「ArcoPlasma」レビュー–カスタマイズ性に優れた上級者向け「Linux」ディストロ
今回は「「ArcoPlasma」レビュー–カスタマイズ性に優れた上級者向け「Linux」ディストロ」についてご紹介します。
関連ワード (さまざまなLinuxディストリビューションの世界、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
最初に言っておきたいことがある。「ArcoPlasma」(「ArcoLinux」の派生ディストリビューション)は、「Linux」の経験がほとんどない人や全くない人には向いていない。筆者もArcoPlasmaでいくつかの問題に遭遇したので(例えば、db.lckファイルが更新をブロックしたが、これはLinuxに精通している人なら簡単に解決できる問題だ)、本記事を読む人はその点に留意してほしい。
個人的には、それらの問題があっても、ArcoPlasmaは非常に優れたデスクトップOSだと感じた。
ArcoLinuxは、教育とカスタマイズ性に重点を置いた「Arch Linux」ベースのプロジェクトだ。ArcoLinuxでは、OSをインストールする複数の方法が提供されている。例えば、さまざまなユーザーの好みやスキルレベルに対応するため、17種類のISOイメージファイルが用意されている。
ArcoLinuxは、あらゆる種類のユーザーを想定して、OSをインストールする簡単な方法と高度な方法の両方を提供している。高度なインストールは非常に印象的な機能で、ユーザーは使用するカーネルからデスクトップ環境まで(そして、その間にある全てのもの)、あらゆるものを選択できる。
ArcoPlasmaは、ArcoLinuxの派生ディストリビューションで、豊富な機能を備えた「KDE Plasma」デスクトップ環境を提供する。KDE Plasmaのおかげで、ArcoPlasmaのユーザーは洗練された上品なインターフェースを利用できる。このインターフェースは直観的に使用することが可能で、カスタマイズ性にも優れている。
これら全ての要素を組み合わせると、極めて秀逸なデスクトップOSが完成する。
ArcoPlasmaのどこが素晴らしいのか。優れているのは、細かい部分と「Arch Linux Tweak Tool」だ。
KDE Plasmaの素晴らしさについては、いくらでも語ることができる。言うまでもなく、KDE Plasmaは美しい。ArcoPlasmaはKDE Plasmaのおなじみの上品な外観を提供するので、あらゆるユーザーが満足し、感銘を受けるはずだ。
ただし、最も注目すべきなのは、Arch Linux Tweak Toolである。
Arch Linux Tweak Tool(ATT)は、ArcoLinuxをカスタマイズするために設計された強力なアプリケーションだが、最終的にはオリジナルのArch Linuxや「EndeavourOS」「Manjaro」など、ほかのArchベースのディストリビューションにも拡張された。
ArcoLinux(およびArcoPlasma)にとってのATTは、「openSUSE」にとっての「YaST」に相当する。システム用の設定ツールと考えるといいだろう。ATTを使用すると、自動起動、テーマ、インストールするデスクトップ、fastfetch情報、フィックス、「GRUB」(ブートローダー)、ログイン、ミラー、パッケージ、「pacman」、プライバシー、サービス、シェル、ターミナル、「terminal fun」などを設定できる。
デスクトップのみをカスタマイズしたい場合は、そのためのデフォルトツール(KDE Plasmaの「KDEシステム設定」など)を使用してほしい。それ以外の場合はATTを使用する。
例えば、ATTの「デスクトップ」セクションに移動して、「Select a desktop」(デスクトップを選択)ドロップダウンをクリックすると、インストールできるデスクトップの長いリストが表示される。筆者は「Pantheon」デスクトップのインストールがどのように処理されるのかを確認してみることにした。
ドロップダウンからPantheonを選択して、「Install」(インストール)をクリックし、しばらく待ってみた。インストールは約30秒で完了し、Pantheonが「installed」(インストール済み)と表示された。ログアウトして、ログイン画面でデスクトップのオプションを確認してみたが、Pantheonは表示されていなかった。しかし、デスクトップ選択メニューでは、「GNOME」がインストール済みになっており、全てのオプションが重複して表示されていた。
試しにリストからGNOMEを選択してみたところ、起動する前にクラッシュしてしまった。そこでKDE Plasmaに戻り、ほかのオプションをインストールして、正常に動作するものがあるか確認してみた。念のため、「Hyprland」とPantheonを再インストールした。最終的に、デスクトップの選択はインストールプロセス中に実行する必要があると判断した。ATTで選択しても、求めている結果は得られないからだ。