「SAP Business Data Cloud」がデータサイロを打破–AI主導のデータプラットフォーム
今回は「「SAP Business Data Cloud」がデータサイロを打破–AI主導のデータプラットフォーム」についてご紹介します。
関連ワード (データマネジメント等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
SAPは米国時間2月13日、企業全体のデータを管理する製品と戦略の大幅なアップグレードを発表した。この新製品は「SAP Business Data Cloud」と呼ばれるマネージドSaaSだ。同社によると、全てのSAPデータを「統合・管理」して、サードパーティーのデータと「シームレス」に接続し、人工知能(AI)機能を至るところで提供するという。
SAPはDatabricksとの戦略的パートナーシップも発表した。統合されたデータレイクとデータウェアハウス(同社はこれを「レイクハウス」と呼ぶ)を開発するDatabricksのデータ統合が、より包括的なAIワークロードと分析を可能にする。
同時に行われた別の発表で、SAPはサービス、販売、財務向けに即座に使用可能な「Joule」エージェントを紹介した。JouleはSAPの会話型AIアシスタントだ。
これらは間違いなく重大な発表であり、特に既存のSAP顧客にとっては重要度が高い。これがSAPエコシステムという文脈でどんな意味を持つのかを詳しく説明しよう。
誤解のないように言っておくと、SAPは以前からデータの統合と管理のソリューションをSAP Datasphere製品で提供してきた。SAP Datasphereは、システムとアプリケーションのリアルタイム接続が可能なビジネスデータファブリックとして販売されている。
SAPのDatasphereの製品ページには、「SAP Datasphereの機能はSAP Business Data Cloudでネイティブに利用できる」と記載されている。
SAP Datasphereは、SAPシステムと外部システムの両方でデータの管理と統合を提供する。SAP Business Data Cloudはさらに広範なフルマネージドSaaSプラットフォームであり、SAPデータの管理だけにとどまらず、Databricksのデータレイク機能とデータウェアハウス機能を使用して、AIと深い分析の統合を組み込んでいる。
戦略的な方向性という点では、SAP Datasphereが接続性に重点を置いているのに対し、SAP Business Data Cloudは、ガバナンス、広範な相互運用性、AI主導の洞察と監視のための高度な機能を提供する。SAP Business Data CloudのかぎはDatabricksとのパートナーシップだ。それにより、SAPの顧客はよりシームレスなAI主導のデータ環境を運用できる。
企業の洞察とガバナンスに関して、AIの弱点は何だろうか。簡単に答えると、データサイロだ。
「ChatGPT」の非常に優れた点は、ウェブ全体と思えるほどの大量のデータを素早くふるいにかけ、拡大し続ける広範なナレッジベースに基づいて回答を生成する能力だ。
大規模な企業を管理しているなら、広範かつ包括的な回答と洞察を得られるようにしたいと思うだろう。しかし、データの多くが別々のサイロに保存され、異なる事業部門、部署、さらにはサードパーティーによって、関連性のないソリューションを使用して運用されている場合、その全てのデータが包括的なAI分析の対象から漏れてしまう。
ここでDatabricksとのパートナーシップが効果を発揮する。Databricksのコアコンピタンスは、サイロを打破してSAPデータと非SAPデータの両方をより普遍的に把握できるようにする能力だ。同社独自のレイクハウスアーキテクチャーは、「Apache Spark」の分散データ処理エンジン、「Delta Lake」の信頼性とパフォーマンスに優れたストレージレイヤー、機械学習ライフサイクル管理ツール「MLflow」などのテクノロジーが基盤になっている。
Databricksの柔軟なデータ共有をSAPの強力なガバナンス機能と組み合わせることで、データガバナンス(特にコンプライアンスとセキュリティ)をシンプルにして補強できる。
Databricksは、非常に深遠なビジネス洞察も提供する。これには、AIがデータサイロに妨げられなくなったという理由と、Databricks独自のAI機能と大規模分析機能によって、膨大な量のデータから深い洞察を得て予測的意思決定を下せるという理由がある。
基本的に、Databricksとのパートナーシップによって、SAPはAIをより広範に活用できるようになる。これが可能になったことは極めて重要だ。