ベトナム最大手FPTソフト、日本国内で売り上げトップ20入りへ
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ベトナムの最大手IT企業、FPTソフトウェアが日本市場の開拓に一段と力を入れる。日本法人FPTジャパンホールディングス 代表取締役社長のDo Van Khac(ド・ヴァン・カック)氏が2月下旬、日本の売り上げが年率平均30%以上で成長し、2024年度に約728億円に達したことを明かした。2025年度も31%成長を計画し、日本国内で売り上げトップ20社入りを目指すという。
成長を遂げている施策が幾つかある。1つ目は地政学リスクマネジメントになる。分かりやすくいえば、経済安全保障の観点から中国でのオフショア開発の撤退や規模の縮小により、日本の金融機関などを中心に中国外へソフトウェア開発を移管する動きがある。「スムーズにできるよう支援する」とKhac氏は述べる。
2つ目は、AIとGPUへの対応になる。FPTソフトウェアは米NVIDIAと強力なパートナーシップ関係を構築し、ベトナムなどでクラウドサービスなどを提供する。その一環から、日本では千葉県印西市にあるデータセンターに調達したGPU「NVIDIA H100」など127台を設置し、クラウド基盤やクラウドサービスの提供を始める。それを担っている子会社のFPTスマートクラウドジャパンに金融サービスのSBIホールディングスが出資し、AIやデータセンターの需要拡大に応えていくという。
3つ目は自動車向け事業になる。Khac氏によると、自動車メーカーと直接取引を行うTier1の自動車関連会社らとナビゲーションアプリの開発に取り組んでいるという。加えて、日本の自動車メーカーのソフトウェアディファインドビークル(SDV)に対応するため、名古屋、栃木、群馬、静岡などに拠点を設けて2025年度には日本で売り上げ200億円を目指す。
4つ目はレガシーマイグレーションになる。2025年3月に、SCSKと共にCOBOL PARKを立ち上げ、FPTソフトウェアの若手人材とSCSKのシニア人材のチームで、メインフレーム「COBOL」のマイグレーションに取り組む。自社製移行ツールも活用しているという。SCSKとは2018年にアジア太平洋地域におけるITサービス事業での協業関係を構築しているほか、SCSK元社長の谷原徹氏が日本法人の取締役会長に就いている。
5つ目はERPビジネスになる。SAPの「S/4 HANA」とMicrosoftの「Dynamics 365」の導入とカスタマイズの支援を強化する。まずは2027年までにSAPの技術者を今の10倍の約3000人にする。「SAP ERP6.0」の保守サポートが終了する2027年問題が迫っているだけにS/4 HANAへの移行に大きなビジネスチャンスを期待している。
これらの施策の実行には、人材の獲得と育成も欠かせない。日本法人は年間約1000人を採用し、2025年度末には約5000人体制にする。100社以上の人材紹介会社と連携したり、ベトナムの技術者を日本に送り込んだりする。実は、FPTソフトウェアのベトナム本社が経営するベトナムのFPT大学が年間約1万人の卒業生を輩出しており、その約25%がFPTソフトウェアなどのグループ会社に入社しているという。その中から日本語を習得した技術者が日本に来たり、ベトナムで対応したりする。ちなみに日本法人に在籍する日本人は現在、約1300人になるという。
人材獲得や育成策には、合併・買収(M&A)や共同出資会社などの立ち上げもある。最近では、受託開発を手掛ける従業員約120人のエヌ・エイ・シー(NAC)を100%子会社化した。資本参加した日本のIT企業の技術者らを生成AI活用など新しい技術の習得へとリスキリングもする。コニカミノルタとは複写機ソフトウェア開発会社を設立したり、沖電気工業(OKI)とはFPTソフトウェアが中国で展開するソフトウェア開発会社に資本参加したりもする。加えて、従業員100人から500人のインフラ構築会社や日本語に対応できるコンサルティング会社への資本参加なども検討する。日本のパートナー企業も20社以上になるという。
FPTソフトウェアのシニアエグゼクティブバイスプレジデントでもあるKhac氏は日本法人社長として4年目に入り、確固たる成長基盤を構築しようとしている。