SAPジャパン、「Business Data Cloud」を発表–生成AIではコンサル向け機能も展開

今回は「SAPジャパン、「Business Data Cloud」を発表–生成AIではコンサル向け機能も展開」についてご紹介します。

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 SAPジャパンは3月18日、2月にグローバルで発表した新たなマネージド型クラウドサービス「SAP Business Data Cloud」(関連記事)に関する説明会を開き、同サービスを第2四半期から一般提供すると発表した。また、第2四半期では生成AIアシスタントの「Joule」で、SAPコンサルタント向けの機能を提供することも明らかにした。

 既報の通りBusiness Data Cloudは、あらゆるSAPのシステムのデータおよび非SAPシステムのデータも統合、集約し、各種データをSAPのアプリケーションやAIで利用できるためのデータプラットフォームになる。このために同社は、Databricksとも協業している。

 説明したSAPジャパン Business Data Cloud ソリューションアドバイザリー部 ソリューションアドバイザーエキスパートの椛田后一氏によると、同サービスは、異なるシステムが持つデータをAIが理解できるよう整合性を確保する役割を担うとのこと。SAP Business Data Cloudは、大きく「ビジネスデータファブリック」「Insight Apps」「データプロダクト」で構成されている。

 まず中心となるが、ビジネスデータファブリックだという。SAPはデータの統合・管理の「SAP Datasphere」やデータ分析の「SAP Analytics Cloud」も提供しているが、Business Data Cloudでは、この2つをビジネスデータファブリックに組み込み、「SAP S/4HANA」のデータや非SAPシステムのデータをSAP DatasphereでS/4HANAの「Core Data Services」(CDS)のモデルに再現。そのデータを例えば、SAP Analytics Cloudで可視化するといった利用を実現する。

 次にデータプロダクトは、マスターデータやトランザクションデータ、オブジェクトデータ、アナリティクスデータなどユースケースに応じたデータセットのカタログになり、ユーザーはカタログから目的のデータセットを選択することで、容易かつ速やかに利用を始められるとのこと。S/4HANAなどのシステムと同期し、S/4HANAでのデータの変更などはリアルタイムにデータプロダクトにも反映されるという。

 また、「SAP Knowledge Graph」というナレッジグラフ機能も提供する。ビジネスデータの関係性をナレッジグラフとして容易に構造化、保持でき、そのコンテキストなどを生成AIエージェントなどに活用したりもできるとする。データの正確性を担保することでAIのハルシネーション(誤情報生成)を減少できるとしている。

 Insight Appsでは、あらゆるSAPアプリケーションの一貫した可視性をユーザーに提供するダッシュボード機能になる。各種基幹業務や人的資源管理、支出管理、顧客分析、サプライチェーン分析といった業務で正確性の高い洞察を提供し、ユーザーはテンプレートを用いて、すぐに目的に応じた利用を開始できるという。

 Business Data Cloudの各種機能の高度な利用や、そのケイパビリティーを引き出す上で重要な点がDatabricksとの連携だという。これによりユーザーは、Databricksのデータ基盤で管理しているデータをゼロコピーでBusiness Data Cloudから利用できるようになり、機械学習技術を生かした洞察の獲得といったことを透過的に実現、ネイティブに近い形で利用できるようになるとした。

 なお椛田氏は、Business Data Cloudでは、「SAP Business Warehouse」(SAP BW)の機能も組み込んでいると説明。SAP BWは、実質的に旧来製品の位置付けにある。椛田氏によれば、SAP BWをオンプレミス環境で使用中のユーザーは、まずSAP BWの稼働基盤をクラウドに移行(リフト)し、次にBusiness Data Cloudと連携を開始して、適用範囲を拡大していく。同氏は、既存のSAP BWの資産を生かしつつBusiness Data Cloudへ順次移行することを推奨していると明言した。

 また、SAPのクラウドオファリングとなる「GROW with SAP」と「RISE with SAP」でもBusiness Data Cloudと同等機能が順次提供されていくという。

 説明会では、常務執行役員 最高事業責任者の堀川嘉朗氏がSAPジャパンのAI戦略の概況などに触れた。同社は、2月に開催した2025年のビジネス戦略説明会で代表取締役社長の鈴木洋史氏が「AIファースト、スイートファースト」という方向性を示した。

 堀川氏は、これを踏まえて日本市場向けにもAIの提供範囲を順次拡大しているなどと強調。特に2025年は、AIエージェントの拡充と推進、展開を重点施策の1つに位置付けており、堀川氏は、Jouleにおいて、2025年第1四半期にSAPアプリケーション開発者向け機能、同第2四半期からSAPコンサルタント向け機能をそれぞれ提供すると述べた。

 開発者向け機能では、開発者が機能要件などをJouleに入力するだけで、Jouleが「Advanced Business Application Programming」(ABAP)の推奨コードを自動生成してくれる。開発生産性の大幅な向上が期待されるという。

 SAPコンサルタント向け機能では、パートナーなどのSAPコンサルタントが顧客からヒアリングなどにより得た要件をJouleに入力するだけで、Jouleがベストプラクティスなどに基づいて顧客要件に最適化したSAPシステムの設計、構成、実装支援などを行う。堀川氏は、これによってSAPシステムにまつわるプロジェクトの形が大きく変わると強調した。

 堀川氏は、こうしたSAPジャパンのAI推進においてもBusiness Data Cloudが重要な位置付けになるなどと説明している。

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