グーグル、産学官連携のサイバーセキュリティ有識者会議を発足
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Googleは3月12日、産学官連携のサイバーセキュリティ有識者会議「Japan Cybersecurity Initiative」の設立を発表した。脅威情報の共有や中小企業のセキュリティ対策の無償支援、人材育成などを推進するとしている。
有識者会議は、Googleが2024年3月に国内で設立したサイバーセキュリティ研究拠点が主幹事となり、産学官からサイバーセキュリティやテクノロジー、ビジネス、政策など各分野の専門家ら14人が参加する。慶応義塾大学の村井純教授が座長を務める。
主な活動内容は、(1)有識者会議の開催およびアクションプランの策定と発信、(2)経済産業省と連携した中小企業向けセキュリティ対策の普及活動の実施、(3)最新サイバーセキュリティに関する情報共有および専門人材育成の支援――になる。
(1)では、産学官の専門家による「ハイレベル会議」と「テーマ別会議」を実施し、ハイレベル会議で全体的なアクションプランの検討や策定などを行うほか、国民への啓発や経営のためのサイバーセキュリティ戦略、人材拡大といった個々の内容をテーマ別会議で議論する。2026年3月までに白書として取りまとめ、公開を目指すという。
(2)では、経済産業省が提供する「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」での実践編の内容を基にした中小企業向けの基礎的なセキュリティ対策の支援を無償で提供。ここでは全国各地のサイバーセキュリティコミュニティー「地域SECUNITY」を連携して展開していく。
(3)では、大企業や重要インフラ組織を対象に、Google傘下のMandiantによるセキュリティ脅威インテリジェンスを提供するほか、有償の「Google サイバーセキュリティプロフェッショナル認定証」を5000枠限定で無償提供する。また、経営者と最高情報セキュリティ責任者(CISO)、IT部門のセキュリティ担当者などを対象とするワークショップやトレーニングなども開催することにしている。
同日の設立発表会に登壇したグーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行氏は、サイバーセキュリティ研究拠点で「政策対話」「人材育成」「研究支援」の3つを中心に取り組んでいると紹介。サイバーセキュリティ情勢が大きく変化する中で、産学官連携により業界の垣根を超えたエコシステムにより日本社会のサイバーセキュリティの底上げやサイバーセキュリティ政策の強化、推進のために今回の有識者会議を設立したとあいさつした。
発表会の前には第1回の有識者会議を開催。これを踏まえて座長の村井氏は、「日本はコロナ禍でデジタル技術がいかに社会に深く溶け込んでいるのかを認識し、これからはサイバー空間の安全が前提になる。AIやロボットの時代に、日本は文化的にこれらのテクノロジーとの親和性が高い。テクノロジーの悪用に立ち向かうことがサイバーセキュリティの意味であり、テクノロジーを正しい活用に貢献することが日本の役割。有識者会議で世界を出していきたいと期待している」などと語った。
また、基調講演を行ったGoogle プライバシー/セーフティー/セキュリティエンジニアリング担当バイスプレジデントのRoyal Hansen氏は、近年に日本が世界的なサイバー攻撃の標的となっている現状を指摘した上で、Google自身も長年にわたり多彩なサイバーセキュリティの推進に取り組んできたことを強調。本格化するAI時代に向けては、サイバーセキュリティの担保が前提になるとし、サイバーセキュリティに関するさまざまなテクノロジーやフレームワーク、コミュニティー、エコシステム、研究開発の取り組みを通じて、サイバーセキュリティを日本社会全体に浸透していく活動を支援したいと表明した。
また、発表会には岸田文雄前首相や中曽根康弘世界平和研究所 主任研究員 笹川財団 主任フェローの大澤敦氏らが来賓として出席した。
岸田氏は、首相在任中の2023年の第49回先進国首脳会議(G7 広島サミット)で世界的なAIイニシアチブに関する連携での議長を務めた経験から、AIとサイバーセキュリティが表裏一体であると述べ、サイバー攻撃による情報窃取や重要インフラにおけるサイバーリスクの高まり、サプライチェーン全体を狙う脅威が拡大する中で、産学官連携による有識者会議が日本全体のサイバーセキュリティ強化に貢献することを期待すると賛辞を送った。
また大澤氏は、世界的なサイバーセキュリティ人材の不足、今国会で能動的サイバー防御実現に向けた関連法案審議が本格化している状況などを踏まえ、人材育成では、例えば、若手人材が政府機関でサイバーセキュリティの経験を蓄積し、セキュリティクリアランスを獲得した後に、培った知見やスキルを民間に反映していく仕組みを産学官で実現するなどの提言を紹介した。