バーチャルショッピングは「普及目前」–AWSジャパン、小売業向けサービス紹介

今回は「バーチャルショッピングは「普及目前」–AWSジャパン、小売業向けサービス紹介」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2月18日に説明会を開催し、クラウドや生成AIを活用した購買体験を紹介した。同社は3月4~7日に「東京ビッグサイト」(東京都江東区)で開催される流通情報システムの展示会「リテールテックJAPAN 2025」へ7年ぶりに出展するといい、同展示会の開催に先駆けて小売業におけるAWSの取り組みや出展ソリューションを解説した。

 AWSは、Amazon.comの事業を支えるITインフラをサービス化するという目的のもと、2006年にクラウドサービスの提供を開始。。そのため、同社は自社を「小売業から生まれた、小売業のためのクラウド(Born from Retail, Built for Retailers)」と見ているという。

 AWSジャパン エンタープライズ技術本部 流通小売・消費財グループ 本部長の五十嵐建平氏は、全米小売業協会(NRF)と返品サービスを提供するHappy Returnsが2024年12月に発表した報告書を引用し、小売業における2024年の返品総額は135兆円規模に上り、小売業者の年間売上高の17%に当たる商品が返品されると説明した。こうした背景から小売企業は、消費者がオンライン上でも商品の細部を確認できるよう、没入型体験に期待を寄せているという。

 Amazonは、サーバーレスサービス「AWS Lambda」など複数のAWSのサービスを活用し、仮想空間での購買体験を実現する「Amazon Beyond」を提供。ECサイト「Amazon」の販売事業者は、実際のショールームのデータを基に、専用サイト「All Beyond Spaces」上で仮想空間を構築できる。ユーザーは空間内の商品をタップすると、Amazon上ですぐに注文することが可能だ(写真1)。

 Amazonは、米国のホリデーシーズンに当たる2024年11月1日~12月28日、同社が展開する仮想ショッピングモール「Amazon Virtual Holiday Shop」の利用状況を調査。合計の利用時間1万2000時間以上、インプレッション数は約95万回に上った。同サービスにより小売企業は、消費者がEC上で商品をチェックし、店舗で購入するチャネル横断の行動を発展できると期待される。

 Amazonは、ユーザーが仮想的に商品を試着したり、家具を入れ替えたりできる「Virtual Try-All」も提供。顧客企業は最低1枚の2次元(2D)画像を用意すれば製品の3次元(3D)化が可能で、時間/金銭的なコストを抑えて開発できるという。同社は、AWSのパートナー企業Protoのアバター技術や、生成AIサービス「Amazon Bedrock」などを活用し、アバターの接客による購買体験も提案している(写真2)。

 来店客は、ホログラム技術で再現された商品をさまざまな角度かつ細部まで確認でき、疑問があれば多言語対応のアバターが接客する。同技術は実店舗での活用も考えられ、一部店舗でしか販売していない高級品や希少品をアピールするのに役立つという。説明会で実施されたデモンストレーションでは、商品の時計に関して五十嵐氏が質問すると、販売員役のアバターが日本語で回答していた。

 AWSは、Bedrockや画像生成AIツール「Leonardo.AI」を活用し、製品デザインの迅速化にも取り組んでいる。製品のデザインを描画すると、隣の画面では写実的な形式でリアルタイムに再現される(写真3)。

 仮想空間での買い物や試着が可能なサービスは以前から存在するが、本格的な普及には至っていない。これに対し、五十嵐氏は「物事は『同じような技術だが、体験は根本的に違う』と思わせたタイミングで伸びていく。既視感を抱くということはブレークスルーの直前だと言い換えられるかもしれない」とアピールした。

 その上で同氏は、実用化に必要な要素について「ソフトウェア/ハードウェアのコストの低減と技術の向上」を挙げ、「生成AIも以前から研究されてきたが、ある一線を越えて急速に普及した。こうしたことがいろんな技術で起きるかもしれない」と期待を示した。

 AWSが7年ぶりにリテールテックJAPANへ出展する背景について、五十嵐氏は「Amazonの知見をいかにAWSの事業に還元するかという戦略が成熟し、『NRF 2025』でも非常に広いスペースでサービスを紹介した。同イベントでの盛り上がりや小売業のお客さまのテクノロジーに対する期待を受けて、われわれがリテールテックJAPANに出展しないわけにはいかないという機運が高まった」と語った。

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