職業としてのセキュリティ–世界で急増しているセキュリティ人材
今回は「職業としてのセキュリティ–世界で急増しているセキュリティ人材」についてご紹介します。
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本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティ業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティを向上させていくための視点やヒントを提示する。
サイバー攻撃が巧妙化し、世界規模のビッグビジネスの様相を呈している――このことは、さまざまなメディアに取り上げられるインシデントなどで世の中の常識となりつつある。さらに、ITがビジネス領域へ本格的に進出して四半世紀ほどが経過し、現在では重要な社会インフラのようになってきている。そのため、サイバー攻撃は、社会における深刻な脅威となりつつある。
社会を守るためにセキュリティの重要度がこれまで以上に増大している。さらに、攻撃手法の巧妙化によって、単にセキュリティ対策製品などを導入しただけでは対応できなくなってきている。そのため、「セキュリティ人材」と呼ばれる専門家が一般企業などにも必要とされ、実際にこの市場では数少ないセキュリティの技術を持つ人材を取り合う様相になっている。近年騒がれているセキュリティ人材の不足は、そのような要因が複雑に絡まることで起きているのだ。
しかし、セキュリティというものが1つの専門的な職業として認識されたのは、比較的最近であり、他の職業のような多くの歴史を重ねてはいない。そのため、セキュリティ人材に必要なスキル要素や経験の体系的な整理だけでなく、キャリアパスなどの他の職業には当たり前のようにあるものが幾つも欠けている状況が散見される。今回から、この「職業としてのセキュリティ」にまつわる話を述べていく。
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)などのセキュリティプロフェッショナルの認証資格を運営している(ISC)2がサイバーセキュリティ労働力の規模と既存の人材不足を評価するために、毎年実施している調査がある。その最新の調査「2022 Cybersecurity Workforce Study」によると、セキュリティ人材の不足が従来よりもさらに深刻化しているという。具体的には、セキュリティ人材は前年比26.2%増と大幅な増加傾向となったものの、人材の増加率よりも2倍のスピードで需要が拡大しており、需給関係はより悪化している。
また、同調査では世界のセキュリティ人材の総数が、過去最高水準となる約470万人に上ることも明らかになった。また、世界最大のセキュリティ人材を擁しているのは米国で、およそ120万人にも上るセキュリティ人材がいる。対して日本のセキュリティ人材は約38万8000人だという。