった。
時を同じくして、1990年代にはPCが社会に普及していき、ITシステムが経営の重要な要素になっていく。企業はこぞって調達・生産・在庫・販売・会計といった企業全体の活動を一元管理するERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれるシステムを導入するようになるが、その中でもSCMの計画立案業務にフォーカスしたSCP(Supply Chain Planning)ツールやAPS(Advanced Planning and Scheduling)ツールと呼ばれるシステムが登場し、コンピューターの性能向上も伴って、生産計画の数量を一定の制約条件を加味して計算することができるようになっていった。
このようなIT化によって、需要予測、生産計画、在庫計画などが社内どこからでも閲覧できるようになり、それを基にボトルネックの解消や生産・輸送のリードタイム短縮といった改善施策が取られ、命題であった余剰在庫の削減が急速に進んでいくことになる。