データ活用の“気味悪さ”払拭を 情報の価値とリスクのはざま
今回は「データ活用の“気味悪さ”払拭を 情報の価値とリスクのはざま」についてご紹介します。
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本記事は、It Media News様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
いたずら小僧だった少年時代。隠し事やうそを親に見破られ、叱られることも多かった。あまりに的確な親の指摘に、自分の心の声が聞こえているのかと気味悪く思ったこともあった。
30年たって自分の“分身”のような子供を持ち、自らの浅知恵と、下手なうそが見透かされていたことを実感するのだが、最近は別の意味で、似たような気味の悪さを感じることがある。
インターネット広告だ。ターゲティング広告といわれ、過去の検索履歴やネット通販の購入履歴を参考に広告が表示される。よくできた仕組みと感心する一方、どこまで自分が探られているのだろうと疑心暗鬼にもなる。
インターネットの世界は、裏側で情報がどう管理されているのか分からないことが多い。それでも、大手だからきっと大丈夫。ユーザーはそう自分に言い聞かせて使っているのが大半だろう。
無料通信アプリ「LINE」の利用者情報が中国企業から閲覧できた問題は、そんなユーザーの信頼を裏切ることになった。
特にLINEは国内約8600万人が使う人気の通信アプリだ。写真や動画も簡単に送ることができ、プライベートなやりとりも多い。「あのときのやりとりが流出したら……」。そんな不安に駆られた人も多いのではないか。国家が強制的に情報収集できる中国の企業が情報にアクセスしていたのだからなおさらだ。
せめてもの救いは、今のところ「情報流出は確認されていない」(LINE担当者)ことに加え、今回の件が、ソフトバンク傘下のZホールディングス(HD)との統合で、業務を総点検する中で判明した点だ。デジタル社会の到来を前に、各社も同様のリスクがないか点検する好機と捉えるべきだろう。
取り扱いに細心の注意が必要な個人データだが、データの積極的な活用は今後の日本の成長には欠かせない。日本発の世界的なIT企業を目指す新生ZHDには、対策を講じた上で、データ活用は続けてもらいたい。
重要なのは個人データをどこで、どんな目的で、どう使うのか、ユーザーに分かりやすく伝える工夫だ。“気味の悪さ”を残したままでは、国民の信頼は取り戻せない。
【プロフィール】蕎麦谷里志
2001年入社。大津支局、さいたま総局、東京本社社会部などを経て、17年5月から経済本部。現在は総務省やデジタル分野を担当。
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