テクノロジーと災害対応の未来1「世界で最も悲惨な緊急事態管理関連の販売サイクル」

今回は「テクノロジーと災害対応の未来1「世界で最も悲惨な緊急事態管理関連の販売サイクル」」についてご紹介します。

関連ワード (Carbyne、Cornea、Perimeter、アメリカ、気候テック、気候変動、自然災害等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


スタートアップが 自分たちは使命感を持っていると語るのをよく耳にする。しかし、その使命が節税対策のためにキャッシュフローを最適化することだとしたら、そのような言葉を真に受けてはならない。一方、新世代のスタートアップも登場してきている。世界規模の大きな課題に挑み、これまでのスタートアップと同様の起業家精神や卓越した運営能力、優れた技術力を、現実的な使命に生かそうとしている企業だ。こういった企業が何千人もの命を救う可能性がある。

気候テックは全般的に、新世代のスタートアップの登場というトレンドから大きな恩恵を受けているが、私が注目したのは災害対応という小規模な専門分野だ。この分野はソフトウェアサービスのカテゴリーで、何年も前からあちこちのスタートアップが参入しているが、今、新たな創業者たちが、これまでにない危機感や熱意を持ってこの分野の課題に取り組んでいる。

最初に触れたように、災害対応は急激に成長している。2020年は厳しい年だった。その理由は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行だけにとどまらない。この年、記録的な数のハリケーンが発生し、米国西部では過去最悪の山火事シーズンとなった。また、世界各地でメガストームも発生した。気候変動、都市化、人口増加、不十分な対応策などの要因が重なり、人類全体がこれまでに直面してきた中でもかなり危険な状況となっている。

私は、この10年間で災害対応市場がどのような状況になっているのかを把握すべく、過去数週間にわたりスタートアップの創業者、投資家、政府関係者、公益企業の幹部など30人以上にインタビューを行い、最新の状況とこれまでの変化を理解するに至った。4回にわたるシリーズで、テクノロジーと災害対応の未来をテーマに、災害対応市場の販売サイクル、ようやく災害対応にデータが活用されるようになったいきさつ、インターネットアクセス問題への公益企業や特に通信会社による対処法、そして地域社会における今後の災害対応の再定義について考えていく。

災害対応やレジリエンス(災害復旧力)におけるテクノロジーの発展を紹介する前に、次の基本的な質問について考えることが重要だ。テクノロジーを確立すれば、それは売れるのか。創業者や投資家、政府調達関係者からは「ノー」というシンプルな答えが返ってきた。

実際、今回のシリーズ用のインタビューでは、緊急事態管理関連の販売サイクルの厳しさが繰り返し話題にのぼり「世界のどの企業にとっても、緊急事態管理関連の売上を上げるのは最も難しいことかもしれない」と語る人も1人ではなかった。地方自治体、州政府、連邦政府、各国政府の調達予算を合計すると、あっという間に数百億ドル(数兆円)規模の市場になることを考えると、この見解は意外かもしれない。しかしこの後見ていくように、この市場には独特のメカニズムがあるため、従来の販売手法はほとんど役に立たない。

これは悲観的な見方だが、販売活動が不可能というわけではなく、いくつもの新しいスタートアップがこの市場への参入障壁を打ち破っている。現在、多くのスタートアップが突破口を開くために採用している販売戦略と製品戦略を見ていく。

政府機関相手の販売には困難が付き物であるが、それも驚くにはあたらない。これまで多くのGovTechスタートアップの創業者たちが学んできたことは、販売サイクルの遅さ、複雑な調達手続、厄介な検査やセキュリティ要件、契約担当者の全般的に消極的な態度などが、収益を上げるための戦いにおいて障害となっているということだ。現在、多くの政府機関がスタートアップに特化したプログラムを導入しているが、これは、新たなイノベーションが日の目を見ることがいかに難しいかを知っているからだ。

緊急事態管理関連の販売活動は、他の分野のGovTechスタートアップと同様の問題を抱えている。一方で、それに加えさらに6つほどの問題があるため、販売サイクルは疲弊し、かなり厳しい状態になっている。

まず第一に最も厳しいのは、緊急事態管理関連の販売活動が、著しく季節に依存することだ。季節的な災害(ハリケーン、山火事、冬の嵐など)に対応している機関の多くは、災害に対応する「活動」期間を経た後、その活動内容を評価し、次のシーズンに向けて必要な変更を判断して、災害対応要員の活動の効果を高めるために追加または廃止する災害対応用ツールを検討する「計画」期間に移行することが多い。

ここでは、先ごろ紹介した山火事対応分野のスタートアップであるCornea(コーニー)と Perimeter(ペリメーター)を取り上げる。どちらの企業も、製品を継続して販売するためには、火災シーズンを考慮する必要があると語っている。ペリメーターのCEO兼共同創業者であるBailey Farren(ベイリー・ファーレン)氏は「解決すべき問題を適切な方法で解決するため、2回の火災シーズンをかけてテクノロジーのベータテストを行いました。そして、実は2019年にカリフォルニア州で起こったキンケード火災の際に、ベータテストの対象を変更しました」と述べている。

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こういった点について、防災テックとEdTechを比較することもできる。EdTechに関しては、学校がテクノロジーを購入する時期は、アカデミックカレンダーで決まることが多い。米国の教育システムでは、6月から8月までの期間を逃すと、スタートアップはその年に学校で販売する機会を失い、次の年まで待つことになる。

3カ月という短い期間に売り込まなければならないEdTechの方が、以前は状況が困難だったかもしれないが、年々、災害対応の販売活動の方が難しくなってきている。気候変動の影響により、あらゆる種類の災害の継続期間が長くなり、深刻さが増し、被害が悪化している。そのため、これまで災害対応機関には半年以上のオフシーズンがあり、その期間に次の計画を立てていたのだが、今では1年中、緊急事態対応の活動に追われていることもある。つまり、災害対応機関が新たに購入すべきソリューションを検討する時間はほとんどないということになる。

さらに言えば、標準化されたアカデミックカレンダーとは異なり、災害が起こる時期の予測が最近では難しくなっている。例えば、洪水や山火事のシーズンは以前は年間の特定の時期に比較的集中していた。しかし今は、このような緊急事態が1年中いつでも発生する可能性がある。この結果、災害対応機関は災害にいつでも対応する必要があるため、調達手続は急に開始されることもあれば急に凍結されることもある。

季節性は販売サイクルだけでなく、災害対応機関の予算にも影響を与える。災害が発生している間は市民や政治家の関心はそこに注がれるが、その後、次の大災害が発生するまで、私たちはそのことをすっかり忘れてしまう。他のテクノロジーへの政府支出が毎年安定している一方、防災テックの予算には増減がある場合が多い。

連邦政府の緊急事態管理機関のある高官(公に話す権限がないため名前は伏せるようにとのことだった)は「好天の日々」(災害のない期間など)には一定の予算の確保とそれを迅速に使用する条件が非常に限られており、同局のような機関は、連邦議会や州議会が追加資金を承認した場合に、補完的な災害資金をつなぎ合わせて使用しなければならないと説明した。主要な機関はテクノロジー関連のロードマップを用意しており、追加の資金が入ってきた時に、すぐにその資金を使って計画を実現できるようにしているが、すべての機関がそのような準備をするためのテクノロジー計画のリソースを持っているわけではない。

911(緊急通報)センターでの電話対応をサポートするクラウドネイティブプラットフォームであるCarbyne(カーバイン)のCEO兼共同創業者のAmir Elichai(アミール・エリチャイ)氏は、災害対応への関心の波は2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で再び頂点に達し、それにより緊急対応能力に関する注目度と資金が大幅に増加したと述べた。「新型コロナウイルス感染症によって、政府の準備が不十分であるということが明らかになったのです」と同氏はいう。

驚くにはあたらないが、災害対応業界や災害対応要員が長年にわたって提唱してきた次世代の911サービス(一般的にNG911と呼ばれている)に対する大幅な資金強化が期待されている。バイデン大統領が提案したインフラ法案では、米国内の911の業務機能を強化するために150億ドル(約1兆6400億円)が追加される予定だが、この資金は過去10年間ほぼ毎年要請されてきた。2020年、120億ドル(約1兆3000億円)規模の同法案は、連邦下院議会を通過した後、上院で否決された。

販売活動では、例えるならば客に鎮痛剤を提供する場合とビタミン剤を提供する場合がある。鎮痛剤には即効性が、ビタミン剤には遅効性がある。システムのアップグレードを検討している災害対応機関は、おおかた鎮痛剤を求めるだろうと予想される。恐怖感と危機的状況が災害対応機関とその活動を取り巻いているため、これらの機関は自分たちのニーズを直感的に意識するようだ。

しかし、このような恐怖感から、テクノロジーの組織的なアップグレードよりもその場しのぎの、いわば鎮痛剤のようなソリューションに注意が向いてしまい、実際は逆効果となる場合が多い。名前を伏せたあるGovTechのVCは「この世界が怖くて危険な場所だというイメージを与えないようにしています」と語った。そうすることがないよう「重要なのは、危険性よりも安全性に目を向けることです」。安全性の確保は、時々起こる緊急事態への対処より、はるかに広範で一貫したニーズだ。

最終的に資金が承認されれば、各機関は立法府からついに割り当てられた予算資金の用途として優先すべきことを見つけ出すためにすぐに行動しなければならない。スタートアップが適切なソリューションを提供していても、特定のサイクルでどの問題に資金が集まるのかを見極めるためには、すべての顧客にきめ細やかな意識を向ける必要がある。

スタートアップスタジオでありベンチャーファンドでもあるHangar(ハンガー)のマネージングパートナーであるJosh Mendelsohn(ジョシュ・メンデルゾーン)氏は「災害対応機関のお客様は常にさまざまなニーズを提示してくださいます。最も難しいのは、最も取り組む価値がある問題は何かを見極めることです」と述べた。その価値は、残念ながら、災害対応機関の任務の要件に応じて非常に急速に変化する。

すべての条件が揃っているとしよう。災害対応機関には購入する時間的余裕とニーズがあり、スタートアップは彼らが求めるソリューションを持っている。最終的に最も解決が困難だと思われる課題は、そもそも災害対応機関が新しいスタートアップを信頼していないということだ。

この数週間、緊急対応の関係者たちと話をしたが、当然のことながら信頼性の話が何度も持ち上がった。災害対応は極めて重要な仕事であり、現場でも司令センターでも決して中断することは許されない。一方、最前線の災害対応要員は、タブレットや携帯電話の代わりに今でも紙とペンを使っている。紙ならばバッテリー切れになることなく、どんな時でも使用できるからだ。シリコンバレーの「Move Fast and Break Things(すばやく動き、物事のマンネリを打破すべし)」という精神は、この市場とは根本的に相容れない。

季節性、資金の増減、注目度の低さ、調達の緊急性、信頼性の厳しい要件などのため、緊急事態管理関連の販売活動はスタートアップにとってかなり困難なものとなっている。これには、GovTechの典型的な課題は含まれていない。その課題とは、レガシーシステムとの統合、米国や世界各地に散在し、バラバラな状態となっている何千もの緊急対応機関、多くの機関の人々がそもそも変革にあまり興味を持っていないという事実などだ。ある関係者は、政府による緊急対応テクノロジーへの取り組みについて「多くの部署の人員が、テクノロジーの移行という困難な課題に取り組む前に、あわよくば定年を迎えられるかもしれないと考えています」と述べた。

つまり、販売サイクルは厳しい状態なのだ。では、なぜVCはこの分野に資金を投入しているのか。数カ月前には、緊急対応データプラットフォームのRapidSOS(ラピッドエスオーエス)が8500万ドル(約93億円)を調達しており、これはCarbyneが2500万ドル(約27億3000万円)を調達したのとほぼ同時期だ。この他にもかなりのスタートアップが初期段階でプレシード投資やシード投資を調達した。

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この分野に携わるほぼ全員が同意している重要な論点は、創業者(およびその企業への投資家)は、民間企業に対する販売戦略を捨て、災害対応機関に特化して販売するために、アプローチを根本から再構築しなければならないということだ。つまり、収益を確保するためにまったく異なる戦略や戦術を立てなければならないということになる。

第一に最も重要なアプローチは、まず顧客となる機関を知ることではなく、この分野の人々が実際にどのような仕事をしているかを知ることだと言えるだろう。販売サイクルが示すように、災害対応は他の仕事とは異なる。混沌とした状況、急速に変化する環境、複数の分野にまたがるチームや省庁間の連携など、効果的に対応するにあたって行うべきことは、オフィスワークとはかなり違っている。ここで重要なことは共感だ。紙を使っている災害対応要員は、現場でデバイスが故障して危うく命を落とすところだったという経験があるかもしれない。911センターのオペレーターは、ソフトウェアのデータベースから適切な情報を見つけようと必死になっている間に、誰かが亡くなるのをリアルタイムで聞いたという経験があるかもしれない。

要するに、顧客の発見と開発だ。これは企業の世界とあまり変わりないが、緊急対応の業界関係者と多くの会話を交わす中で、そこからは忍耐の必要性が感じ取れた。構築すべきソリューションやソリューションを効果的に売る方法を確実に見いだすためには、とにかく長い時間、時には何シーズンもの時間が必要だ。企業向けのSaaS製品を繰り返し市場に出し、それが市場に受け入れられるまでの期間が6カ月だとすれば、政府機関ではそれと同等の段階に達するのに2~3年かかる可能性もある。

RapidSOSのMichael Martin(マイケル・マーティン)氏は「公共サービス分野における顧客発見に近道はありません」と語った。同氏は「シリコンバレーの技術コミュニティの傲慢さと、公共安全に関わる課題の実態の間には、実に難しい問題があると思います」と述べ、スタートアップが成功を収めるためには、そうした問題を解決しなければならないと指摘した。一方、公共安全分野の企業であるResponder Corp(レスポンダー)の社長兼共同創業者、Bryce Stirton(ブライス・スタートン)氏はこう語る。「すべての課題を捉えるにはエンドユーザーについて考えるのが一番です。エンドユーザーにとって新しいテクノロジーを導入する上で満たす必要のある条件は何かを考えるのです」。

ハンガーのメンデルゾーン氏は、顧客発見のプロセスで創業者はいくつかの難しい質問に答えを見いだす必要があると述べている。「結局のところ、エントリーポイントは何かということです」と同氏はいう。「Corneaでは、顧客発見のプロセスを経る必要がありました。顧客にとってすべての要素が必要に思えたとしても、最小限の行動変化ですぐに効果があらわれる最適な解答を見つけ出す必要があるのです」。

確かに、顧客発見のプロセスは顧客の側からも評価されている。連邦政府の緊急事態管理機関の高官は「どの会社もソリューションを持っていましたが、誰も私の抱えている問題について質問することはありませんでした」と語った。質の高い製品を用意し、この市場で行われている特別な仕事に合わせてその製品をカスタマイズしていくことが鍵となる。

しかし、仮にすばらしい製品があったとしても、どうやって調達手続の難しい課題を解決できるのか。その答えはさまざまで、この問題へのアプローチ方法について各スタートアップが戦略を示している。

RapidSOSのマーティン氏は「問題解決のための新しいサービスを調達するうえで、政府には手本となる良いモデルがない」と述べる。そこで、同社は政府向けのサービスを無料にすることを決めた。「かつて当社の製品を使用している政府機関はゼロでしたが、3年であらゆる政府機関が当社の製品を使用するようになりました。手本となるモデルがないという調達の問題を解決したことが功を奏しました」と同氏は語る。同社のビジネスモデルが基盤としているのは、自社のデータを911センターに統合して自社の安全を確保したいと考える有料の企業パートナーを持つことだ。

これはMD Ally(エムディアリー)が採用しているモデルと同様のものだ。同社は先週、シードラウンドでGeneral Catalyst(ジェネラルカタリスト)から350万ドル(約3億8200万円)の資金を調達した。エムディアリーは、911通報システムに遠隔医療の紹介サービスを組み込んでいる。CEO兼共同創業者のShanel Fields(シャネル・フィールズ)氏は、政府調達を避け、医師や精神医療従事者側からの収益エンジンを作成することに活路を見いだしたと強調している。

「政府のロビンフッド」とでも呼ばれるようなもの(つまり無料で提供するサービス)以外に、別のアプローチもある。より有名で信頼できるブランドと連携して、スタートアップの革新性と既存プレイヤーの信頼性を兼ね備えた製品を提供するというものだ。レスポンダーのスタートン氏は「この分野で企業を立ち上げるには、資本金だけでは不十分であることをこの市場で学びました」と述べている。同氏は、民間企業とパートナーシップを構築して、政府に共同提案を行うことが効果的だと判断した。例えば、クラウドプロバイダーのAmazon Web Services(アマゾンウェブサービス)やVerizon(ベライゾン)は政府からの評判が良く、そのおかげでスタートアップが政府調達のハードルを越えやすくなっているという(TechCrunchはベライゾングループの一員であるVerizon Mediaが運営している)。

Carbyneのエリチャイ氏は、販売の大部分はインテグレーションパートナーを介して行っていると言い、その一例としてCenterSquare(センタースクエア)を挙げた。911サービスについては「米国の市場が最も細分化されていることは明らか」だ。だからこそパートナーを持つことで、同社は何千もの機関へ販売する労力を省くことができる。「通常、政府に直接販売することはありません」と同氏は述べた。

パートナーを持てば、緊急事態管理関連の調達における地元主義の問題に対処することもできる。多くの政府機関は実際に何を購入すべきかわからないため、地元地域の身近な企業が提供しているソフトウェアを購入する。パートナーは地元地域での存在感を示すと同時に、スタートアップが全国的にすばやく事業展開する後押しをしてくれる。

また、パートナーとして、経験豊富な退職した政府関係者との関係を構築することも考えられる。彼らの存在やネットワークを通してスタートアップへの信頼を勝ち得ることができる。政府関係者、特に緊急事態管理担当者の仕事は、企業における仕事以上に密接な連携が求められるため、お互いに協力し合い、信頼関係を築く必要がある。そのような連携を通して親しくなった関係者からの積極的な推薦があれば、商談の流れは簡単に変わる可能性がある。

最後に、緊急事態管理ソフトウェアは政府を対象にしているが、民間企業にとっても、自分たちの業務を守るために同じようなツールを検討する必要が増してきている。多くの企業は、従業員や現場チーム、守るべき物理的資産を分散して抱えており、政府と同様に災害に対応しなければならない場合が多い。スタートアップによっては、初期の段階では民間企業に売り込みながら、公的機関との関係を根気強く構築し続けることも可能だ。

要するに、スタートアップが政府の災害対応機関と関係を築くためには、長期的な顧客開発プログラムや良好なパートナーシップ、共同提案に加え、民間企業も大切にするというのが最善の道だ。

幸いなことに、こうした努力は報われる可能性がある。災害対応機関にはかなりの資金があるだけでなく、これらの機関自体が今より優れたテクノロジーが必要であることを認識している。Corneaの消防責任者であり、以前は米国森林局で火災対応責任者も務めていたTom Harbour(トム・ハーバー)氏は「私たちが費やす資金は数十億ドル(数千億円)にもなります。しかし、もっと効率を上げることができると考えています」と述べた。政府は効率性を高めることに必ずしも協力的ではないが、最後までやり遂げる意思のある創業者なら、影響力があり、収益性が高く、使命感を持った企業を作り上げることができるだろう。

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画像クレジット:Wes Frazer / Getty Images


【原文】

Startups constantly talk about being mission-oriented, but it’s hard to take most of those messages seriously when the mission is optimizing cash flow for tax efficiency. However, a new generation of startups is emerging that are taking on some of the largest global challenges and bringing the same entrepreneurial grit, operational excellence and technical brilliance to bear on actual missions — ones that may well save thousands of lives.

The unique dynamics of this market make almost any traditional sales approach useless.

Climate tech has been a huge beneficiary of this trend in general, but one small specialty has caught my eye: disaster response. It’s a category for software services that’s percolated for years with startups here and there, but now a new crop of founders is taking on the challenges of this space with renewed urgency and vigor.

As the elevator pitch would have it, disaster response is hitting hockey stick growth. 2020 was a brutal year, and in more ways than just the global COVID-19 pandemic. The year also experienced a record number of hurricanes, among the worst wildfire seasons in the western United States and several megastorms all across the world. Climate change, urbanization, population growth and poor response practices have combined to create some of the most dangerous conditions humanity has ever collectively faced.

I wanted to get a sense of what the disaster response market has in store this decade, so over the past few weeks, I have interviewed more than 30 startup founders, investors, government officials, utility execs and more to understand this new landscape and what’s changed. In this four-part series on the future of technology and disaster response, to be published this weekend and next, we’ll look at the sales cycle in this market, how data is finally starting to flow into disaster response, how utilities and particularly telcos are dealing with internet access issues, and how communities are redefining disaster management going forward.

Before we get into all the tech developments in disaster response and resilience though, it’s important to ask a basic question: If you build it, will they come? The resounding answer from founders, investors and government procurement officials was simple: No.

In fact, in all my conversations for this series, the hell of the emergency management sales cycle came up repeatedly, with more than one individual describing it as possibly the toughest sale that any company could make in the entire world. That view might be surprising in a market that easily runs into the tens of billions of dollars if the budgets for procurement are aggregated across local, state, federal and international governments. Yet, as we will see, the unique dynamics of this market make almost any traditional sales approach useless.

Despite that pessimism though, that doesn’t mean sales are impossible, and a new crop of startups are piercing the barriers of entry in this market. We’ll look at the sales and product strategies that startups are increasingly relying on today to break through.

The sale from hell

Few will be surprised that government sales are hard. Generations of govtech startup founders have learned that slow sales cycles, byzantine procurement processes, cumbersome verification and security requirements, and a general lassitude among contract officers makes for a tough battlefield to close on revenue. Many government agencies now have programs to specifically onboard startups, having discovered just how hard it is for new innovations to run through their gauntlet.

Emergency management sales share all the same problems as other govtech startups, but then they deal with about a half dozen more problems that make the sales cycle go from exhausting to infernal hell.

The first and most painful is the dramatic seasonality of the sales in the emergency space. Many agencies that operate on seasonal disasters — think hurricanes, wildfires, winter storms and more — often go through an “action” period where they respond to these disasters, and then transition into a “planning” period where they assess their performance, determine what changes are needed for next season, and consider what tools might be added or removed to increase the effectiveness of their responders.

Take Cornea and Perimeter, two startups in the wildfire response space that I profiled recently. Both of the teams described how they needed to think in terms of fire seasons when it came to product iteration and sales. “We took two fire seasons to beta test our technology … to solve the right problem the right way,” Bailey Farren, CEO and co-founder of Perimeter, said. “We actually changed our focus on beta testing during the [2019 California] Kincaid fire.”

In this way, disaster tech could be compared to edtech, where school technology purchases are often synchronized with the academic calendar. Miss the June through August window in the U.S. education system, and a startup is looking at another year before it will get another chance at the classroom.

Edtech might once have been a tougher sale to make in order to thread that three-month needle, but disaster response is getting more difficult every year. Climate change is exacerbating the length, severity and damage caused by all types of disasters, which means that responding agencies that might have had six months or more out of season to plan in the past are sometimes working all year long just to respond to emergencies. That gives little time to think about what new solutions an agency needs to purchase.

Worse, unlike the standardized academic calendar, disasters are much less predictable these days as well. Flood and wildfire seasons, for instance, used to be relatively concentrated in certain periods of the year. Now, such emergencies can emerge practically year-round. That means that procurement processes can both start and freeze on a moment’s notice as an agency has to respond to its mission.

Seasonality doesn’t just apply to the sales cycle though — it also applies to the budgets of these agencies. While they are transpiring, disasters dominate the eye of the minds for citizens and politicians, but then we forget all about them until the next catastrophe. Unlike the annual consistency of other government tech spending, disaster tech funding often comes in waves.

One senior federal emergency management official, who asked not to be named since he wasn’t authorized to speak publicly, explained that consistent budgets and the ability to spend them quickly is quite limited during “blue sky days” (i.e., periods without a disaster), and agencies like his have to rely on piecing together supplementary disaster funds when Congress or state legislatures authorize additional financing. The best agencies have technological roadmaps on hand so that when extra funding comes in, they can use it immediately to realize their plans, but not all agencies have the technical planning resources to be that prepared.

Amir Elichai, the CEO and co-founder of Carbyne, a cloud-native platform for call handling in 911 centers, said that this wave of interest crested yet again with the COVID-19 pandemic last year, triggering huge increases in attention and funding around emergency response capabilities. “COVID put a mirror in front of government faces and showed them that ‘we’re not ready,’” he said.

Perhaps unsurprisingly, next-generation 911 services (typically dubbed NG911), which have been advocated for years by the industry and first responders, is looking at a major financing boost. President Biden’s proposed infrastructure bill would add $15 billion to upgrade 911 capabilities in the United States — funding that has been requested for much of the last decade. Just last year, a $12 billion variant of that bill failed in the Senate after passing the U.S. House of Representatives.

Sales are all about providing proverbial painkillers versus vitamins to customers, and one would expect that disaster response agencies looking to upgrade their systems would be very much on the painkiller side. After all, the fear and crisis surrounding these agencies and their work would seem to bring visceral attention to their needs.

Yet, that fear actually has the opposite effect in many cases, driving attention away from systematic technology upgrades in favor of immediate acute solutions. One govtech VC, who asked not to be named, said that “we don’t want to paint the picture that the world is a scary and dangerous place.” Instead, “the trick is to be … focused on the safety side rather than the danger.” Safety is a much more prevalent and consistent need than sporadically responding to emergencies.

When a wave of funding finally gets approved though, agencies often have to scramble to figure out what to prioritize now that the appropriated manna has finally dropped from the legislative heaven. Even when startups provide the right solutions, scrying which problems are going to get funded in a particular cycle requires acute attention to every customer.

Josh Mendelsohn, the managing partner at startup studio and venture fund Hangar, said that “the customers have no shortage of needs that they are happy to talk about … the hardest part is how you narrow the funnel — what are the problems that are most meritorious?” That merit can, unfortunately, evolve very rapidly as mission requirements change.

Let’s say all the stars line up though — the agencies have time to buy, they have a need, and a startup has the solution that they want. The final challenge that’s probably the toughest to overcome is simply the lack of trust that new startups have with agencies.

In talking to emergency response officials the past few weeks, reliability unsurprisingly came up again and again. Responding to disasters is mission-critical work, and nothing can break in the field or in the operations center. Frontline responders still use paper and pens in lieu of tablets or mobile phones since they know that paper is going to work every single time and not run out of battery juice. The move fast and break things ethos of Silicon Valley is fundamentally incompatible with this market.

Seasonality, on-and-off funding, lack of attention, procurement scrambling and acute reliability requirements combine to make emergency management sales among the hardest possible for a startup. That doesn’t even get into all the typical govtech challenges like integrating with legacy systems, the massive fragmentation of thousands of emergency response agencies littered across the United States and globally, and the fact that in many agencies, people aren’t that interested in change in the first place. As one individual in the space described how governments approach emergency technology, “a lot of departments are looking at it as maybe I can hit retirement before I have to deal with it.”

The strategies for breaking out of limbo

So the sales cycle is hell. Why, then, are VCs dropping money in the sector? After all, we’ve seen emergency response data platform RapidSOS raise $85 million just a few months ago, about the same time Carbyne raised $25 million. There are quite a few more startups at the earliest phases that have raised pre-seed and seed investment as well.

The key argument that nearly everyone in this sector agreed on is that founders (and their investors) have to throw away their private-sector sales playbooks and rebuild their approach from the bottom up to sell specifically to these agencies. That means devising entirely different strategies and tactics to secure revenue performance.

The first and most important approach is, in some respects, to not even start with a company at all, but rather to start learning what people in this field actually do. As the sales cycle perhaps indicates, disaster response is unlike any other work. The chaos, the rapidly changing environment, the multidisciplinary teams and cross-agency work that has to take place for a response to be effective have few parallels to professional office work. Empathy is key here: The responder that uses paper might have nearly lost their life in the field when their device failed. A 911 center operator may have listened to someone perish in real time as they scrambled to find the right information from a software database.

In short, it’s all about customer discovery and development. That’s not so different from the enterprise world, but patience radiated out of many of my conversations with industry participants. It just takes more time — sometimes multiple seasons — to figure out precisely what to build and how to sell it effectively. If an enterprise SaaS product can iterate to market fit in six months, it might take two to three years in the government sector to reach an equivalent point.

Michael Martin of RapidSOS said, “There is no shortcut to doing customer discovery work in public service.” He noted that “I do think there is a real challenge between the arrogance of the Silicon Valley tech community and the reality of these challenges“ in public safety, a gap that has to be closed if a startup wants to find success. Meanwhile, Bryce Stirton, president and co-founder of public-safety company Responder Corp, said that “The end user is the best way to look at all the challenges … what are all the boxes the end user has to check to use a new technology?”

Mendelsohn of Hangar said that founders need to answer some tough questions in that process. “Ultimately, what are your entry points,” he asked. “Cornea has had to go through that customer discovery process … it all feels necessary, but what are the right things that require the least amount of behavior change to have impact immediately?”

Indeed, that process is appreciated on the other side as well. The federal emergency management official said, “everyone has a solution, but no one asked me about my problem.” Getting the product right and having it match the unique work that takes place in this market is key.

Let’s say you have a great product though — how do you get it through the perilous challenges of the procurement process? Here, answers differed widely, and they offer multiple strategies on how to approach the problem.

Martin of RapidSOS said that “government does not have a good model for procuring new services to solve problems.” So, the company chose to make its services free for government. “In three years, we went from no agencies using our stuff to all agencies using our stuff, and that was based on not making it a procurement problem,” he said. The company’s business model is based on having paid corporate partners who want to integrate their data into 911 centers for safety purposes.

That’s a similar model used by MD Ally, which received a $3.5 million seed check from General Catalyst this past week. The company adds telehealth referral services into 911 dispatch systems, and CEO and founder Shanel Fields emphasized that she saw an opportunity to create a revenue engine from the physician and mental health provider side of her market while avoiding government procurement.

Outside of what might be dubbed “Robinhood for government” (aka, just offering a service for free), another approach is to link up with more well-known and trusted brand names to offer a product that has the innovation of a startup but the reliability of an established player. Stirton of Responder said, “We learned in [this market] that it takes more than just capital to get companies started in this space.” What he found worked was building private-sector partnerships to bring a joint offering to governments. For instance, he noted cloud providers Amazon Web Services and Verizon have good reputations with governments and can get startups over procurement hurdles (TechCrunch is owned by Verizon Media, which is owned by Verizon).

Elichai of Carbyne notes that much of his sales is done through integration partners, referencing CenterSquare as one example. For 911 services, “The U.S. market is obviously the most fragmented” and so partners allow the company to avoid selling to thousands of different agencies. “We are usually not selling direct to governments,” he said.

Partners can also help deal with the problem of localism in emergency procurement: Many government agencies don’t know precisely what to buy, so they simply buy software that is offered by companies in their own backyard. Partners can offer a local presence while also allowing a startup to have a nimble national footprint.

Another angle on partners is building out a roster of experienced but retired government executives who can give credibility to a startup through their presence and networks. Even more than in enterprise, government officials, particularly in emergency management, have to work and trust one another given the closely coupled work that they perform. Hearing a positive recommendation from a close contact down the street can readily change the tenor of a sales conversation.

The Future of Technology and Disaster Response Part 1: The most disastrous sales cycle in the world: The future of sales Part 2: Data was the new oil until the oil caught fire: Data and AI Part 3: When the Earth is gone, at least the internet will still be working: Connectivity Part 4: The human-focused startups of the hellfire: Training, mental health and crowdsourcing

Finally, as much as emergency management software is geared for governments, private sector companies increasingly have to consider much of the same tooling to protect their operations. Many companies have distributed workforces, field teams and physical assets they need to protect, and often have to respond to disasters in much the same way that governments do. For some startups, it’s possible to bootstrap in the private sector early on while continuing to assiduously develop public sector relationships.

In short, a long-term customer development program coupled with quality partnerships and joint offerings while not forgetting the private sector offers the best path for startups to break through into these agencies.

The good news is that the hard work can be rewarded. Not only are there serious dollars that flow through these agencies, but the agencies themselves know that they need better technology. Tom Harbour, who is chief fire officer at Cornea and formerly national director of fire management at the U.S. Forest Service, notes that “These are billions of dollars we spend … and we know we can be more efficient.” Government doesn’t always make it easy to create efficiency, but for the founders willing to go the distance, they can build impactful, profitable and mission-driven companies.

(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

Christopher Bollyn

Christopher Bollyn is a well-travelled writer and an investigative journalist who has done extensive research into the events of September 11, 2001, the conflict in Middle-East and the health effects caused by exposure to depleted

Salvan con 'Carbyne' del C5i a mexicano deportado

 · Otra persona más fue salvada con el sistema de geolocalización "Carbyne" implementado por el C5i Sonora, desde donde se ubicó a un mexicano extraviado entre los cerros de Guaymas. A las 9:00 horas del 26 de abril se recibió llamada al 9-1-1 de Juan Carlos, de 37 años de edad, quien manifestó que no sabía dónde se encontraba después de ser deportado de Estados Unidos.

Plantean replicar sistema ‘Carbyne’ de Sonora-Arizona en ...

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ポリイン - Wikipedia

ポリイン(Polyyne)は、単結合と三重結合が交互に現れる(-C≡C-) n の構造を持つ有機化合物である。 最も単純なものはジアセチレンで、構造式は、H-C≡C-C≡C-Hである。 これらの物質は、オリゴイン(oligoyne) [1] または、炭素が無限に繋がった仮想上の同素体であるカルビン(-C≡C-) ∞ に因んでカルビ ...

Bioinspired Nucleophilic Attack on a Tungsten-Bound ...

 · When the carbyne is considered to be a six-electron donor, oxidation to tungsten(IV) is formally taking place. Regarding the oxido ligand as a six-electron donor, the two-electron-donor C 2 H 2 in the tungsten(IV) complex 3 converts to a two-electron-donor ethenyl moiety.

'I was injured but the rescue boat found me in seconds' - BBC

How technology has helped emergency responders save lives during the pandemic.

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Lec 6 - Phosphine & Carbene Ligands

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Pioneira no ramo e-commerce para tatuadores no Brasil. A sua loja de equipamentos para tatuagem com mais de 18 anos de tradição. Aqui vc encontra vários modelos de agulhas, biqueiras, pontas, fontes, pedais e máquinas e

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Las autoridades de Estados Unidos lograron rescatar a grupo de 87 migrantes venezolanos que estaba extraviado en el desierto de Arizona.

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