HPE、ハードウェア共通化に向けたストレージ新製品やファイルサービスを提供
今回は「HPE、ハードウェア共通化に向けたストレージ新製品やファイルサービスを提供」についてご紹介します。
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日本ヒューレット・パッカード(HPE)は5月17日、新しいファイルストレージデータサービスと、その基盤となる新型ハードウェア「HPE Alletra Storage MP」を発表した。
Alletra Storage MPの「MP」とは「マルチプロトコル」の意味だといい、ブロックやファイル、オブジェクトストレージとしても利用可能になる予定だ。Alletra Storage MPは「コンピュートノードとストレージノードを分離し、共通化されたハードウェアプラットフォーム」と説明される。
2Uサイズの筐体にフラッシュストレージやI/Oモジュールを任意に組み合わせられる。共通化されたハードウェアコンポーネントを搭載することで、ブロック/ファイルアクセスに対応したストレージコントローラーやJBOF(Just a Bunch of Flash)といったさまざまな役割を切り替えられる。
将来的には100GbE RoCEv2スイッチを介してモジュール間を接続してシェアードエブリシングアーキテクチャーで構成することが想定されているが、初期リリースではブロックアクセスに対応した2ノードスイッチレス構成の「HPE GreenLake for Block Storageアレイ」やファイルアクセスに対応する「HPE GreenLake for File Storage」が6月1日から販売開始される一方、オブジェクトストレージの提供は「今後の予定」とされている。
なお、ファイルアクセスはVAST Dataの「VAST Data Platform」をHPE向けに独自にカスタマイズし、検証したものが採用された。従来同社のストレージ製品はブロックアクセスが中心で、ファイルストレージに関してはごく限定的にしか提供していなかったが、今回のVAST Data製品の採用によって「エクサバイトスケールに対応したオールフラッシュ対応のファイルサービス」が提供可能となる。
執行役員 データサービス事業統括本部長 兼 HPC・DATA&AIソリューション事業統括本部長の根岸史季氏は「データは非常に厄介なもの。うまく活用すれば価値を生み出すが、ちゃんとメンテナンスをしなければ管理が大変になる」とした上で、「ITコストの中でもデータの保持/移動に一番コストが掛かる」と指摘。データを活用するには必然的に移動を伴うため、「正しくマネジメントすることは永遠の課題」だと位置付けた。
さらに「一切合切をパブリッククラウドに移動してしまう手もあるが、それは問題を移転しただけで本質的な課題は残ったまま」だと指摘し、適材適所を組み合わせたハイブリッドなソリューションが重要となるとした。その上で、「1つのルック&フィール、単一の管理の仕組みで、適材適所でいろいろなものを組み合わせて最適解を作る、そのサポートとなるようなオファリングソリューション」という位置付けで、約1年前に発表された「HPE Data Services Cloud Console」(DSCC)の意義を改めて強調した。
DSCCは、オンプレミスを含め、インフラ、データ、サービスを「クラウドのように一元管理」するプラットフォームだ。クラウド化の進展によってストレージ機能をサービスとして利用する考え方はユーザー企業側にも浸透しつつあり、容量やアクセス性能、データ保護レベルといった要件を指定して従量課金で利用する形がオンプレミス/クラウドを問わず普及してきている。
こうした環境を統合管理するための上位層のインターフェースとしてDSCCがあり、ストレージサービスを実現するための下層のハードウェアとしてをAlletra Storage MPのような共通化されたハードウェアで実現する、という方向性が改めて打ち出されたものと言えるだろう。
なお、提供形態として従来型のCAPEX(資本的支出)型のハードウェア販売とリース型の提供は6月1日から始まるものの、OPEX(運営費)型で従量制のGreenLake for Block Storage、同File Storage、クラウドサービスなどは2023年下半期の提供予定となっている。さらに、オブジェクトストレージのサポートや、100GbE RoCEv2スイッチをバックエンドファブリックとして利用するマルチノードスイッチシステムなど、将来計画として発表されている要素も多い。
この点に関して、データサービス事業統括本部 ストレージ製品本部 製品部(兼)HPE Ezmeral事業部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏は「ユーザー企業でのストレージ製品の利用ライフサイクルが短くなっており、十分な検証期間が取りにくくなっていることを踏まえて早めに発表した」と説明している。既存のストレージ製品群に関しても「今後数年間は販売を継続する」としており、ユーザー企業側でも十分な検討期間が確保されるものと考えてよいだろう。